dip感想
リリースから2週間あまり経ってしまったが、ようやく、夜の本気ダンスの新譜「dip」の話。
dipというタイトル
まず、アルバムタイトルについて。
夜ダンのタイトルセンスが本当に素晴らしいと思う。毎回アルバムの世界観にぴったり寄り添うちょうどいい色気のあるワードを、上品にこちらにスっと提示してくれる。
dip、という単語には、浸す、という意味がある。ジャケ写にも、ソースにメガネを浸している様子が描かれている。アルバムを聴いて、色々な味に夜ダンをdipしているように思えた。味というのは、曲調や、ピラミッドダンス、Vivid Beatをはじめとする他のアーティストとのコラボなどである。実際インタビューにもそういったことが書かれていた。
どんな味にdipしてもしっかり夜の本気ダンスというバンドの旨みが消えないところがとても好きなアルバムだった。
1.ピラミッドダンス
10月に配信リリースされた、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミさんとのコラボ曲。作詞作曲ともにケンモチさんが手がけているが、しっかり夜ダンの味がある。
とにかくライブが楽しい曲なので、是非ライブでたくさんの人に聴いて、踊って欲しい。
2.DYWD?
展開が目まぐるしい一曲。わたしは2Aが好き。
サビ前のギターのフレーズが「ここでしかありえない!」という最良のタイミングで刺してくる。西田さんのギターのこういうところが好きなんだよな、、というポイントのひとつ。いつだって迷いがない潔いギターだなと思う。
ラスサビの一番最後の「散々ありふれてる」のところでドラムが一気に支配するところがめちゃくちゃかっこいい。
3.Vivid Beat
こちらも先行リリースされていた、ビッケブランカさんとのコラボ曲。
鍵盤の音が入った夜ダンはかなり新鮮。
アルバムの前後の曲との組み合わせなのか、リリースされた時よりもしっとりした雰囲気がした。
鍵盤に気を取られがちだけど、リズム隊のグルーヴがこのアルバムの中で一二を争うくらい好き。
4.GOOD LUCK
この曲は、夜ダン好きな人全員好きでしょ絶対。リフでぐいぐい引っ張っていくこの感じ。ギターとベースのシンクロが気持ちいい。
1サビ前に入ってるベースのワウが攻めすぎてて好き。マイケルさんはたまにとんでもない音を放り込んでくるのがずるい。これは余談ですが、ベーマガの機材紹介でリッケンバッカーを「攻めたいとき用」と紹介していたマイケルさん本当に良すぎる。
あとこの曲は歌詞も良い。初めて行った夜ダンのライブ(2023.6.2梅田クアトロ)でタイトル未定の新曲として披露されていて、「始まりたくて始まってんじゃない」という歌い出しに、「夜ダンってこんな退廃的なこと言うの?好き!!」と思った記憶がある。この話を思い出して、ライブで初めて聴く全く知らない曲でも歌詞がちゃんと届くちょねさんの歌声の素晴らしさに今更ながら気づいた。
5.Gold
サビの開放感が最高な一曲。みんなで手挙げて大合唱したい。
Bメロの歌詞は鈴鹿さんが書いていて、その部分の素直さが愛おしい。友情とも恋愛ともとれる、ニュートラルさが聞いていて心地いい。
アウトロのギターだけになってテンポがだんだんゆっくりになっていくところですべてが浄化される。
6.虹
初めて聴いた時、「絶対結婚式で流したい!」と思った曲。
「虜になる覚悟はある」「運命の人君にしよう」など、まんまと食らった歌詞がたくさんある。強引なような気がする言葉もあるけど、全体的にゆるりとした空気感があって、気負わずに気楽に、素直に愛を持っていいんだ、と思えてこれからずっとこの曲を大切にしていきたいなと思う。
7.ABRAKADABRA
ラジオで初解禁された時からずっと好きな曲。
まず、とにかくスピード感がすごい。実際、夜ダン史上最速のBPMだそうだ。
ギターとベースが正面からぶつかり合うようなリフで、そこに負けじと力強くドラムが響くイントロは、音源を聴くだけでもかなり迫力がある。
特に好きなのはギターソロ。是非イヤホンかヘッドホンで聴いてみて欲しいのだが、ギターの音が、右から左に移り、また右に戻っていくのだ。夜ダンのライブでギターソロを聴く時、爆音とかっこよさにやられて頭が揺れるような感覚に、わたしは毎度なるのだが、それがなんともお手軽に体験できてしまい、非常に危険で素晴らしい。
8.パセティックガール
個人的dipの最推し曲。曲タイトルが発表された時点で、好きになる気配がしていた。こういう時の予感はだいたい当たる。
この曲は、とにかくリズム隊がかっこいい。どっしりと構えたベースラインへの信頼感。ドラムのフィルインからギターのカッティングへの繋がりは、何回聴いてもときめける。
そして、ギターソロ。これ絶対ライブでやる時はギター2本でバチバチに弾くやつですよね。そうですよね。まだライブでは聴けてないけど絶対見たいからお願いします。
9.Crush me
2分に満たない、文字通り駆け抜けるように終わってしまう一曲。
ここまで色んな曲を聴かせて、dipさせてきたのに、最後には自らを壊してくれと歌う。さすがにロックバンドすぎる。
「俺も刹那的に終わる」という歌詞で、本当に終わるアルバム。あまりにも潔くてかっこいい。
まとめ
夜の本気ダンスというバンドの旨みが消えない、と最初に書いた。自分たちの味の引き出し方を分かったうえで、色々な組み合わせをdipという形で提示する。そんなアルバムだと思う。
長々と書いてきたが、とにかくめちゃくちゃかっこいいアルバムなので是非聴いてみてほしい。
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