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第10話(最終話) どこかで聞いた事があるような無いような昔ばなし

-前回のあらすじ-
金太郎側近のツキノワグマの新技ツキノワンカッター2024によって、悪徳領主・マンキィが遂に捉えられ、カニカニ村から追放されました。カニ太郎の元にはマンキィのしっぽが残りましたが…
さて、いよいよ最終話!数々の苦難からカニ太郎を救い出すのはいったい誰なのでしょうか?

・・・ 第10話(最終話) ・・・

Uちゃん「おむすび全部配ってきたうっすよ~」
カニ太郎「お~、Uちゃんありがとう! 落っこちて打ったトコ痛くない?大丈夫?」
Uちゃん「OKうっす!OKうっす! ちょっとビックリして泣いちゃったうっすけどね~ なんだか恥ずかしいうっすね~」
カニ次郎「確かに的はハズしたけどさ、そのお陰でマンキィが逃げ出したんだからね。Uちゃん、またまたグッジョブだよ~!」
カニ太郎「Uちゃん、ホントありがとね!」
カニ次郎「ところでさ、Uちゃん、しっぽ入りおむすびは?」
Uちゃん「あ”~~~~~~~~っ!! 配っ、ちゃ、った、、、うっす」
太郎&次郎「えぇ~~~~っ!!」


笠地蔵の一団
「お?梅干しだ!そっち何?」
「エビマヨだな!ラッキー!」
「明太子だ!」
「イクラだぜ~」
「ん、なんだこりゃ? 初めての食感だな…」


TARO「そういえば、まだカニ太郎に会ってないな」
金太郎 「バタバタしたもんな」
浦島太郎「今から行くか。塾にいるんじゃない?」
TARO「全員そろうのって滅多にないもんな」
金太郎 「本当は5人なんだけどな」
浦島太郎「せっかくだからさ、寝太郎も呼ばない?まだ寝てるかな?」
TARO「寝太郎は一度寝たら次起きるの3年後だからな~」
金太郎 「とりあえず、カニ太郎に会いに行こうか」


カニ次郎「急げ!急げ!」
カニ太郎「Uちゃん、どんな笠地蔵さんだった?」
Uちゃん「えっとうっすね~、笠かぶってて~、丸っこくて~、ザラザラしてて~、目が細くて~、ニコニコしてたうっす!」
カニ太郎「笠地蔵さんはみんなそうだよぉ~!」
カニ次郎「Uちゃん、NO GOODだよぉ〜!」


とある山の向こうでは.…


ぐぉお~。。。zzzz。。  ぐぉおぉぉぉ~~~。。。。zzzz
ピッ!
Siri「3年まで、あと10秒」
 「9秒…」
 「8秒…」
 「7秒…」
 「6秒…」
 「5秒…」
 「4秒…」
 「3…」
 「2…」
 「1…」
 「爆破!」
ドゴ~ォォォォォォ~~~ンッ!!!!!

寝太郎 パチッ!「ハッ!おはよう、Siri。調子はどうだ?」
Siri「問題ありません。今回もお目覚めが宜しいですね。」
寝太郎「任せろSiri, しょうじょうそんじゅくの開塾記念祭はいつだ?」
Siri「しょうじょうそんじゅくの開塾記念祭は本日です」
寝太郎「何時までだ?Siri」
Siri「18時迄です。あと30分です。」
寝太郎「よし行くぞ、Siri」
Siri「プライベートジェット準備完了です。」
寝太郎「さすがだ、Siri」


カニ次郎「やっぱ食べちゃったよね~?」
笠地蔵 「芯があったけど、スルメみたいで旨かったよ」
笠地蔵 「マンキィのしっぽだったんだってよ」
笠地蔵 「おげぇ~~~。おっげぇ~~~っ!」
カニ太郎「まいっか。Uちゃん、OK!OK! もうしっぽはいいや。マンキィもいないし。解決解決!」


カニ太郎に会いに来たTAROたちが、カニ太郎に話しかけましたが…

カニ太郎「君らは誰?」
TARO「え?何言ってんだよ」
カニ次郎「太郎ちゃん? 桃太郎さんだよ? 首席の。」
カニ太郎「しゅせきの? ももたろうさん?」
金太郎「何かおかしいな。カニ太郎ちゃん? 浦島ちゃんと俺は分かるか?」
カニ太郎「。。。。。?」

カニ次郎「分かった。 たぶん記憶無くしたんだよ。マンキィに殴られた時に! 塾に関する記憶だけが消えたんだ。そう言えばさ、Uちゃんが松上村塾に行ってたって話をした時も反応しなかったもん!」
金太郎「このままって訳にはいかないよね。どうする?」
TARO「あの頃はさ、俺たちいつも一緒だったじゃん? 太郎5人衆が全員揃えば思い出すんじゃないか?」
浦島太郎「それは言える! すぐに寝太郎を起こしに行こうぜ!」
TARO「ちょっと待て、何か聞こえる!」



キィ~~~~~~~ン~~~!!!
  ブワォ~、ブッファァ~~!! シュォォォン.…プシュー



Siri「到着しました」
寝太郎「ありがとうSiri, しばらく待っててくれ」
Siri「良いひとときを」


Uちゃん「なんかスッゴイのが着陸したうっすよ!?」
TARO「寝太郎のジェットだ!」
一同「なんじゃあのスッゴイ飛行機は! テレビでも見た事ないわ!」
TARO「寝太郎が一代で築いた財力は桃太郎家でも到底及ばない。大した奴だ」
金太郎「一代で、ってのが凄いよな」
浦島太郎「寝てばっかいるのにな。いつ働いてるんだろうな?」


寝太郎「やぁ、久しぶり。ちょうど3年ぶりだな。いつも3年間隔だけどな。」
TARO「おう! ドンピシャのタイミングで現れたな」
寝太郎「どうした?」
金太郎「カニ太郎の記憶が消えちまったんだよ」
浦島太郎「塾を卒業した事はおろか、俺たちが誰かさえも分からなくなっちまったんだ」
TARO「俺たち5人衆が全員揃う事で、何か思い出すんじゃないかと思って、お前を呼びに行こうとしてたタイミングでお前が現れたんだ」
寝太郎「そうか。そうか。みんなで塾歌を歌ったらどうだ?」
浦島太郎「寝太郎、それだ! 寝起きとは思えない鋭さだな!」


金太郎「魔法陣できたぞ~」
浦島太郎「すげぇな、よく覚えてるな」
金太郎「まぁな。いつも俺の役割だったからな!」
TARO「じゃ、準備はいいか? 歌詞覚えてるか?」
金太郎「最後のハモリが命だからな!」
浦島太郎「噛むんじゃないぞ!」
寝太郎「おう」
金太郎「カニ太郎には楽譜渡したか?」
浦島太郎「オッケーよ!」


5人は金太郎の描いた魔法陣を囲む様に手をつなぎ、そして一斉に塾歌を歌い始めた.…

♪しょ、しょ、しょうじょうそん ♪しょうじょうそんのじゅくは
♪みん、みん、みんなでしょうしょうじょうじょうそんそんそん
♪われらのじゅくは、しょうじょうそんのそん!

♪たろたろたろたろみんな太郎~
 ♪TAROTAROTAROTAORみんな太郎~
♪タロタロタロタロぺんたご~ん
 ♪われらはみんな太郎ちゃ~~~ん

♪金太郎~
 ♪桃太郎~~
  ♪浦島太郎~~~
   ♪3年寝太郎~~~~
    ♪カニ太郎~~~~~~
 ♪たろ~ぉ~~おぉ~ほぉぉぉ~~~~♪♪♪


… 静寂に包まれる松上村塾 …
… 日はとうに暮れ、柔らかな月明かりが魔法陣の隅を遠慮がちに照らしている …


TARO「どうだ?」

金太郎「。。。。。。」

浦島太郎「。。。。。。」

寝太郎 「。。。。ダメ。。。か?」

すると、カニ太郎の口から歌声が漏れ始めた。

「。。。しょ。。。しょ。。。しょう、じょう、そん」

「!!!」

「TARO! 金太郎! 浦島太郎! 寝太郎! 分かる! 分かるよ、みんな!! 思い出したよ!!!」



カニ次郎「太郎ちゃんの記憶が戻った~~~っ!!」

Uちゃん「良かったうっす~~~! ぶえぇぇぇぇ~~~ん! 嬉しいよぉぉぉぉおっ~~!!」」





数日後…  
TARO「マンキィに代わる領主着任の話だが、受けてくれるよな?」
カニ太郎「TAROちゃんの頼みを断るわけないだろ?」

こうして、領主・カニ太郎の元、新生カニカニ村が誕生しました。
年貢率は脅威の3パーセント。
日本一、村人に優しい村となりましたとさ。


ー 完 ー



全10話 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ーあとがきー
ふぅ~。 これが書き終えた時の第一声です。
「どこかで聞いた事があるような無いような昔ばなし」全10話。遂に書き終えました!

 まずはじめに、お礼の気持ちを伝えたい方がいます。
 それは、ほんの思い付きで始めた何のテクニックもない私の連載を毎話読んでいただき、そして全ての回にユーモアを交え、また人情味のこもった暖かなコメントをくださいましたnoter仲間のネリケシさん、あなたです。

 全10話、諦める事なく書き切る事ができたのは、まさにあなたのお陰と言っても過言ではありません。私の心を支えてくださり、本当にありがとうございました。この場を借りて感謝の意をお伝えしたいと思います。

 さて、ネリケシさんだけを特別視する訳にはいきませんね。コメント云々は別にして全話完読してくださった方、ひと時でも立ち寄ってくださった方々にも、当然感謝の意をお伝えしたいと思います。
 貴重なお時間を割いていただき、心より深く深く感謝申し上げます。

 本来ならば、個別に御礼を申し上げたい所ではありますが、そうしますと今度はどこで取りやめるのかという問題が生じてしまいます。ですので今回は全てにコメントをくださった特別な方、という事でネリケシさんへの感謝をスペシャルなものとさせていただきました。

 さて、少々ウラ話になりますが、物語の最後のセリフを飾ったのはうすのUちゃんでした。
 Uちゃんは随所随所で心優しいナイスガイとして、みんなから愛されるキャラクターとして登場しています。物語の中では、米を蒸す道具と餅を作る臼のUちゃんを「間違えたのはカニ太郎」としている(第3話)のですが、正直に言います。間違えたのは「作者であるほんころがし」なのです(笑)
普通に間違えまして、Uちゃんには一旦帰って貰ったのですが、あまりのUちゃんの優しさに私自身が申し訳なさを感じてしまい、それで「バスに乗り遅れた」という理由を付けて戻って来て貰ったのです。その時に、この物語の最後はUちゃんに飾って貰おう、と決めておりました。
 キャラクターに恋をすることって、本当にあるんですね。50年も生きてきて、初めての体験をさせていただきました。

それでは、またのご縁がありますことを。

- ほんころがし ー

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