記憶

夢は、いい夢より嫌な夢の方が覚えてる
そのくせ
現実は、嫌な思い出よりいい思い出の方が憶えてる

そのせいでしんどいことが多すぎる。
空気の匂い、聞こえる音、見える景色、時によっては部屋の明るさなんかでも思い出せてしまう。

どれだけしんどくても、泣いても、待っていたいって思っても1日は呆気なく24時間でいつも通り終わってしまう。

過去の記憶のせいで、リアルタイムの今が苦しくて
夢でいいから一瞬でも戻りたいとすら思ってしまう。

あの頃もっと伝えれば、あの頃もっと触れてれば、あの頃もっと素直に正直になれてたら。
したくもない、しても意味すらない後悔をひたすら頭で考え続けて活力を失う。
そんな時間を過ごして今日もまた一日が終わって、そんな時間を過ごしてしまう一日が今日もまた始まる。

あの人にとっては、たったのこれっぽっちにしかならない短い期間でも、私にとっては長くて濃くて大きな期間。それが何よりも歳の差の辛さだった。

私があの人に対するどれだけの気持ちが、どんな風に、どこまで伝わってたのか。なんて分からないし、もうわかることも出来ない。

あの人の人生に私がもう居なくても私の人生にはあの人しか残らない。これから先どんな人と出会ってどんな人と結婚しても変わりえない事実。

あの人との思い出は、消したくても消せなくて、苦しくて辛くて、明るくて華やかで、暖かくて笑顔になるような記憶。

あの人が居たからなんでも出来る気がしてた。
だからこの仕事を選んだのに。
仕事の話をする時、アドバイスや励ましはくれても必ず否定だけはしなかったあなたが、最後の最後に仕事の話をした時、初めて否定した。
その時からあなたの心はもう全く私に向いてなかったんだねと今更気付く。

近しい仕事になりたかったから、愛する人でもあり、尊敬している人でもあったから、この仕事を選んで貴方により近付きたいと思ったのに。
一番遠い人になってしまった。
もっと貴方に近付けると思ってた私がただ馬鹿なだけだった。

貴方の記憶を死ぬまで私は消せません。
人間だから薄れはするだろうけど、貴方の存在、貴方がくれた言葉、貴方の笑顔、貴方と行った場所、貴方と食べた物、貴方がくれた物、貴方と同じだった好きな食べ物、貴方と同じだった嫌いな食べ物、貴方が好きだった店、貴方がいちばん楽しそうに話す話…
もっともっとたくさんある貴方の記憶は、私の中に残り続けます。

出来ることなら、全てを片付けて私をまた愛しに来てください。その時はきっと、私も素直に愛せるから。安心出来る心地いい居場所になれるから。

もう一度、貴方の近くに置いてくれませんか。

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