「一歩引く……」No.62
禅の言葉に、
「規矩不可行尽」(きくおこないつくすべからず)とあります。
宋代の法演禅師が、「法演の四戒」において、
第三戒として戒めたことの一つです。
「規矩」とは手本や規律を意味します。
いわゆる「~道」を除き、
何から何までお手本どおりにやることを強制したり、
規則やマニュアルでがんじがらめにしてしまっては、
人にうるさがられて逆効果だということを示しているのだそうです。
会社も学校も同じだと思いますが、
規則ずくめでは息苦しく、人が伸び伸び育ちません。
また、手本やマニュアルでこと細かく指示されると、
自分で考え自分で判断しようとする芽を摘んでしまいます。
これは本当にもったいないことです。
自戒の念もこめて、気をつけなければならないと痛感します。
一方、この「四戒」の第四戒に、
「好語不可説尽」(こうごときつくすべからず)とあります。
美辞、人生訓、真理を説く言葉も、
こと細かくいちいち説明し尽くしては、味わいも薄れ、
相手に軽んじられてしまう。
価値ある言葉こそいちいち説明するものではないと……。
ある意味、真の人財教育のあり方が論じられているように思います。
教育とは“呼び水”であるべきと、最近よく思います。
「一歩引く」ことって大事です。
感謝