関西は好きだけれども、それでも標準語に変えたのさ。ー東京LOVEー
~30年前の回顧録~
滋賀の片田舎から東京にやって来て半年足らず。
先日ひとりぼっちの18歳の誕生日を迎えたばかりだった。
18年間をともに生きた関西弁とはサヨナラをするつもりでいたので、電車の中でも大学の構内でも、いわゆる「標準語」なる言葉の特徴を捉える事に意識を向けていた。
なんとなくわかって来たぞ。
文尾に「じゃん」をつけたらええんやな?
文頭は「でさ~」や。 ふっ、余裕や。
気を付けるのは「や」を「だ」に変換する事なんやな?
でさ~、今日のゼミな~? 5限やろじゃん?
秒でバレた。
どうやら「な~」とか「やろじゃん」以前に、「今日」の発音がおかしいらしい。それは想定外だった。
「やだ変換」も忘れていた。
全然余裕なんかでは無かった。難しすぎる。
恥ずかしくてアナグマになりたいぐらいだ。
関西人は図太いなんて、とんでもない話だ。恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
とは言え、恥ずかしいわぁ、いややわぁ~と言いながら手を差し出して「ちょ~だい」をする。これは関西人にしかできない芸当であるのも事実なのだが。
最大の難関は単語のアクセントだ。こればかりは、経験を積み重ねるしかないのだ。
30年経った今でさえ、「手巻き寿司」をまともに言えないのである。
これを文章で伝えるのは困難を極める。
関西弁では「てまき↑ズ↑↑↑し↓」で、標準語では「てまきず↓し↓↓」なのだ。
伝わってる?
「小僧寿し」は正しく言えるのに「手巻き寿司」になるとズが上ずるのは、きっとズの前に位置する「てまき」の3文字が悪の誘導操作を行っているに違いないと私はそう思っている。
なんにせよ諦めずに前進するしかない。
長期的には前進するのだが、ミスった瞬間には即時撤退が望ましい。
場の空気成分割合が異常値を示すのを瞬間的に感知できるのは、アウェイ人間だけに上り新幹線の中で天上界から急遽与えられた特別な感覚器官による恩恵なのだ。耳たぶの裏側あたりに付いている。※1
人は異変を感じた瞬間、その異変の原因の元を探るために0.01~0.20秒(※2)の瞬間だけ余計な動作を緊急停止する様にできている。
そのわずかな空白時間を感知したら、そそくさと逃げるのだ。間違ってもいつもの癖で「ほんならな~」などと言ってはいけない。
※1出典なし ※2出典なし
かくして私はなんとかかんとか言語変換の過程をハイハイしながら今日までやってきたのだが、新学期を前に、これから東京に進出する若者たちの為に役立つ情報を紹介しておきたい。
・文尾に「じゃん」をつけるのは東京弁ではない。元々は横浜の方言である。
・札幌出身者は極めて標準語に近く、東京人と間違える事しばしば。人柄は極めて楽しい。
・新潟出身者も全体的には標準語に近いが、インド料理のカレーと魚のカレイが同じ発音だ。(え!?こやつまた鰈食べたいとか言ってる!)と思っても、それはCURRYの事なので驚くには値しない。人柄は札幌同様に良い。言語とは無関係だが特に女性のヘアスタイルが美しい。
・三重県出身者は仲良くなるにつれて、文尾に「なんでじゃアホ」をつける確率が上昇してくるが、ここに悪意は皆無で「なんでじゃアホ=お前おもろいな~」という事らしいので喜んで良い。
・スペイン語では「じゃ」が「や」と聞こえる。「そうじゃないよ」が「そうやないよ」となるので、(えっ?関西人?)と思ってしまうが多分そうではないと思うので確認が必要である。
・飲み屋や電車内でデカい声で関西弁を披露している人物にも遭遇するが、あなたが標準語への切り替えを望むのならば、その人物は「出張でたまたま来ている人」と思い込む事が大切だ。つられてはいけない。私自身は関西弁を貫き通す事に対するマイナス感情は一切持っていないが、外国語を話せるほうが何かと有利であるのと同じように、時に標準語を必要とされる場があるのも事実である事を伝えておきたい。ぜひ標準語もマスターしておこう。
最後に関西弁の話材には欠かせないに映像をご紹介します。
関西の概要が良く分かります。
これ見たら元気出るかな? 出る出る!知らんけど。
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