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364 クレバーなマンション管理組合
20年以上管理費値上げせず
新築のマンション。新しい生活にワクワクする。そしてみんなが直面した事実。「なんだこの管理会社は」「施工会社の系列をなんで使う?」
最初の年度に住人からの不満が爆発。最大の問題は管理人だった。勤務中、掃除しながらタバコを吸っている。特定の住人とやたら話し込む。どうやら他の住人の噂を流している。まず、管理人を代えなければ。
管理組合は動きだした。
最初にやったことは、駐輪場を増やすこと。植栽を減らして自転車をより多く置けるようにした。駐輪場が少ないと、みんながエレベーターに自転車をのせて自宅の前の廊下に置く。共用部分に私物を置くのは問題が多い。災害時の避難にも影響する。そもそも施工会社の設計で駐輪場が少なすぎたのだ。だったら自分達で増やそう。
賛同を受けて動き出した管理組合は、次に管理会社と戦う。
「これだけ苦情が出ているのだから、管理人を変えて欲しい」。ところが施工会社系列のその管理会社は否定的だ。動かない。それどころか、まだ一年も経っていないのに管理費を値上げしたいと言い出す。
マンション管理のコンサルタントを雇い、管理組合は競争入札で新たな管理会社を探す。三社の競合の末に、こちらの考えに賛同してくれた管理会社を選ぶことができた。
管理人を変える話から、いっきに管理会社を変える話へ発展。もちろん、管理費を値上げしない方向だ。
その代り、空きの目立つ機械式駐車場をマンションの住人以外にも貸すようになった。これまた幸いにも不動産屋さんを経営する人が住人にいて、その人がすべて対応してくれた。いっきに管理組合の予算はプラスになった。
その後は、自分たちで選んだ管理会社と話し合いながら大規模修繕も予算の範囲内でやり遂げた。
こうして20年以上、管理費を値上げせずにやってきた。この界隈ではもっとも管理費と修繕積立金の安いマンションとなっていた。
そして住人も当初の人たちは半分ぐらい。多くの部屋が持ち主を変えている。この先、もっと変化していくだろう。
初期に一緒に戦った人たちも散り散りとなったが、わずかに残った人達はいまも目を配っている。
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