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過去か未来、選ぶとしたら。

「レズビアンだと自認したのはいつ?」という質問に戸惑うことがある。別にこの類いの話題をセンシティブに捉えているわけではない。自分の中であり得る様々な回答を考えた上で、わからないのだ。最近話題となったNetflixの恋愛リアリティショー「BOYFRIEND」。男性同士の恋愛や人生模様が描かれる中で、それぞれの出演者が自身のセクシュアリティについて話すシーンがある。「アプリで男性と出会って確信した」「友達に自分のセクシュアリティについて話した時に自認した」など、異なる経験が語られていた。そこで、私は「女性を好きになったきっかけは?」の問いに戻ることができた。同性が好きな私たちは、外的な「何か」によって自分のアイデンティティに「気付かされる」のだ。ここでは、ほとんどの場合が自分自身で自認するという機会を失われているため、確信的な答えが得られない。以前、友人が「もっと早くレズビアンだと知っていれば…」と言っていた。その言葉はあまりにも重すぎた。性的少数者が外的要素によって自身のセクシュアリティに「気付かされる」説が濃厚であれば、そのきっかけが訪れるまでは、現在進行形で恋愛を経験することはできない。何度「振り返ってみるとあの時の感情は恋愛的に好きだったのかもしれない」と言う人を見てきたか、と思う。過去と未来を選べるなら、過去に戻りたい。これまでに失ってきた「青春」を取り戻したい。こんなことを人に言うには暗すぎるが、心の中ではそう思っている。

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