モノづくりの”作り方を作る”という面白さ

前回の投稿、山梨行の三回目でちょっと予告しましたが、同行の二人に仕事の相談をしたのです。その結果についての文章です(三回目の記事がこちら。)具体的な内容をどこまで書いていいものか難しいところなのですが、がんばってみます。

いわゆるテスト(共通テストとかセンター試験とか共通一次とか、年齢に合わせて想起してください)を作る際の考え方に「弁別性」というものがあります。簡単に言うと、「ちゃんと受験者の実力を測れるテストになっているか」ということです。例えば、漢字の問題でよくでるこういうものを思い浮かべてください。

次の「カジョウ」の「ジョウ」に相当する漢字を含むものを、次の①~④のうちから、一つ選べ。
➀ ジョウチョウな文章。
② 予算のジョウヨ金。
➂ 汚れをジョウカする。
④ ジョウキを逸する。

22年共通テスト国語より

この問題が例えば「併」という字について問うているとき、正解が「ヘイサツダに倒れる」だとしたらどうでしょう。これ、野球に詳しい人に有利、むしろ野球を知らないと熟語すら浮かばない、なんのことやら?となると思うんです。せっかく頑張って国語の勉強をしてきたのに、最後の最後の本番で「野球に詳しいこと」が有利に働くようなこと、極力なくさないといけないと思ってテストは作っているのです(「併殺打」みたいな出題をすると「弁別性が下がる」といった言い方をします)。

漢字の問題で弁別性を下げる一番シンプルかつ最大のものは「出題されている漢字が問題(その他の場所)のどこかに存在する」というものです。このご時世「携帯」という漢字を書かせることは難しいでしょうね。黒板や受験票など、どこかに「携帯電話」の文字はあるでしょうから。その存在に気付いた受験生は楽勝、気づかなければ間違える可能性あり、という弁別性の低い問いになるのです。

この「どっかに漢字がある状態」を避けるには、
1)1回しか出てこない漢字で問題を作る
2)印刷に出す直前の段階で念入りなチェックをする

の二つが大事です。私がこの仕事を始めて30年近くになりますが、原稿が手書きの時代は目視で、DTP(デスクトップパブリッシング)の時代になり原稿がテキストデータになってからは、(Windowsでいうと)Ctlr+Fで漢字を何度も検索するという作業の繰り返しでこの条件をクリアーしようとしていました。

これ、どうにか自動化できないかなあと思い友人二人に相談したのです。二人とも広く言えばSEさんなので、何らかの手掛かりを、何なら”相談して5秒で解決”みたいな何かのタイトルのようなことも起こりうるかなと期待していました。

はい、本当にいろんな示唆を与えてくれました。「エクセルのこういう関数とマクロを使って……」「AIに考えさせればいいのでは……」などなど。その日はペンションのお掃除&飲酒&星空観察がメインイベントなのでこの話はそこそこに、たくさんの手がかりを得て帰宅し自分でどうにかしてみようということになりました。

中2のとき、初めてのパソコン「PC8001mk2」(NEC)を買ってもらいました。40年前の話なので、当時としては早めのパソコン初体験かもしれません(パソコン遍歴はまた別記事で)。わがまま言って買ってもらいました、このわがままを飲んでくれた父には感謝です。

画像はaucfan様からお借りしました

当時はBASICという言語でプログラムを組んでいましたが、プログラムに関してはそれっきり。「IT的なものに忌避感はないが、技術・知識は中途半端」な状態で40年の時を過ごしました。そんな自分に願っている自動化ができるのだろうかと思いつつ、12/16-19の間PCの前から一歩も離れず……三大欲求を満たす時間以外は……格闘しました。

12/19早朝、先の2つの工程を、どちらも30秒以内に終わらせることのできるプログラムが完成しました。これまでどちらも15~30分はかかっていた作業です。大幅な効率化です。ちょっと今、猛烈な達成感に包まれており、今日はもうドラクエだけして過ごしても許されるのでは? などと勘違いしそうです(あと最終ボスを倒すのみ)。

何かを作るのは楽しいのですが、「作り方を作る」つまり工程改革もまた楽しいんですよね。ここが共有できると、基本的につらくて面倒なお仕事が少しだけエンジョイできるんです。「3日だけみんなで苦労して今のやり方見直してみてさあ、この先3年の残業を減らそうぜ!」みたいな仕事、好きなんです。そんな喜びを感じられる山梨行とその後の数日でした。

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