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【エッセイ風】はじめて言われた「守ってあげたい」
ちょっと前まで、恋人のいないフリーの期間が三年くらい続いていた。
そんな時、お仕事関係でお世話になったちょっと年上の人から、エビ尽くしのディナーに誘われた後、波止場で告白された。
「あぐりちゃんのこと、守ってあげたいと思った」
言われていることを理解するのに三秒くらいかかった。え?これドラマでよくあるやつ?「これ、隣のお客様からです」ってカクテルを差し入れられるのと同じくらい、都市伝説だと思っていたよ。
それから怒りの感情が沸き上がってきた。
好きです、つきあって「ください」じゃないの? なんで守って「あげるよ」って上から目線なの?
「ください」を「あげる」で読み替えるのは卑怯!
言葉尻をつかまえてののしるのは気分が良いものじゃないけれど、端々にうかがえる上下関係が、がまんならなかった。確かにわたしはあなたほど収入が高くないかもしれない。人生経験も浅いし、あなたには一見あきらかにみえるようなことで迷い、つまづいているのかもしれない。それでもさ、仮にも恋人になってほしいと提案するのなら、そのあたりは正直に言わないとかっこ悪いよ。照れ隠しのつもりでも、かえって無様だよ!
あとから検索してみた。
「守ってあげたい 真意」「守ってあげたい 何から」
何から、は解釈次第みたい。好意的にとるなら、金銭的な負担、人生の苦労、漠然とした不安や不確実性みたいなものから。それにしても、それは暗に、わたしよりも自分のほうが優れていて対処できるっていう意味合いが含まれているよね。わたしではどうしようもできないことを、自分なら難なく解決できるっていう驕りが、隠れているよね。
三十年前ならロマンチックに聞こえたかもしれない台詞は、令和アラサーの耳にはちょっとしたマウントにしか聞こえないのよ。
「自分の身は、自分で守れるんで。」
なんて、かわいくないお返事。