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気になるけど、言わない

気になったこと

この前、マッチングアプリでマッチした女性(Aさん)と、数日後にアプリ内でこんなメッセージのやり取りをしました。

Aさん「大学で哲学の授業を取ってみたいんですけど、難しそう」
ほんトモ「哲学の授業の難しさは教える人の力量次第ですね」
Aさん「教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられる、って言いますからね」

気になりますよね?

え?何が?って思いましたか?逆に、確かに気になる、と思った人もいるのではないでしょうか。多分、その人は僕と感覚が似ています。

僕が気になったのは「って言いますからね」の部分です。これが、「教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられますからね」なら気にならないです。なぜか説明します。

まず、「教えるのが上手い」とはどういうことでしょうか?それはまさに、「誰にでも分かりやすく伝えられる」ということです。ある生徒にとっては分かりやすいけど、別の生徒にとっては分かりづらい先生は、「教えるのが上手い」という評価にはならないでしょう。あくまで、相性の良い生徒には分かりやすいというだけであり、相性が良ければ分かりやすいのは当然です。要するに、「教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられる」というのは、当たり前の文なのです。哲学を教えるのが上手い人は、特別相性の良い相手だけでなく、幅広い相手に哲学を分かりやすく伝えられます。だからこそ、哲学を教えるのが上手いと評価されます。

次に、「【当たり前の文】、って言いますからね」という文には違和感があります。例えば、【当たり前の文】の部分に「ボールは丸い」という当たり前の文を入れ、「ボールは丸い、って言いますからね」としてみましょう。これだと、「ボールは丸い」が当たり前の事実ではなく誰かの意見のように聞こえるため、違和感を感じると思います。それに対して、「【当たり前の文】ですからね」、すなわち「ボールは丸いですからね」とすれば、違和感がなくなるはずです。

以上の2点を合わせて考えると、「教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられる、って言いますからね」は違和感があり、「教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられますからね」は違和感がない、という結論に至ります。だから僕はAさんのメッセージが気になりました。

ここまで読んで、細かい人だな、と思いましたか?自分でも思います。こんな細かいことは気にならない方が楽なんだろうなと。メッセージの返信にも時間がかかります。

けど、言わない

だけど、僕はさっきの内容をAさんに言いませんでした。実際は、最初に書いたやりとりに続いて、こうメッセージを送りました。

ほんトモ「哲学は、教える側がしっくりくる具体例で説明できると納得しやすくなるんですが……
    僕のゼミの先生はそれが上手かったので評判良かったです笑」

ね?さっき書いた内容には触れてないでしょ?
自分の発言である「教える人の力量次第」に補足を入れた上で、別の話題を提示しました。僕にとってこれは成長です。(もちろん、マッチングアプリにおいてこれが満点の返信と言うつもりは全くないです。)

おそらく少し前の僕なら、「その言い方だと、教えるのが上手い人は誰にでも分かりやすく伝えられる、っていうのが誰かの意見みたいですね笑」とか「って言いますからね、って変じゃないですか?笑 すみません、細かいことが気になる性格で」みたいな返信をしていたと思います。

端から見れば、なんでそんな言わなくてもいいことをわざわざ言うの?、と思われるかもしれません。別に、頭の良さを自慢したいとか、マウントを取ろうとか、ましてや気まずくさせたり困らせようと思って言うわけではありません。むしろ、否定的な意味で捉えられないように「笑」を入れて場を和ませようとしています。では、なぜなのか?それは、自分という人間を知ってほしいからです。自分が普段考えていることや自分の性格を、マイナス面含めてありのまま知ってもらうことで、こんな自分でも大丈夫ですか?、とお伺いを立てているのです。後からバレて、思っていた人と違うとがっかりされるくらいなら、先に伝えておこうという意図でわざわざ言うのです。

僕はこのやり方で今まで上手くいった試しがありませんでした。むしろ、それでいいとすら思っていました。どうせ合わない人と、早めに別れられたわけですから。

でも、本当にそうなのだろうか、と最近思い始めました。例えば、見た目は悪いけど美味しい料理があったとして、そのまま提供するよりも、目隠しして一口食べさせてから目隠しを外して見てもらった方が、その後自分から食べてくれる人は多そうです。同じように、興味を持ってない相手からマイナス面を聞くのと、ある程度興味を持っている相手からマイナス面を聞くのでは、同じマイナス面でも印象が変わってくるのではないでしょうか。もちろん、「なんて物食べさせるんだ!」と怒る人が一定数いるとは思いますが。とはいえ、すべてのマイナス面を前もって伝えておくことが不可能なことを考えると、わざわざ先に1つや2つマイナス面を伝えたところで、相手を怒らせたりがっかりさせたりしてしまうことを完全に避けられるわけではありません。それどころか、興味を持ってくれた後であれば自分のマイナス面も許容してくれたはずの相手を、みすみす手放す可能性があります。

要するに、マイナス面を伝えるタイミングが重要だということです。マッチングアプリでマッチした直後は、「言わなくてもいいこと」はわざわざ言わず、まずは自分に興味を持ってもらうことを優先させるべきなのでしょう。興味を持ってもらった上で、好感度との天秤を振り切れさせないよう、徐々に自分のマイナス面をじわじわと伝えていくのが良いのではないでしょうか。

「言わなくてもいいこと」を言わなかった結果

ちなみに今回、「言わなくてもいいこと」を言わなかった結果どうなったか。Aさんと連絡先の交換ができました。ここまで進んだのは自分史上初めてです。もちろん、後々僕のマイナス面がAさんの許容量を超えて、がっかりさせることになるかもしれません。そのため、進展等ありましたら、またnoteで報告しようと思っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。他の記事もどうぞ。

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