【東天王 岡﨑神社】おみくじも提灯も卯づくし「狛うさぎ」|京都 動物アートをめぐる旅
「京都は歴史があるだけでなく、同時に新しいものを受け入れる自由な気風がある。そこがこの街の底力だと思います」
伝統と現代を掛け合わせる竹笹堂*のセンスに心酔した様子の金子さんと訪れたのは、平安神宮近くの岡﨑神社。平安遷都に際して王城鎮護のため、都の東(卯の方位)に建立されたことから東天王とも称されている。また、かつてこの地域一帯にノウサギが多くいたため、兎は氏神の使いと伝えられている。その境内には、昭和時代の提げ灯籠などとともに、平成と令和に建立された狛犬ならぬ「狛うさぎ」が3対あった。
「境内にこうした時代の積み重ねがあるのが、すごくいいなあ」
私たちはとくに歴史ある街を旅すると、つい新しい時代につくられたものを素通りしてしまうことがある。けれどもこの言葉を聞いて、金子さんの企画する展覧会が人気の理由がわかった気がした。古いものも新しいものも、有名なものも無名なものも、良いものは良いと分け隔てなく慈しむフラットな視点、自由な発想ゆえなのだろう。
旅の最後に金子さんお気に入りの「わしょく宝来」へ。2016年に開店したばかりの新しい店だが、店主の宝来剣太さんが腕をふるうひと皿ひと皿は、すでに京都の食通の間でも噂になっている。
2023年は、世界中の人々が疫病も厄災もぴょんと飛び越えて、笑って過ごせますように、乾杯!
旅人=金子信久 文=橋本裕子 写真=中田 昭 企画構成=久保恵子
──ひととき1月号では、禅寺の竜やかわいい版画が楽しめるお店まで、動物アートの名所をめぐり、日本で動物の美術が花開いたその歴史を紐解いていきます。新年の干支、兎をはじめ十二支にちなんだ動物画や彫刻、金碧障壁画などのグラビアもお見逃しなく。愛らしい動物アートが結集する貴重なこの機会、ぜひご一読ください。
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出典:ひととき2023年1月号
▼好評だった「ひととき」2022年4月号では、京都タイルを特集しています。note上でお読みいただけますので、どうぞご一読ください(定価500円)。
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