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オタクになれなくなったのは

私はわりと歴史が好きである。いや、「好きだけれどニワカ」と言ったほうが正しいかもしれない。所謂、youtubeで動画を見たり、図書館で世界史関連の本を借りて読んだりする程度。そこまで深堀りしていないため、「ニワカ」だと自己分析している。

歴史と言っても、日本史は苦手で、世界史が好きだ。高校時代も、日本史は赤点ギリギリだったのに、世界史は3年間オール5だった。この違いはなんだろう。カタカナの地名や人名は覚えられるのに、漢字の人名は覚えられなかった。不思議。

最近、youtubeで歴史のまとめ動画を見るのにハマっており、毎日1~2本ずつ動画を見て楽しんでいるのだが、それらを見ているうちにふと思った。『ああ、私は全然オタクじゃなくなってしまったなぁ』と。昔は、それこそ興味のあることは一日中続けられたし、疲れなかったのに。

そうなのだ。最近、「オタク力(ぢから)」が枯渇してきているというか、「ハマる」力が衰えてきているように感じる。集中力が続かないし、第一、休みの日を返上してなにかの世界に没頭する、ということもほぼできない身体になってしまった。元オタクの私からしたら、これはたいへん由々しき事態である。

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私は子どもの頃からオタク気質だった。3~4歳くらいから母が絵本の読み聞かせをしてくれたおかげか、小学校に上がる頃には無類の本好きになっていた。学校の図書室に入り浸り、休み時間も家に帰ってからも本を読み漁った。

本の世界に入り込んで、現実を忘れられる感じが好きだったし、行ったことのない遠い国で、昔こんなことがあったんだ、と思いを馳せたり、ミイラについて調べたり(入定ミイラについて興味があった)。そういう風に、いろんな角度から物事を深堀りして妄想するのが大好きだった。

当時は、子ども向けのノンフィクションや世界の偉人を扱った漫画などを読むことが多かったが、本の読み過ぎで視力が落ち、小3でメガネをかける羽目になった(遠視なので、回復したり悪化したりを繰り返し、今はほぼ裸眼で過ごしている)。

本を読んでいる時は、周囲の声が耳に入らなくなるので、友達に耳元で怒鳴って呼ばれるまで気づかなかったり、漫画に夢中で、降りる駅を通り過ぎたり。「集中力も、ありすぎるとなんとやら」というのか、「熱中しすぎる」傾向があるせいで、今までいろいろやらかしてきた。

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中学校に上がると、私のオタク気質はさらに加熱した。友達もオタクだったので、地方の同人誌即売会に友達の手伝いで参加したのをきっかけに、「隠れオタク」デビューして、二次創作の世界にどっぷり浸かった。

高校の時はもうアルバイトをしていたが、なにもない休日は、朝の8時から夜の22時ごろまでぶっ通しで本を読んだりゲームをしたりアニメを見たり。学生だからこそできる時間の使い方だけれど、それだけ同じことを集中して続けても平気だった。

漢字検定の勉強も、長期休みを使って、1日10時間の勉強を3週間休まず続けたりして(試験には無事合格した)、凝り性というか、好きなことは異常なほど集中してやる子どもだったなぁ、と今になって思う。

ちゃんとした診断を受けたことはないけれど、学生時代に自閉症スペクトラムの質問紙法をやったらかなり高得点だったので、この「熱中する」気質にも多少影響しているかもしれない(気分を害する方がいらしたらすみません)。

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このような(?)、自他ともに認める「廃人」系のオタクだった私だが、アラフォーも視野に入ってきた現在は、本も漫画もろくすっぽ読まず、youtubeで1時間くらい続けて動画を見ただけで『あ~、もう疲れてきた・・・』と音を上げる始末である。これではもうニワカとすら呼べないかもしれない。これはどうしたことか。

若さという無敵のHPの総量が低下してきたことも要因として考えられるが、他に考えられるのは「純粋さ」を失ってきているのではないか、ということだ。子ども特有の、なにかに、ただ純粋に入り込んで没頭する一元論的な視野が、おとなになって多元的になって、「ひとつのことに集中できない」状況をもたらしているのではないか。

これはなにかに役に立つ、とか、勉強になる、とか、そういう視点で見てばかりいると、私の中の「オタク」が死んでいく。

社会に出て視野が広がった分、創作の世界に広がるような「夢物語」を心から楽しむ「純粋さ」を、私はどこかに置き去りにしてきてしまったんだろうか。そうだとしたら、嫌だなぁ・・・。

なにかに熱中すること、ハマること。なにかが面白くて、好きで、ワクワクする。そういう風に純粋に「オタクになれる」自分を忘れたくない。

時には「コレ何の役にも立たないんだけど、好きなんだよね~」ということをやらないと、かえって思考の柔軟性も低下するし、人としての面白み・深みもなくなるんだな。

今の、まだ「面白みのない大人・レベル1」くらいの段階で、このことに気づけてよかったと思う。時間のなさや余裕のなさを言い訳にしないで、たまにはなんの生産性もないオタク時間を作るようにしよう。

子どもの頃みたいに、「深読み」するのはストーリーの背景だけにして。

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