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長女の憂鬱

お父さんが倒れて 入院した 今はもう退院したけど今後仕事を続けられるのかはわからない お母さんがずっとため息をついている つかれた 意味ありげな視線を送ってくる きっと何かわたしに話して楽になりたいことがあるのだと思うけど ごめんなさい もうわたしは限界です お母さんはずっと、浮気をしない男性なんてこの世に一人もいないと言っている そうしたらお父さんも浮気してることになるよ?? 怖くて聞けない なんとなくそういうような内容なんだろうなと察しがついている お父さんが入院して

    • 毒親なんて絶対言わない良い子だよ だから愛して

      私達姉弟が小さい頃のお母さんの写真フォルダが弟の写真ばっかりだった。私も映っているけど、大抵弟とのツーショットだ。なのに、弟のソロショットは、細かい生活の場面を大切に保存するように、大量に存在した。 小さい頃、自分が弟よりも愛されていない気がして、 わたしと弟どっちが好きなの?弟の方がお母さんは好きなの?としつこく尋ねていた私の直感はあながち間違えではなかったのかもしれない。 あのとき、そんな事きいてあんたは!!と結局私が怒られていたのは図星だったからなのかな 布団を敷

      • 仮面浪人の憂鬱

        わたしは仮面浪人生。 中堅私立大学の文学部に通いながら、受験勉強をしている。 わたしはなんで仮面浪人をしているんだろう。分かっても分からなくてもその問いを自分にずっと投げかける。いつかとっても素敵な言い訳が見つかるかもしれないから。 わたしは中高一貫の私立の女子校に通っていた。特別に偏差値が高いわけでもないけど、まあまあの進学校で毎年早慶上理や難関国立大学に学年の半分以上が進学する。そんな学校に通っている自分に、わたしはとても満足していた。可愛い制服に上品で穏やかな同級生た

        • ノルウェイの森を読んで

          村上春樹の文章は初めて読んでみたけど、文体がすごくよかった。 最近宮下奈都の『羊と鋼の森』を読んで、凄く文章が綺麗で最初はうっとりとしていたけど、だんだん 美しさを狙った表現に興醒めしてしまったから、村上春樹の文章を読み始めた時これだ!と思った。 教科書に載っていた坂口安吾の日本文化史観がとても好きで(というか坂口安吾が好き)、実用性に即さない飾りだけの美しさなど捨ててしまえ、真の美しさは人間の営為に伴う実用性にのみ宿るという内容に衝撃を覚えて夢中で何度も読み返したけれど、村

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