「パンとスープとネコ日和」を読みました
群ようこ さんの作品
「パンとスープとネコ日和」を読みました。
最近、少々難解な本を読まざるを得ない状況に陥っておりましたもので、(ちょっと息抜きしたいなぁ)と思いまして、出勤前にブックオフに立ち寄りました。
素朴な本...… 素朴な本...… と。
背表紙の「パンとスープとネコ日和」が目に留まり、(あ、素朴っぽい。)と手に取ると、表紙にはなかなか笑える感じのネコの絵が描かれており、(これは素朴だな。決まり。)と購入しました。
会社に着いてソファーに腰掛け、水筒を開けて、渇いた喉に勢いよく麦茶を注ぎ込みます。
パック茶とはいえ、2~3日前に開封したばかりの麦茶は、ウマイ。
100円ショップのお気に入りのチョコレート2片を口に放り込み、麦茶とチョコの相性の悪さを嘆きます。
そして、表紙をめくり最初の一文と出会うのです。
いきなりネコの「たろ」のいる場面から始まりました。
うん、素朴だ。 買って正解。
主人公のアキコは食堂を営む母と2人暮らし。ネコも一緒です。
がやがやした雰囲気の食堂に馴染めないままアキコはやがて大人になり、母が亡くなり、店舗兼自宅が残ります。
アキコはそこに、母の食堂とは全く異なる、きわめてシンプルなスタイルのお店をオープンさせます。
で、そこのメニューが
パンとスープ、サラダ、フルーツ だけというワケなのです。
ただ一人のアルバイト女性、しまちゃんは人柄が良くアキコにとっては最高のパートナーとなりました。
母の食堂に通っていた常連のおやじさんたちには居場所がなくなった、と文句を言われ、商店街の他の店の人たちや、母の過去の知人には、余計な詮索をされます。
そのあたりの、チャチャを入れてくるオッサンやオバサン、婆さんたちとのやり取りが非常に軽快で、笑えます。
私もこんな風に言われたことあった!あった!
と一人で吹き出してしまいました。
終盤が近くなると、ネコちゃんに対する気持ちが書き連ねられるようになります。
もしかして、このまま何も起こらずに終了かぁ?
渡る世間(見た事ありませんが)みたいだ。
と微かな不安が頭によぎりました。
まぁでも、素朴な作品を読みたいと思ったのだから、まいっか。と気を取り直します。
結局、最後は優秀なアルバイトのしまちゃんとの会話で終了となりますが、
この最後の2ページのくくり方が…… 気持ち良かった。
こんなにも普通の日常を、無理な盛り方をせずにナチュラルに書けるなんて。
そしてラストはしっかりと締めるという。
これがプロの業なのですね。
私の願いは叶いました。
素朴を存分に楽しませていただきました。
群さん、ありがとうございました。