プロの仕事をめざして
2014.06.07 NO.13農場通信
みなさん こんばんは。
長雨が続きますが、みなさま健やかにお過ごしでしょうか。くちなしの花の香りが漂う季節になりました。野菜にとって干ばつの後の雨は恵みで、息を吹き返したかのように成長しますが、こうも雨が続くと根に酸素がいかなくなり、根腐れがおこったり、雨の跳ね返りが葉っぱについたり、ウイルスが蔓延したりして、気が気でなりません。
先日、畑に行くと、海に泳ぐ魚のごとく、蝶が飛んでおり、キャベツを観察していると、大量の青虫が発生していました。春キャベツが順調に育っていたので、これはいかんと思い葉を一枚一枚確認しながら青虫とりをしました。
無用に殺傷するのは気が引けるので、不足がちな動物性蛋白質を鶏にあげたいと思い、潰すのではなく一つ一つとって鶏にあげることにしました。しかし、グローブのようなごつごつした手ではなかなかとれませんでした。
2歳の娘にこの青虫を採ってというと、丁寧に小さな手で一つ一つとってくれました。
かれこれ1時間、娘と青虫とりをするとバケツが青くなるほど青虫が集まりました。小さな手が大活躍して、畑のそばにいる鶏は大喜びで取り合いでした。
そういえば、娘の好きな絵本に「大きいトンと小さいポン」という、いわむらかずお氏の絵本があります。
二人は体の大きさが2倍ぐらい違うのだが、高い木に引っ掛かった2つの帽子はトンしかとれず、また土管の中に入ってしまった2つの靴はポンしかととれないというような話が2、3個紹介され、最後には「大きいのもいいね、小さいのもいいね」といって終わる絵本です。
身体の大きさや違いによる優劣はなく、それぞれの個性の大切さを教えてくれる絵本です。絵本は非常にシンプルでリズミカルですがいつも深い物語を僕に投げかけてくれます。
特にこのいわむらかずおさんの絵本は、動物や植物が詳細に観察され、その特徴が絵本に端的に表現され、自分もその世界に引きずり込まれてしまうような感覚になります。
ねずみのことを描くために、ねずみを飼い、鶏を飼い、世話をして、ともに生活しその個性や特徴を観察し、何年もかけて一冊の本を仕上げていくようです。
栃木県にいわむらかずお絵本の丘美術館という名前の大きな農場があります。我ながら、一冊の本を仕上げるプロセスとその作品にこれがプロの仕事なのかと、そこを訪れたときに深い感銘を覚えたことを思い出しました。
私も、プロの仕事を追及していきたいと思います。ぜひまた、うちの農場にも遊びにいらしてください。
山口 敦史
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