2021年面白かった本(メモ)
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丸山 豊『月白の道 戦争散文集』(中央公論新社)
月村 了衛『機龍警察 白骨街道』(早川書房)
いぬのせなか座「無断と土」(『異常論文』(早川書房)の中の一編)
デイヴィッド・ピース『TOKYO REDUX 下山迷宮』(文藝春秋)
エイドリアン・マッキンティ『レイン・ドッグズ』(早川書房)
マーガレット・ワイス『レイストリン戦記 魂の剣』(KADOKAWA)
神林 長平『戦闘妖精雪風 四部』(早川SFマガジン掲載)
レティシア・コロンバニ『三つ編み』(早川書房)
ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(早川書房)
竹本 健治『闇に用いる力学』(光文社)
よしながふみ『大奥』(白水社)
年末の駆け込み『TOKYO REDUX』が傑作で、『TOKYO YEAR ZERO』を読んでいなかったことに後悔した。絶版のため、図書館で借りる。返却待ちなので占領都市、Xと云う患者を先んじて読んでいるところ。
丸山豊は古処誠二が言及していたので知っていたが、読むのは初めて。詩情の切り取り方の巧みさに圧倒される。その美しい文章で隠すことのない白骨街道の凄惨さ、救えない医者、蛸壺の苦しみなどに息が詰まる。長く読まれる力があり、風化されることはないであろう。文学上の、訪れる人の絶えない石碑となってほしい。復刊してくれてありがとう、中央公論新社さん。
『機龍警察 白骨街道』はミステリマガジンの連載を追っていた。その分の衝撃込みの思い出。最近の月村了衛の書くものは応援したい。Twitterの感想キャンペーンで色紙をもらった。ありがとうございました。
『レイン・ドッグズ』はゲラ先読みキャンペーンで読んだ。製品版も買う。ダフィの生き方が決まる巻。北アイルランドに取り残される絶望のなかで警察官の意地、将来の希望が光る。次巻も今年刊行らしいので楽しみ。
『レイストリン戦記』は、『ドラゴンランス』シリーズのスピンオフ。2年前くらいに魂の戦争までの合本が電子版で出て、読み返したら本当に素晴らしかった。私のティーンエイジのころの心の友だった。今でも最高の本。レイストリンやキャラモンの大審問が読めてよかった。キティアラ、タニスの若い時のことが読めたのが嬉しい。レイストリンだけでなく、ランスの英雄の前日譚だった。次も楽しみ。
『大奥』は評判は知っていたが、完結すると聞いて一気に読んだ。なんだこの最高の漫画は!?ジェンダーについて真正面からぶつかっている。現実でもフィクションでも女が女に期待を込めて生きることをあまり見れないことへの不満が解消された。傑作。読めてよかった。
『無断と土』SFマガジン上でも突出してよかったので文庫も買った。他のものと比べても異常に良い。国家の肉体、個人の肉体がVRゲームというフォーマットで扱うことで論じる詩情があった。編者とその周辺(SFとビジネスを結び付けようとする人々、同質性で連む人々)への嫌悪感があるため、文庫を買おうとしなかったが、本作を残すために買った。これまでメジャーに現れなかった人々をひっぱりだしてきたことは評価したい。仲間内のワイワイで生まれる面白さは確かにあるが、そこからの戦略が不味かった。
振り返ると、女性(自認)作者のものはあまり読んでいない。
本屋でも女性作家/男性作家のくくりで分類しなくなってきている中でナンセンスかもしれないが、今年はバラエティを持たせた読書をしたい。
文芸界における女性作家は「美人」かどうかが重視されるかもしれない。
男性作家は容姿はスルーされるか近影なしでもいいのに!
その非対称さ、性別によるジャンルの決め付けも感じつつ読んでみたいものです。
なぜか好きなものを読むと男性(自認)が多いのも問題かもしれない。
女性をスナックにする作家も嫌い。
例えば性的被害を受けたが乗り越えて元気です!みたいなやつもダメだ、というのも去年言語化できた。
少女のオブジェ化に対して厳しい目で見る。
ところで高村薫の『我らが少女A』はそこを正面から書いていてよかった。
ありがとう高村薫……。
とまれ、いろいろ読んでいきたいです。