新幹線は魔法の乗り物──東海道新幹線60周年エピソード【入賞作品】〔PR〕
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「おはようございます!」
新卒の私は、リュックを背負っていそいそと職場の更衣室に入る。お気に入りの服を脱ぎ、保育着に着替える。よかった、誰にも会わなかった。朝から浮き足立つ姿を見られたくはない。
この日は三連休前の金曜日。大学卒業後、遠距離になった彼氏に会いに行く日だ。仕事をさっさと済ませ、定時に帰れば、静岡には20時に着く予定。何としても定時に帰る。そう決心して保育室に入る。
そして、あっという間に夕方。にこやかな顔で定時に保育室を去る。爆速で着替えを済まし、リュックを背負ってタイムカードを切る。一秒たりとも無駄にはできない。最低限の挨拶を保護者、先輩にしながら早足で駐輪場へ向かう。
ここからは全力ダッシュ。最寄りの駅から新幹線乗り場まで、「早く、早く」と願う。そうして何とか間に合った新幹線。ふぅ……。安堵の気持ちと一週間の疲れが一気に溢れ出す。「20時に着く予定!」と彼氏にLINEをする。一か月ぶりに会える。新幹線は私にとって、彼氏のいる場所に連れていってくれる、魔法の乗り物だ。在来線や、バスで会いに行くこともあるが、仕事終わりだと新幹線一択だ。新幹線に乗れば、一泊分多く一緒にいられるからだ。
ちなみに、行きにワクワクしているのはもちろん、帰りも堪らない。一緒に撮った写真を見返しながら、楽しかった時間に浸る。そうしているうちにだんだんと自宅へ近づいていく……。新幹線は、少しずつ日常へと戻してくれるタイムマシンのようでもある。
そういえば先日、久しぶりに新幹線に乗った。11年前に遠距離恋愛していた旦那と、その娘と共に。
武藤友絵さん(32歳)
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あなたと新幹線と60年。
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