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再ブーム到来のレトロな「昭和家電」を味わう。【昭和の日】

文=ウェッジ書籍編集室

今日は「昭和の日」ですね。
いま、“昭和レトロ”の人気が再び高まっていることをご存知でしょうか?
とくに当時の家電は「シンプルで可愛らしい」と、若者の間でも広く人気なんです。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などを見て昭和の雰囲気に浸るのもよいけれど、ここではもっと手軽に「昭和」を感じていただけたらとおもいます。
まもなく刊行される町田忍の懐かしの昭和家電百科より抜粋してお届けします。ぜひ、ご覧ください!

町田忍の懐かしの昭和家電百科』(ウェッジ刊)
2022年5月20日発売

昭和37年 常盤平団地

日本が戦後の混乱を脱し、高度経済成長へと向かう時代。生活様式の現代化とともに家電が暮らしの中にやってきました。松戸市立博物館の復元展示で昭和37年の常盤平ときわだいら団地に住む一組の夫婦と赤ちゃんの「家電のある暮らし」を見てみましょう。

勤労者に集合住宅や宅地を供給するために、昭和30年に発足した日本住宅公団(現独立行政法人都市再生機構)。同公団が最初に手掛けた団地の一つがここ、東京から電車で約1時間の千葉県松戸市にある常盤平団地だ。

この復元展示は、典型的な入居者として29歳の夫、27歳の妻、1歳の娘の3人暮らしを設定、2DKいっぱいに電化製品から家具、食器、衣服に至るまで生活のすべてを再現している。

1.ダイニングキッチン

公団がつくる団地で、最初から明確にされていたのは、食べる場所と寝る場所を分ける、「食寝分離」という考え方。ダイニングテーブルと椅子を置き、食事のできる台所としてダイニングキッチンは設計された。ちなみにガスコンロの横に換気口はあるが、換気扇はまだ付けられていない。

冷蔵庫

昭和30年代後半に冷蔵庫が普及すると、買い物の仕方や、普段食べるもの、飲むものが大きく変化した。とはいえ、まだ容量はそれほど大きくなかったので、わきには蠅帳はいちょうも置かれている。

ミキサー、炊飯器

キッチン家電でいち早く導入されたのは、つくりが簡単な電気コンロなどの加熱調理器具。ご飯を炊く手間を大幅に減らしてくれる炊飯器、ブームになった生ジュースをつくるためのミキサーは、昭和30年代になって普及した。

2.居間

居間は和室にじゅうたんを敷き、応接セットを備える。当時、公団入居者には家族のだんらんスペースを明確に設ける人が多かった。

テレビ

夕食後はソファーに座り、家族みんなでテレビを見る。あこがれの海外ドラマのように。昭和37年の白黒テレビ普及率は80%ほど。カラーテレビはまだまだ高嶺の花だった。ちなみに『週刊TVガイド』はこの年創刊された。

ステレオ

この家の夫はフランス映画とモダンジャズが好き(という設定)。ステレオセットもかなりしっかりしたものを使っている。上に載っている電気スタンドは手作りで、このウイスキーの瓶で作るのが当時、流行っていた。

3.寝室

居間と続き部屋になっている寝室。ベビーベッドはあるが、夫婦は布団を敷いて寝るのだろう。奥のミシンは足踏み式。ここまで見てわかるように、60年前の家庭には、照明以外の電化製品はまだまだ少なかったのだった。

4.浴室

浴室内に家電はない、というより浴室内の電気製品は照明だけだ。お風呂は今となってはぜいたくとも言える木の桶で、ガスで沸かす。シャワーもない。ガスバーナーの上のスペースには「上がり湯」が入っていた。

5.バルコニー

初期の団地では、洗濯機はバルコニーに置かれるものだった。ここで洗濯をして、そのまま干す。機能的ではあるのだが、音がするので夜は使えない。冬は寒いし、洗濯機自体も雨ざらしになってしまうので傷みやすかった。

◆松戸市立博物館◆
常盤平団地の復元展示は、2階の「総合展示」内にある。
住所:千葉県松戸市千駄堀671
電話番号:047−384−8181
URL:https://www.city.matsudo.chiba.jp/m_muse/
開館時間:9:30〜17:00
(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝・休日に当たる場合は翌日)、年末年始、館内整理日、燻蒸日
アクセス:新京成線八柱駅またはJR武蔵野線新八柱駅から徒歩約15分

いかがでしたでしょうか?
銭湯研究の第一人者で、昭和の暮らしにも詳しい町田忍さんの本書を読んで、レトロな昭和家電の魅力に心ゆくまで浸っていただけたら幸いです!

▼本書のお求めはこちら

【目次】
◉テレビ
放送開始、街頭テレビ、スポーツ中継、家具調テレビ、ボタンとリモコン、懐かしのテレビ番組など
◉白物家電
洗濯機の原理、進歩する洗濯機、掃除機のルーツ、掃除機戦国時代、冷蔵庫の多機能化、冷蔵庫と氷など
◉キッチン家電
電気炊飯器とジャー、電気で焼く、なんでも家電化!、キッチンを変えた家電など

町田 忍(まちだ・しのぶ)
昭和25年(1950)東京生まれ。和光大学人文学部芸術学科卒業。学生時代にヨーロッパを一人旅。その後、警視庁警察官を経て、江戸から戦後にかけての庶民文化・風俗を研究し、庶民文化研究所を設立。執筆活動のほか、コメンテーター、コラムニスト、テレビ・映画・ラジオ出演、ドラマの時代考証など多方面で活躍。主な著書に『納豆大全』(小学館)、『蚊遣り豚の謎』(新潮社)、『町田忍の昭和遺産100』(天夢人)、『町田忍の銭湯パラダイス』(山と渓谷社)、『町田忍の手描き看板百景』(東海教育研究所)など多数。

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