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提案された、レターパック20枚
買い物ついでに乗せて欲しいと言われ
母を助手席に乗せ
70さんで走っていると
僕のスマホに1件着信が
運転席のマグネット式スマホホルダーに
ぱこっとくっつけてあったので
スマホの画面が助手席の母にもしっかり見える
相方ではない女性の名前からの着信に
「電話来てるよ?誰この女性?」
と少し不安げな顔で母が聞いてくる
僕は思わず笑ってしまった
「今、人生最大のモテ期かもしれない」
そう答えると
母はポカーンとした顔をした
安心して欲しい
もちろん、不倫相手では無い
電話の相手は
東京に住んでいた時に仲良くなった
85歳のおばあちゃん(以下、Kさんとする)
僕がデイサービスで働いていた時の
利用者さんでもあり
週末に焙煎している珈琲のお客さまでもある
職場を辞め、繋がりが一度途絶えたものの
僕が個人で珈琲の販売をしていることを知り
わざわざ注文をくださったことをきっかけに
また繋がりができた
本当に本当にありがたい、ご縁
着信があった時は運転中だったので
電話は家に着いてから掛け直した
「Kさん、こんにちは!
先程はお電話出られず、すみませんでした!」
「あらあらいいのよ!忙しいところごめんなさいね」
と、Kさんの優しい声
新しい生活はもう慣れてきた?
と、心配してくれたり
東北は寒いだろうけど、大丈夫?
雪は降ってるの?
と、あれこれ気遣ってくれる
その優しさがまた
心に沁みた
働いていた時もこうして
いつも笑顔で声をかけてくれた
だから僕はKさんとお話しする時間が
とってもとっても大好きだった
その後はKさんが
近況報告をしてくれ
一通り話し終わると
話は本題へ
「あのね、珈琲のことなんだけどね。
郵送で送ってもらったじゃない?
たくさん買ってあげられたらね〜
あなたの利益にもなるんだろうけど
こんなお婆さんの注文量なんて
たかが知れてるじゃない?
それなのに、あんな1つ1つ梱包して
郵送してもらって悪いなーと思ったのよ」
この言葉を聞いたとき
僕の頭の中は
あぁ…なんだか
Kさんの負担になっていたかな?
そして、そうだよな…
珈琲は別に僕のところじゃなくたって
買えるしな
なんだかむしろ
付き合いで買わせてしまうような感じになって
変に気を使わせてしまっていたかもしれない
逆に申し訳ないな…
そんな言葉でいっぱいになり
「今後は別の所で買うわね」
そう言われても、しょうがない
そんな気持ちになっていた
ところが次の言葉を聞いて
思わずポカンとしてしまった
「だからね。せめてね
少しでもあなたの手間が省けるようにね
宛名を事前に書いたレターパックを
まとめて20枚ぐらい送るから
それで毎月あなたが好きに見繕って
送ってもらえないかしら?
レターパックで入る?」
レターパック…?
赤くて白いやつと
青くて白いやつが
頭に交互に浮かんできた
そして一気に冷静になる
「いやいやいや、Kさん
レターパックは大丈夫です!
この間送ったように
クリックポストで送りますから!
ちゃんと送料も頂いてますし!!」
「送料もらってるってあなた。
そんな安く送れるわけないじゃない。
どうせあなたのことだから
大丈夫って言ってまけてくれてるんでしょ。
そういうのはいいから!!
ちゃんと儲けなきゃダメよ、商売は!!」
めちゃくちゃ心配されている、僕。笑
でも本当に、送料はちゃんと頂いている
梱包資材や封筒代、郵送費も込みの値段で
こうこうこうなってまして
と内訳まで説明すると
やっと納得してくれたKさん
お客さまの立場なのに
そこまで僕のこと考えてくれたこと
本当に本当に、ありがたい
「焙煎所、今準備してるんでしょ?
ゆっくりでいいから。
あなたの大丈夫な時に送ってちょうだいね。
楽しみに待ってるからね。
身体に気をつけて、元気でね!
また連絡します。それじゃぁね」
そう言って、Kさんは電話を切った
当初の予定では
2月を営業再開目標としていたのだけれど
片付けや、引越し
その他諸々バタバタしてしまって
全然間に合わなかった…
移住してきたはいいものの
なかなか物事が上手く進まないことに
正直、自己嫌悪していた
そんな時、こうして
Kさんから連絡をいただけて
待っていてくれてる人がいるんだ
と思ったら
頑張らねばーーー!!
と、また力をもらった
今日も人に生かされている
心の底からそう思う
ぽっと温かい想いが
僕の心に優しく灯る
今後、レターパックを見かける度に
Kさんとのこの電話を思い出して
僕はほのぼのした気持ちになれそうだ〜
いろんなことがあるけれど
だからこそ
こんな気持ちになれるんだろうなー
今日もこうして続いてく
僕のほのぼの生活