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日本三名山のひとつ、白山の麓で暮らす写真家の木村芳文さんが記録した「白山、手取川のひととせ」
白山と手取川流域は、季節ごとにさまざまな表情を見せます。来し方行く末、変わるもの変わらないもの――大自然の息吹や一年の移ろいが感じられる風景を紹介します。ユネスコ世界ジオパークへの認定が申請されている今、雄大な自然美をぜひお楽しみください。(ひととき12月号特集「白山、手取川 清らかな恵み」より)
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春
桜がほころぶ季節、白山の雪解け水は手取川へと注ぎこみます。川が運ぶのは水の恵みにとどまりません。水とともに運びこまれる大量の土砂こそが、扇状地をつくり、豊かな土壌を育みます。一般に扇状地は水に乏しいと考えられていますが、雪解け水で潤う手取川扇状地は豊かな水田地帯。水に浮かぶ小島のように見える集落は「島集落」と呼ばれています。手取川氾濫の被害を減らすため、わずかでも高い土地に家を建てる知恵です
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夏
清冽な水と飛び交うホタル──手取峡谷の環境の豊かさを象徴する光景です。ニッコウキスゲは白山の標高およそ2000〜2400メートルの草原に植生。野生のイブキジャコウソウは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な植物です。白山の山開きは7月1日で、ご来光を拝した後、白山信仰の総本宮・白山比咩神社の神職の先導により万歳三唱をする習わしがあります
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秋
紅葉の見頃は例年11月上旬〜中旬頃。手取峡谷の形成開始は約2万年前と考えられていて、2万年にわたる大地の変遷と錦色に染まりゆく木々の取り合わせを愛でることができる絶好の季節です。やがて初冠雪を迎え、紅葉は雪化粧を施します──
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冬
銀世界に凍てつく水しぶき──神々しい姿の板尾不動滝は、落差およそ50メートル。登り口から一の滝、二の滝、三の滝と3つの滝を越え、不動滝に至ります。二千数百年前の火山活動によってできた岩が、川の激しい流れによって削れて滝となりました。白峰は日本有数の豪雪地帯。古刹・林西寺では、通常、積雪2メートルになると門徒らが屋根の雪下ろしをしています。雪だるま祭りも冬の風物詩です
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監修=青木賢人 写真=木村芳文
──本誌ではこのグラビアがさらにお楽しみいただけるほか、手取川扇状地の要に位置する鶴来と日本屈指の豪雪地帯である白峰をご案内します。全国各地の白山神社の総本宮である白山比咩神社をはじめ、豪雪地帯であるがゆえに栄えた養蚕業から生まれた織物・牛首紬、名水で作られた銘酒「白山菊酒」……。手取川流域の風土に根差した文化と歴史を美しいグラビアと共にご堪能ください。
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目次
●フォトアルバム
白山、手取川のひととせ
●イントロダクション
白山手取川ジオパーク
●紀行1 白峰
●紀行2 鶴来
白山比咩神社
☎076-272-0680
白山市三宮町二105-1
*宝物館
[時間]9~16時(11月は9時30分~15時30分)
[休]12〜3月
[料]300円、高校生以下無料
青木賢人(あおき たつと)
自然地理学者。1969年、東京都生まれ。金沢大学人間社会学域准教授
木村芳文(きむら よしふみ)
写真家。1962年、香川県生まれ。1988年から白山の撮影活動を開始。白山を生涯のテーマとして、高山帯の自然景観から山麓の生活・文化まで写真表現を追求している。写真集は『白山自然態系』(北國新聞社)ほか。
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