【ココロコラム】負ける人の6つの特徴から学ぶ勝つため方法
ある人が「勝つ人は才能があったとか運がいいとかそれぞれ違うが、負ける人はみな共通点がある」と言っていました。なるほどな、と思いました。確かに歴史を振り返ってみても、戦争などで負けた側には似たような敗因があります。今までの私を省みても、思うように結果を出せなかったことには、やはり出せないなりの理由がありました。
敗因を分析しない人は、何回でも同じ失敗をします。徒然草には「勝とうと思うより、負けないようにやる」というのが、勝負事の極意だと書いてあります。大きな勝負に負けないためには、負ける側の共通点を知っておくのが早道です。
私の聞いた人の話では、負ける側の共通点として「情報不足」「慢心」「思い込み」をあげていました。これは確かに言えています。相手の情報を知らず、ひどければ自分の方も知らずして戦いに突入し、あえなく負ける場合は非常に多い。慢心は、途中までうまくいっている時に陥りやすい罠です。思い込みも、相手をこんなものだと思い込む場合と、自分を過大に評価してしまう場合の両方がありますが、ともに敗因になります。
聞いていて参考になりましたが、他にもあるだろうとも思いました。私も三つほど考えます。
まずあるのは、投入量の不足です。何を投入するかは努力やお金や時間などいろいろあるでしょうが、負ける側はだいたいこの物量が足りません。「才能やセンスはあるのに量で負けた」というのは、源義経や真田幸村や野球の弱小チームなど、悲劇の題材としてよく使われます。
しかし、量で勝つというのはもっともシンプルな勝ち方ですし、兵法の基本でもあります。モテる人をよく観察していると、女性への連絡のとり方がとにかくマメですし、そもそも声をかける人数が違う。圧倒的物量です。勝てないなと素直に思います。結果を出している人は、量をつぎ込み、それが質に転化している。実はこういうことはなんの世界でも意外によくあります。負けたくない場合は、とにかく手間を時間や労力を惜しまないことが大事です。
次に考えたいのは、勝つ側は、勝てる見込みのありそうな方面に、勝つ信念を持って取り組んでいるということです。逆に、負ける側は、最初からどこか萎縮していることが多い。だから、正面衝突を避けてのらりくらりとかわしてしまう。それも必要な技術でしょうが、人間はどこかで結果を出さないと、なかなか満足の行く人生が送れません。
そのためには、まず自分の得意で勝てそうな分野を見定める。ついで、勝つことだけを考えて物事を考えるということがどうしても必要になってくると思います。これは心理的な調査でも明らかなことで、最初から勝つに決まっていると思って取り組むのと、負けたらどうしようという不安下で取り組むのとでは、結果の出方が全然違います。
負ける側の特徴の最後の一点は、勝つシステムへのこだわりです。何かに成功した人ほど、他の分野にも同じやり方で取り組みがちです。そして、結果が出なくても、ずっと同じことをやり続けます。過去にはそのシステムで成功したからです。
官僚組織などがその典型かもしれません。ある程度過去に成功したシステムをずっとやっているだけです。新しい変化についていけないことが非常に多い。長年結果を出している人ほど、発想が柔軟です。これでダメなら、今度は別のやり方で行こうと、あっさり切り替えられます。過去の成功体験があるのはたいへんいいことですが、なんでもそのやり方を真似ようとすると、えてしてうまくいきません
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過去の手痛い失敗を振り返ると、私はどれも経験があります。みなさんはそうはならないように・・。
(精神科医・西村鋭介)