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【選んで無職日記25】無職、小樽旅

2024/8/10

 小樽に一泊するため、土曜の午前中に夫と家を出た。有給消化中の身だが、会社の福利厚生を存分に活用すべく、少し前に決めた旅だ。
 「福利厚生のポイント使い切ったほうがいいよ!宿泊費としても使えるし」と優しい先輩が教えてくれたことがきっかけだった。
 退職前にしておかなければならないことを先輩たちがあれこれと社内チャットツールで教えてくださり、その中に出てきたものの一つで、会社の健康保険組合が提供する福利厚生制度があった。年に一度各社員にポイントが付与され、そのポイントは育児や介護サービスの利用補助などでポイント=円として使用できるシステムだ。元々ポイントを集めたり管理したりすることが苦手な私はそのこともすっかり忘れており、途中婦人科系のオプションを追加するため健康診断にいくらか使ったものの、ほとんどを手つかずで残していたのだが、なんと旅行中の宿泊費としても使用できるということを最終出勤日二週間前に知った。先輩、本当にありがとうございました。
 よって夫に急いで連絡し、とりあえずこれ退職前に使い切らないといけないから一泊いくぞ!ホテルは私が決めるぞ!タダ旅だ!とさっさと予約をすませ、当日を迎えた。

 旅行先を小樽にしたのは、そもそも私が小樽が好きだからだ。小さい頃両親によく連れて行ってもらった。いつでも空が青く、海は広く、水平線がまっすぐ視界を切り分ける。街は古く風情があり、小さいながら港町のロマンを感じていた。

 どうせ遠出するなら、家から離れているアレルギー科の病院に寄ってから小樽へ行こうと思い、まずは車で病院へ向かう。途中車両事故により道路が大渋滞し、いよいよ予約時間に間に合わないかと思いハラハラしながら到着。小児科も併設の病院で随分混んでいたが、子供たちがスルスルと診察室に呼ばれていくので意外と待ち時間は短かった。
 初診の病院だったため、最初に看護師さんが症状を聞きに来てくれる。アイシャドウがキラキラのギャル看護師さんだった。しゃがみながらなのに膝上に乗せたノートパソコンのタイピングがすさまじく速く、話も早いのでありがたい。
 そのあとすぐ私も診察室に呼ばれ、先生と初対面。ワイルド系の先生だった。症状を話している間ずっと足元を見られていたので、履いていたSALOMONのスニーカー褒められるかな、と思うと、やはり開口一番「SALOMONいい色ですね!」と褒められる。
 私の持っているスニーカーはカラーリングに一目惚れして購入したもので、かなり色んな店の店員さんに褒められる。LUSHのお姉さんとか。だから褒められることに抵抗もなく、うちの子可愛いでしょう、どうもどうもという気持ちでお礼を言い、血液検査へ。
 採血してくれる看護師さんは別のギャルで、いつもなら「もう片方の腕で血管見ていいですか~」と歴戦の採血ネキが諦める私の左腕を難なく突破し、しかも今までの採血で一番痛くなかった。今までは健康診断センターの採血室にいる看護師さんが1位だったが、まさかのギャルお姉さんとは。
 「今までで一番痛くなかったです!」と思わず口にすると、ありがとうございます!と恐縮と喜びが入り混じった顔をされた。

 ちなみに私は最近しっかり目のメイクをしている若い看護師さんや薬剤師さんにお世話になる機会が多く、その度にメイクも仕事も頑張っててすごいなあ~推す~と軽率に推している。

 

 支払いをすませ夫と合流し、高速に乗って小樽へ。途中PAのセイコーマートにて大好きなHOT CHEFのおにぎりを購入し、車内でほおばる。北海道にいらっしゃる皆様、お願いしますからセイコーマートで"HOT CHEFの"おにぎり食べてくださいね。具の味も握り具合もサイズも最高だからね。


 小樽には40分ほどで到着。前からインスタグラムで見ていて、泊まってみたかったホテルを予約した。

北海道で初の外国人専用ホテルとして
昭和6年(1931年)に建築された「旧越中屋ホテル」。
戦時中は将校クラブとして陸軍に、
戦後は米軍により接収された歴史を歩み、
小樽市指定歴史的建造物、
経産省「近代化産業遺産群33」にも指定された歴史的建造物が、
数年の月日を経て再生。

UNWIND HOTEL&BAR 小樽

 引用の通りもうすぐ100歳になるホテルで、外は石造り、中はステンドグラスが印象的なアールデコのデザインだ。
 チェックインし部屋に入ると、コンパクトながら天井が高い素敵なお部屋だった。

 早速荷物を置いて堺町通り商店街へ。私は小樽に行くと大体この道の周辺にいる。ガラス細工の店に入ったり、LETAOや北菓楼に油を売ったりしながら一通り歩いてホテルに戻る(スヌーピー茶屋にも必ず寄る)。ホテルのサービスの一つとして、17:00~18:30まで無料でワインが振舞われるため、一杯お呼ばれしようという魂胆だ。私は残念ながらお酒に弱いのでほんの少し赤ワインを頂いた。夫はナイアガラのスパークリングワインにしたが、鼻をグラスに近づけるだけでぶどうの香りがぶわああっと広がり、味も甘くて爽やかで美味しかった。

 夜は夫が退職祝いとしてイタリアンを予約してくれていたため、歩いて近くのレストランへ。ズワイガニのクリームパスタがびっくりするほど美味しかった。
 食事の後に散歩がてら運河沿いを歩いていると、生のジャズライブが行われていた。水に揺らめく街灯の光や、カルテットのピアノやコントラバスが駆け引きする遊びが楽しく、とっても気分が良い。

 その後はホテルのバーが有名なので是非利用したく、お酒を一杯カウンターで頂いた。小樽は余市の隣なので、ウイスキーの種類が豊富だ。バーなんか久々に行った。作ってもらったレモンサワーがとっても美味しく、もう一杯行きたいところだが我慢。

上に乗っているクリームもレモン風味でうまちゅっちゅ

 夫が飲んでいたウイスキーロックをひとちょび貰うも、何とも言えぬ味で秒で断念。ウイスキーは本当にタイヤの味がする。ウイスキーを飲み比べても、薄いタイヤか厚いタイヤかの違いだ。こんな大人な味を楽しめるなんて羨ましい。ビールや焼酎など、甘くないお酒が苦手な私には一生楽しむなんて無理かもしれない。

 次の日の朝はホテル一階のThe Ballにて朝食。ここの朝食はモーニングハイティーという3段プレート形式での提供だ。世の中では少し流行りが廃れたであろう”アフタヌーンティー”の文化を私は未だにこよなく愛しており、もう数年単位で楽しんでいる私にとっては素晴らしいおもてなしだった。

 スコーンにクリームを塗りたくり、美味しいパンも頂いた後はもう一度堺町通り商店街を練り歩き、途中暑すぎて何度も冷房を求めてお店に入るなどしながら、柳月でソフトクリームをなめなめ帰宅した。

 相変わらず海自体は遠いものの、小樽は今日も美しかった。


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