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379 文章の量を減らす

これまで書きすぎた

 仕事にしてしまったのだから当然だが、フリーライターは文字数と収入が比例するのでどうしたってたくさん書いてしまう。それが習い性というのか、あるいは職業として当たり前のことだ。文字数が足りないなんて言わせない、とこっちは思う。編集側はぴったり書いて欲しいこともあるだろうし、多めに書いてあっても削るよ、ということもある。「このまま使おう」とページ数を増やす場合もあれば、「写真や図版を入れるのでもっと縮めて」と言われることもある。
 業界紙の新聞記事は記事の価値によって文字数の目安がだいたいある。新聞は段数で決まる。1段の記事は見出しが1段だから、そこから横に記事が伸びる。右から左にバーッと1段フルに使うことはない。格好悪い。だいたい指定され、その文字数で過不足なく書く。価値の高い記事は見出しが大きくなっていく。2段、3段とタテに見出しがのびるほど価値の高い記事。そのほかコラムという囲みで表現する場合もある。指定した文字数しか入らない。
 当時、新聞の原稿は200字の原稿用紙(ペラと呼ばれていた。ペラ1枚、ペラ2枚とか)だった。
 その後、雑誌へ移ると、今度はページ単位になる。原稿用紙も400字詰めになる。デザイナーによる基本レイアウトが決まっているので、1ページに最大何文字入るか決まっている。そこにタイトルから写真やイラストから広告まで、入れ込んでいく。文字はそうした島と島の間を埋める。このため、多少の文字数の変更がある。だから、少し多めに書いておく。あとで削るのだ。「写真を大きくしよう」とか、ほかの記事が間に合わなくなったのでページ数を増やすこともある。
 さらに単行本となると、だいたい10万字以上は欲しい。かといってあまり多いと分厚くなってしまいそれはそのまま定価に跳ね返るので、企画によってはそこまでいらないこともある。
 ただ単行本をやりはじめると、どうしたってある程度のボリュームを執筆することになってしまうので、1万字とか2万字なんて当たり前になってしまう。400字原稿で20枚とか30枚ぐらいは、大した量ではない。
 こうして私の中で、文字数のインフレが進んでいったわけだ。
 しかし、それも2024年をもって終わりである。これからは、文字量を減らす。できるだけ書かない。

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