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148 ちょっとしたことが面倒

タスクを細分化

 これは、昔からのクセなのだが、TODOのようなやるべきことを箇条書きにするときに、タスクを細分化して書くようにしてきた。たとえば、大雑把に「確定申告をする」としてしまうと、申告できるまでの目標になってしまって、案外、うまく行かないのだ。
 そこで、「領収書を整理する」「源泉徴収票を整理する」「所得を確定する」「経費を確定する」「記帳する」「残高を確認する」といったように、やるべきことを細かくしてTODOにすると、少しは捗る。
 しかも、今日やるべきタスクがどうも気乗りしないときには、明日予定のタスクをやったって構わないので、気分的にはとてもいい。
 そのけっか、いろいろなことをちょっとずるやるクセがついてしまい、ひとつのことに没頭して2時間以上を費やすことはまずないのである。2時間というのは、自分の体に身についた一種の「やる気の波」みたいなもので、それを越えると能率も悪くミスも増えるだけではなく、その後にやることへも悪影響が出てしまう。「あー、もうやめた!」となってしまっては、元も子もないので、自分をなんとか誤魔化して、半歩でもいいから進ませる。
 というのも、私は面倒臭がりなのである。
 そもそも出版関係の仕事に飛び込んで、最初に先輩から「やっておいて」と言われたのは、手書きの台割だった。当時はまだワープロもPCも影も形もない職場。コクヨのレポート用紙に定規で線を引く。総ページ、ノンブル、見出し、メモ欄と分けておく。表1、2、3、4が最初の台だ。台というのは印刷にかける単位。当時の雑誌は、16ページ単位が基本で、8ページ、4ページもできるけど、可能な限り避ける(費用の問題である)。表まわりはカラーなのでどうせ別台から、分けて、次にモノクロの本分。確か、よくあるページ数は112ページだったと思う。そこに、広告、記事を配置する。
 当然ながら計画通りにはいかず、8ページ予定が14ページになったかと思えば、4ページの広告特集がごっそり延期になってしまうこともある。つまり、その都度、台割を作り直すのだ。
 思わず「面倒臭い」と言いたくなる。しかし「いや、ここで放り投げたら終わりだ」としだいにその作業を楽しむようになっていった。その時に生み出したのが、「ちょこちょこやる作戦」だった。
 面倒なことも、細分化してちょこちょこやれば、なんとかなるのだ。

せっかくのアプリが裏目に出る

 一方で、自分の性格としての「面倒臭がり」はまったく治ってはいないので、これはいまでも時々、顔を出す。
 最近ではHotto Mottoである。あるとき、いつも歩くコースにHotto Mottoがあることに気付いてたまに利用するようになった。2週に1回ぐらいは立ち寄っていたのだが、これが、この半年ぐらいで月に1度も立ち寄らなくなってしまった。いまも、歩くと店の前を通ることはあるのに、だ。
 原因はアプリである。会員になると特典があるとかで、スマホにアプリを入れたのはいいのだが、その特典とやらをうまく使いこなせない。クーポンや割引きが案内されるものの、いざ店へ行くとうまくそれを利用できない。そういうことが2回あって、以後、もう、店を利用することそのものが面倒になってしまったのである。
 たとえば、最近、自分の住む地域だけPayPayで払うと20%ポイントがつく、という驚くべきキャンペーンがあった。当初は2月末まで実施予定だったが、あっという間に予算が尽きたらしく2月15日で終わりになった。
 近くにある地元スーパーでそれが威力を発揮する。20%は大きい。できるだけそのスーパーで何でも買おうとする。そのためにPayPayにチャージしなければならない。チャージはセブンイレブンでやる。こんな面倒にもめげずにしばらく20%を得ようと奮闘したのだが、ある時、とても面倒になってしまって終わりを告げるのである。
 キャンペーン期間が終わったら、そのスーパーへは行かなくなってしまう。あまりにも行ったので、飽きてしまったのだ。
「もっと、のびのび買い物がしたいよ」と思ったりもする。
 すると今度はPayPayがソフトバンクと組んでスクラッチのキャンペーンをはじめて……。

お得な話は面倒だ

 結局、いろいろな「お得な話」はどれも面倒なのである。
 そもそもPayPayは、マイナカードによるマイナポイントのために利用をはじめたのだ。それに、自分の利用する店の中にはPayPayの使えない店もある。すべてをそれで対応することはできない。だから現金も持っていないといけない。それに加えて、店独自のポイントもある。ポイントカードを忘れたらいけない。
 いつから買い物がこんな面倒なことになったのだろう。
 ときおり、ニュースショー、ワイドショーなどでポイ活の話も出るけれど、ふるさと納税、株式の優待と同様、「お得な話」には、とにかく面倒がつきまとう。
「そんなことに振り回されたくない」と反発する気持ちと、元来の面倒臭がりが共闘すると、たちまち、そうした「お得な話」に嫌悪を抱くようになってしまうのである。
 もう少しほかのことに、反発したり共闘したり嫌悪感を抱いたりすれば、こうしたコラムもずっと強い主張を盛り込んだいい内容になるかもしれないのだが、しょせんは、この程度である。
 もう確定申告の時期だけど、Xを眺めると「ボイコット」といった過激なキーワードがトレンドに入ったりもする。するとボイコット論と面倒臭がりが共闘を組みたがる。いやいや、それは得策ではない。なんとか作業を続けたい。半歩でもいいから、やろう。そう思いつつ、このコラムを終えるのである。

きょうの雲海


 
 
 

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