【孤独のグルメ】第Ⅶ話 本丸亭の博多辛味噌ラーメンと唐揚げ
※ ド初っ端から『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎になりきる独身アラサー男性が出てきますのでご注意ください。
ったく、部長ったら人使いが荒い。
退勤30分前に「この報告書、今日中に仕上げといて!」じゃないよ全く。
現場仕事でクタクタだってのに、最後に頭も使わせてくれちゃって。
おかげで、身体も頭もヘロヘログロッキー。さて、ようやく帰れる。職場よ、さようなら。
勤務を終えてホッとしたからか、
腹が。
減ったーーーーーー。
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こうしちゃいられない。今日の夕飯を決めよう。
帰って自炊・・・いやいや、全身疲れてるのにそんな悠長なこと言ってられない。メシだメシ。食いに行こう。
問題はなにを食うか。疲れた戦士が食べたいものと言ったら・・・ラーメンだよなぁ~~~。
ラーメンはラーメンでも、豚骨ラーメン。ちょっと車を走らせて、あの店へ。
みんな大好き、本丸亭へ。
活気のある声に出迎えられてカウンター席に座る。さて、何を食そうか・・・メニューメニューっと。
オーソドックスな豚骨ラーメンに、博多味噌ラーメン。とんこつ台湾に博多辛味噌・・・とんこつ担々麺なんてものもあるのか!来るまではシンプルな豚骨が良かったが・・・味噌もいいなぁ~~~。
・・・よし、今日は味噌にしよう。味噌は味噌でもピリ辛だ。今日は冷えるからな。唐辛子で身体の中からあたためよう。
さて、メインは決まった。サイドはなにで組み立てようか。餃子にチャーハン、唐揚げ。定番のサイドメニューがそろい踏み。実力は拮抗している、三竦みの戦いだ。
今日の俺は肉食系。唐揚げセットにしよう。ライスもついてくるのが嬉しい。
しまったぁ~、博多ラーメンは麺の固さが選べるんだったな。腹が減り過ぎて、視野が狭くなってるぞ。俺。
店員さんを待たせるわけにはいかない。直感で決めるんだ。ドントシンク、フィーーール。
ふぅ~。なんとか乗り切った。
勢い余ってスープもバリこてにしちまったが・・・まぁ、今日の俺ならいけるだろう。
本丸亭は卓上調味料が豊富なのがいい。
定番の餃子のタレにラー油、拉麺胡椒。博多では定番と言う紅しょうがに高菜。それに加えてオリジナリティ溢れるにんにく醤油に唐辛子味噌。味変し放題、味変カンフージェネレーションだ。
でも、やっぱり一番嬉しいのは・・・青ねぎだよなぁ~。
男は黙って青ねぎだ。ねぎなんて多ければ多いほどいい。無料で食べ放題、最近減ったよなぁ。
本丸亭。お前はどうかこのままでいてくれ。
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おほぉ~。こりゃ美味そうだ。卓上のねぎをたっぷり乗せて・・・いただきます。
俺はラーメン通ってわけじゃないが、一口目は必ずスープから。
ずずっ。
あ~、疲れた身体に沁み渡るなぁ~。濃厚な豚骨ベースのスープに味噌のコク。そこに唐辛子のピリッとした辛さ。
今の俺に、ベストマッチ。
さて、お次は麺だ。
ずずずっ。
博多ラーメンの細麺が好きなんだよなぁ~。細麺にスープが絡んでたまらない。
細麺は、博多っ子がせっかちだったことから生まれたらしいが・・・君たちがせっかちだったおかげでこれが生まれたんだな。
博多っ子のみんな、ありがとうねぇ。
ラーメン屋のチャーシューは、厚切り歯ごたえしっかりタイプと薄切りとろとろタイプに分かれるが、この店は後者だな。
そのままでも美味いんだが・・・来た直後にラーメンスープに沈めておくことでチャーシューがあったまって脂がよりとろとろになる。
俺は、この食い方が好きだ。
揚げ物は揚げたてが一番美味いと相場が決まってる。1秒でも早く食っちまおう。
ちょっとだけ塩をつけて・・・
がぶり。
おぉ~、これはいい唐揚げだ。
噛んだ瞬間に衣がはじけて中からたっぷりの肉汁が溢れだす。
外はカリカリ、中はジューシー。なんて表現あるけど、あれって唐揚げのためにあるんじゃないだろうか。
ラーメン、ライス、唐揚げ。ラーメン、ライス、唐揚げ。
ふっ、子どもには見せられない三角食べだ。
・・・おっと、もう麺がなくなりそうだ。まだまだいけるな。替え玉を頼んじまおう。
さぁ、2杯目は味変タイムだ。
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味噌のスープにすりごまとラー油。これだけで担々麺風に早変わりだ。
ずるっずるるっ。
あー、美味いなぁ~。
2杯目?いやいや、これだけ味が変われば1杯目ですよ。
これだけ背脂たっぷりでも、ペロッと食えちまう。俺もまだまだ若いな。
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米の一粒、スープの一滴、衣の一片。全て残さず平らげて・・・
御馳走さまでした。