今日の一本 「ウトヤ島、7月22日」
映画のことを時々書いていこうと思い立ちました。自分がかつて見た映画、あるいは現在見たばかりの映画の感想などをつらつらと書きます。と、そんな気持ちにさせてくれた一本が、この「ウトヤ島、7月22日」(2018 ノルウェー)。大ヒット作品やアカデミー作品よりも、とにかく見たかった映画で封切りの翌日に駆けつけました。
2011年に実際にノルウェーのウトヤ島で起きたテロ事件をもとにつくられた映画です。元になったのは、わずか約70分ほどの間に、ほとんどが10代の若者69名がひとりのテロリストによって殺害されたという事件です。直前にオスロで政府庁舎を爆破して8名を殺害しており、合計77名が犠牲になったというもので、犯人は警官の服装をして島に乗り込んで銃を乱射した後、逮捕されました。ちなみにこの犯人には、最短で禁固10年、最高で21年という、ノルウェーでは最高刑の判決が下されたそうですが、何か複雑な気持ちにならざるを得ません。
この映画、映画の大半の72分間をワンカット撮影しています。具体的には、あるひとりの少女の動きをずっと追って、テロ現場の臨場感をこれでもかと見せつけてきます。実際の現場とはさもありなんと思えるシーンが続き、あとで色々なこと知ってからでない、今起きている得体の知れない出来事というものの恐怖が綴られます。
その最大の効果を出しているのが、耳をつんざくような銃声(ですので、映画館で見た方がいいです)。逃げたり、隠れたりしている最中に、少し落ち着いた会話などが、いきなり銃声で遮られたりするのが、見ているこっちまではっとなるくらいです。
ネタバレになるので、具体的には書けませんが、今、言ったように、何も分からずにいきなり事件の現場に放り込まれた人間たちを描くのに、とても優秀なプロットが練られていました。
わたしの周囲でも、賛否両論がありますが、その斬新さは素晴らしく、またワンカットシーンに出ずっぱりの若い女優さんの力には感服しましたし、中だるみになりそうでぎりぎりで持ち直す展開が秀逸でした。
オススメの一本です。
オススメ度 ★★★★★(最高)