模範解答を配るのはいつ?
教育を本気で語る会、英語教師のJOYです!
新年度に入り、ようやく授業体制が安定してきました。
自分のペースで勉強する自由進度学習が
生徒に馴染むまではかなり時間がかかりました。
その過程で気付いたことをまとめてみます。
今回は「模範解答を渡すタイミング」です。
1 問題を解き終るまで模範解答を渡さない
JOYの今までの主観だと、
模範解答は問題を解いた生徒に渡すものだと思っていました。
自由進度学習を実施しているので、
問題を解き終わった生徒からその都度模範解答を渡していました。
ちなみに模範解答は紙ベースではなく
デジタルデータで生徒が閲覧しています。
解答が終わった生徒は解答用紙をJOYに見せて、
分からなかった問題や質問事項などを確認して、
その後に自分で模範解答のドライブにアクセスするという流れです。
生徒との対話やデジタルデータの活用など、
自由進度学習のために必要な素材の活用をできていると思っていました。
しかし、このスタイルでは全く勉強しない子どもが数名います。
理由は「勉強なんかしたくないから」だそうです。
2 問題を解くかどうかは生徒が自分で決める
木村泰子さんが大切にしている視点は、
学びの主語は生徒である、ということです。
その視点から考えると「問題を解かない」と決めるのも生徒自身です。
問題を解かずに模範解答を見て考える生徒もいれば、
模範解答をうつして思考を停止する生徒もいます。
どのような形にしても、生徒が主体的に決めていることです。
勉強をどのくらいするか。
全くしないことも含めて生徒が決められるのであれば、
その選択肢を奪うことは「主体的な学び」という目標からズレてしまいます。
模範解答を渡さないことによって勉強を「させる」ことは、
生徒が自ら選んだことではなくなります。
英語が解きたくても解けない生徒や、
英語を解きたくない生徒もいます。
教師がやらせる勉強から生徒が自分で選ぶ勉強にシフトする。
模範解答を渡さないという手段にこだわることで、
最初にたてた上位目標を危うく見失うところでした。
3 最上位目標を見失わない
模範解答を渡すなんて大した問題ではない。
その重要性に気付いて模範解答を一斉に配付するようになってから、
面白い生徒の変化に気付きました。
「一生懸命答えをうつしてくれている」
今までは居眠りをしたりスマホをいじったりしていた生徒が、
今がチャンスとばかりせっせと解答をうつしています。
今までだったら注意していた動作ですが、
生徒が自ら選んでやっていることです。
少なくとも、うつしている間は英語のことをちょこっとだけでも考えてくれます。
模範解答を渡さなければ全く取り組もうとしなかったので、
それに比べればほんのちょっとはマシなのかと。
教師からやらせる勉強と生徒が答えをうつす勉強に、
善悪の是非を問うことこそナンセンスです。
勉強の効果があるかないかより、
生徒が自分で選んだかどうかを大切にしたいです。
4 和訳先渡しの目的
模範解答1枚でここまで考えこんだあとに、
ふと初任者研修のことを思い出しました。
JOYの指導教員だった先生は、
予習の際に、その単元の和訳を先に生徒に渡していました。
先に渡すことにびっくりしたことはハッキリと覚えています。
和訳って単元の最後に渡すのでは??
JOYがそのように考えていたのは、
予習ノートは自分で訳を考えて書くものだと思っていたからです。
しかし、学生の頃を思い返してみると、
予習ノートをせっせとうつしていた人も結構いました。
予習ノートのチェックの時に先生に怒られないようにするためです。
それを考えると、和訳を先に配っても同じです。
予習して考えくる生徒は考えるし、
予習しない生徒は考えてもこないので、
和訳を先に渡したって何の問題もないと思います。
「和訳を先に渡すのは、訳が分からない時の手助けのためであり、決して楽をするためではない」
指導教員は何度もおっしゃっていました。
その意味が数十年経った今ようやく飲み込めした。
考えを深めるかどうか、楽をするかしないかは生徒自身が決めるもの。
スマートフォン全盛期の今、和訳や模範解答を配らなくたって、
ネット上に色んなヒントが乱立しています。
そんな現代において、
和訳を後で配るか先に配るかより、
生徒が勉強をするかどうかを大切にしたいと改めて思いました!
様々な場面でクリティカルシンキングに励む日々です。
勉強が嫌いな生徒がどうやったら主体的に学んでくれるか、
日々葛藤と格闘を繰り返していきながら、
今回のような学校常識アップデートをこれからと続けていきます!
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