個のスペシャリスト集団が大手広告代理店にコンペで勝つまで。
Honmono立ち上げから4年。
ひとつの目標を叶えることができました。
電通や博報堂がやるレベルのプロモーション案件を、広告代理店ではなく個のスペシャリスト集団であるHonmonoに任せてもらう。
初期メンバーで立ち上げたひとつの目標でした。
とはいえ4年前の立ち上げ期、実績や経験もなし。
営業するミイショ(私)はクリエイティブ経験のない素人。
そして、従業員も資本金も設備もゼロの非営利団体で実現する。
目標というよりは夢に近い。
何言ってんだと当時バカにもされたし、それっぽい業界の人からはできない理由を一生懸命説明された。離れていったメンバーもいる。
それでも信じ協力してくれたメンバーと泥臭く粘り、経験値を貯め、遂にコンペの土俵に立てることに。
誰もが知る大手ECサイトのプロモーション配信、インフルエンサー数十人をマネジメントする大型継続案件。クライアントは全世界に事業展開するグローバル企業。
2023年7月19日、Honmonoが受注しました。
喜びと同時にメンバーへの感謝と未来への期待。
入り乱れる今の想いを書き綴ってみました。
ホンモノキョウカイ?宗教団体かなにか?
4年前、渋谷のコワーキングスペースの一画。
メンバーを集め、オフィシャル(Honmonoで企業とお仕事をする領域)の方針を話した。
その時の資料の1Pがこちら。
今すぐに企業がHonmonoに大きな仕事を託してくれることはない。
まずは修行、そして実績をためて企業からの信頼とチームの連動力を高めていこう。そうすれば私たちがやりたい、上流の社会を動かすプロジェクトに挑戦できるはず。
ポカンとしていたメンバー、半信半疑のメンバー、作業しながら耳だけのメンバー。最初はそんなもんだと思いながらも、ある数人は本気で感じていてくれていたのを覚えている。
論より行動。
まずは映像制作の営業を意気揚々と始めたが現実を思い知らされる。
宗教団体としての説得性が増すばかりだった。
それでもメンバーからの紹介もあり、少しずつではあるが映像制作を中心に案件を増やしていった。
そして、その過程で手応えのようなものを感じていた。
その感覚はクライアントの課題に向き合えている、という自信。
私はクライアントが「映像を作りたい」といっても、何のために必要なのか、どう活用するのか担当者ととことん話すようにしていた。
私はHonmonoを立ち上げる前にIT企業で法人営業をどっぷりしてきた。
何かを提案するときに「そもそもの課題って何だっけ?」を整理することが習慣化されていた。
当たり前のことをしているつもりだったが、映像業界における課題解決型の提案はクライアントに喜ばれた。
実績や体制も乏しいにも関わらず、コンペになると受注率が50%は超えていた。
当たり前のことやってるだけなのになぜだろう?
と、コンペ会社の提案書をお客様にこっそり見せてもらうと、ほとんどの会社が「どれだけ素晴らしい映像を作るか」が目的になった内容だったのだ。
映像制作会社はイケてる映像を作ることが目的。SNS運用会社はフォロワーを増やすことが目的。WEB制作会社は見栄えの良いWEBサイトを作ることが目的。
そもそもの課題が全く語られてない。
確かに多くの案件をこなし売上と利益を確保する営利の制作会社であれば、クライアントの課題を深掘りする労力は非効率なのかもしれない。
それこそ、2020年〜2022年はコロナ禍によりオンラインを主体とする映像、WEB、SNS、広告などは需要が高く、制作会社もこなすことで精一杯だったのだと思う。
私たちは非営利団体。そこまで案件も多くない分、一つ一つの企業の課題に真剣に向き合うことができた。
それが勝機でもあり、少しずつ実績と信頼を重ねていくことができた。
一方、業界への危機感も感じた。
クライアントが広告代理店や制作会社の「形だけ提案」に任せきりになり、依存や搾取されていること。
そしてその下流では、下請けのクリエーターが安く買い叩かれている現状。
クライアント目線でもクリエーター目線でもこの歪んだマーケットを正す取り組みが必要だと感じた。
「クリエイティブが社会をより良くするためにあること。」
私たちのミッションはその危機感から生まれた。
自分の看板で挑戦する実力のあるクリエーター、そしてプロデューサーが協力し
意味のあるクリエイティブを社会に提供する。
そこから右往左往ありながらも多くの実績と経験を増やしてきた。
広告代理店とのコンペ。でも、いつも通り。
そんな中、一件のメールがサイト経由であった。
誰もが聞く超大手のグローバル企業。
「なぜうちに?」とは思ったが、話を聞くとこれは運命だと感じた。
「既存広告代理店の対応が良くない。」
担当者からそう言われた。
すぐにプロジェクト体制を構築した。
課題やあるべき姿を担当者とメンバーと何度もすり合わせた。
他の広告代理店も参加した今までにない規模の大型コンペ。
だったが想像と違い、不思議となんの気後れもなかった。
風呂敷を広げた無理な提案をすることもない。
いままで取り組んだ実績や経験、築き上げたチームの連携力。
それらが生み出すスピーディかつ的確な提案。
要はいつも通り。
練習でやれてることを試合でちゃんとできた感覚だった。
明らかに私たちの提案のほうが優れているという確信があったし、実力で勝ち取れた。
クライアントも正直びっくりしたと思う。
おそらく当初はHonmonoが本命ではなかった。
が、提案を重ねるごとに担当者の反応が変わっていくことを感じた。
最後は資本ゼロの非営利団体に任せていいのか、、、という別軸での際どい判断もあったと思うが英断してくれた。
(使える銀行口座が信用金庫しかなく、アメリカ本部を困らせてしまったことが今回唯一の反省点。すぐに銀行口座を開設した。)
提案や実力には大きな自信があったが、
企業体や資本力という面で言えばよく私たちに任せてくれたと思う。
この4年間が作った豊かなHonmonoの土壌。
時は少し戻り2023年1月4日。
今年は営業に力をいれる、と公言した。
半年間ひたすらに営業を続けた。
そして、7月。
蒔いた種に芽が出て、ようやく花が咲いた。
しかし、
それはあくまで今まで培った豊かな土壌があったからこそ。
創立期を支えてくれたカズさん、みほりん、霞さん、川上さん、吉田さん。
何もないHonmonoに実績と自信を与えてくれた。
広告という武器を授けてくれた石田さん。
辛い時にも裏からずっと支えてくれた。
クライアントとクリエーターの間で案件を取りまとめてくれたしおりん、一平さん、ヤンさん。たくさん衝突したけど、頼りになるプロデューサー陣。
中期には様々な個性を持ったクリエーターが参加してくれた。竹之内さん、植村さん、矢野さん、ななみん、ちーちゃん、レナさん、磯野くん、シゲミさん。
クライアントのニーズや世界観に合わせた表現ができるようになった。
頼りになる敏腕弁護士、大島日向もいる。
いざという時にHonmonoやメンバーを守ってくれる。
更に、SNSの課題解決ができる松本さんとちくあみさんが加わり提案の幅が一気に広がった。
クリエーターでもない、現場のことを何も知らない素人の私が取りまとめることで不満や我慢も多くあったと思う。離れたメンバーもいる。
でも離れたメンバーも今もいるメンバーも全てが土壌となって、今のHonmonoのクリエィティブ領域を作り上げている。
一つひとつの失敗と成功がどれも無駄ではなかった。
綺麗事だけど本当にそう思う。
みんなに感謝の気持ちで一杯。
日々は足りないことに目を向けがちだけど、今日は素直に目標達成を喜びたい。
そして山頂からは新たな高い山も見えた。
やることはたくさんある。
不足している要素もまだまだある。
受注はゴールではなくスタート。
ここから提案をカタチにし、
クライアントに「Honmonoに任せてよかった」と思ってもらう。
そして、
クリエーターのみんなが「Honmonoにいてよかった」と思って欲しい。
クリエイティブで社会をより良くする。
これからが本番だ。
最後に。自分の看板で頑張ってる人たちに。
改めて。
フリーランサーでも起業したばかりの小さな会社でも、私たちの個の力を結集すれば大手広告代理店や大手制作会社とでも戦える。
下請けやココナラ・ランサーズを否定しているわけではない。
短期的な収入や実績が必要なフェーズもある。
ただ、AIの到来により、単純な制作業務へのコストカットや業務搾取は逃れられない時代がくる。
より社会的影響力のある仕事をしたい
豊かなやりがいのある仕事をしたい
人間にしかできない仕事をしたい
のであれば、私たちはクライアントの課題の上流に向かうべきだと思う。
自分の看板だけで全てを背負う必要はない。
看板の違う私たちだからこそ、結集すれば多種多様な表現ができる。
自分の看板でやると覚悟決めた私たちだからこそ、結集すれば泥臭く粘りチームを作れる。
そして本気でやればクライアントも信じてくれる。
そんな時代がこれから来る。
今、Honmonoの土壌にはたくさんの魅力的なクリエーターが集まってきている。
想いある方がいればぜひHonmonoの扉を叩いてほしい。
皆さんとやりがいのある仕事ができることを楽しみにしています。