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shokonote
おはようおはぎ
『おは…』
扉を開けると、声にならない声が聞こえてきた。
日に日に父の体力は消耗している。めまいも一向に良くならない。
『おは…………』
”おはよう”の一言も言えなくなってしまったのか。
数カ月前に電話で告げられた”余命3ヶ月”という言葉が頭をよぎる。
泣きたい気持ちをこらえて、「なぁに?」と聞き返すと
『おは……ぎ…』
どうやら朝ドラでおはぎを見て食べたい気持ちが日ごとに募っていたらしい。
この日、余命幾ばくもない父のために、おはぎを買いに走ったのは言うまでもない。