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スイスの病院で同室になった可愛いおばあちゃんの話

私はスイスで入院することになった。病院は二人部屋で、スイス人のおばあちゃんと同室だった。

先に話しかけてくれたのは、おばあちゃんだった。”How are you”から始まった会話だったが、日が経つに連れて、私たちは会話をすることが多くなった。

ローザンヌはフランス語圏だが、おばあちゃんは英語が上手だった。たまに自分の言いたい単語が見つからず、ちょっとあたふたする瞬間もあったが、英語を話す時すごく楽しそうだった。

ナースの方達は、病室では私には英語、おばあちゃんにはフランス語で話しかけていた。それが、おばあちゃんはすごく嬉しかったらしい、「なんだかすごくインターナショナルな場所にいるみたいだわ!」とよく言っていた。

おばあちゃんは、毎日、病室で電話をしていた。その声はすごく明るく、聞いてて元気が出るようなものだった。私のこともよく電話で誰かに喋っていた、私はフランス語をまだ勉強中だが、ほんの少しはわかる。電話中に “petite japonaise (小さな日本人の女の子)” って聞こえて来た時には、流石に照れた。

私は、入院中ナースの方達の明るさにびっくりすることが、何度もあった。部屋に入るなりハイテンションで “Hi, how are you feeling today?” と満面の笑みで聞いてくるのだ。すごく痛くて辛くても、なぜかナースに会うだけで元気が出てきた。

スイスの病院が初めてだったため、この病院のナースが特に優しいのか、それともスイスは一般的にこんな感じなのかが、わからなかった。でも、おばあちゃんが、ナースのことを褒めたりしてるのを聞いて、やっぱりここは特にナースが優しいのだな、ということを知った。

私たちは、病院で暇になると話をした。夜11時頃、二人とも寝れなかった時にもたくさん話した。おばあちゃんは私に昔、日本とタイに旅行に行った時の話をしてくれた。

「でも、40年も前の話だから、きっと今は日本もタイも全然違うんだろうね」と懐かしそうに言っていた。私はおばあちゃんにスイスに来て感じたことなど、アジアとヨーロッパの違いなどについて話した。

入院中に、私の具合が悪くなってしまった日もあったが、その時も私に負担がかからない程度に、毎日話しかけてくれた。私が起き上がれない日にはすごく悲しそうに「かわいそうに…」と何度も言ってくれた。そして、体調がよくなってくると、「あなた、昨日よりいい声してるわ!治ってきたのね!」嬉しそうに言ってくれた。

私の大学の同級生が、八人病院にお見舞いに来てくれた時と、母がスイスに来ると決まった時にも、すごく喜んでくれた。ちょうど母が来る日とおばあちゃんの退院の日が重なってしまって、ギリギリの時間差で、私の母に会えないことをちょっと残念がっていた。

おばあちゃんは私が退院する3日前に退院をした。すごく元気そうでよかった。

楽しい入院生活だった。またどこかでおばあちゃんに会いたいと思う。

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