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思い出の交差点

思い出の交差点、

ファミリーレストランのことを、しばしば私はこう表現する。

理由は自身でもわからない。

幼い頃から通うジョナサン(旧すかいらーく)もロイヤルホストも交差点に位置しているからかもしれないし、

席に着いた時、これまでその場で過ごした数々の時間や会話、思い出が交錯するからかもしれない。

幼少期、祖父母に連れられて通ったすかいらーく。

ナイフやフォークの使い方は隣の席に座るお姉さんの見様見真似で覚えた。ませていた。

祖父は決まってビーフシチューを頼んだ。毎回。沢山のメニューに目をキラキラ輝かせていた自分には当時は理解出来なかった。これしきのことでは浮つかないおじいちゃんはすごい、大人はすごい、と思った。

10代から20代にかけては、女友達と出掛けては恋の話に花を咲かせたり、結婚式の余興の打合せをしたり、

居酒屋のアルバイト帰りに仲間たちと寄り朝まで過ごしたりした。

明け方まで、お笑い芸人を目指していた男性のほぼ独壇場で、何を話していたかはさっぱり覚えていないのだけど、とにかく楽しかったことだけは覚えている。朝方になると夜の商売帰りのホステスさんや黒服のお兄さんが多かった。

歴代の恋人ともよく行った。

フェスの計画を練ったり、別れ話をしたりした。

その日は私の節目の誕生日で、誕生日なのに激しい口論になった。勘定を払うと言う彼に、そんな端金は要らないと突っぱねた。とても悲しい時間だった。

同じ席、同じ景色なのに。
別れ話の後しばらくは同じ席に座るたび涙がこみあげた。

幸せな幼少期の思い出も、無邪気な少女時代の思い出もかき消されたみたいで余計に悲しかった。


最近のファミリーレストランとの付き合い方はモーニングがお気に入りだ。

朝は年配の方が多く落ち着いている。
新聞を読んだり本を読んだり、皆思い思いに過ごしている。

何の思い出も生まれそうもないけれど、穏やかな時間だ。

ロイヤルホストを扱ったアルバム発売を記念して限定で貰える藤井隆さんのエッセイとともに

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