水辺を巡り、街の記憶と現代アートを楽しむ
【両国発-浅草周遊コース】
水辺を巡り、街の記憶と現代アートを楽しむ
取材・文・撮影:佐藤久美
各作品の開催日時は、HPやパスポートブックでご確認ください。パスポートブック(¥1,600)は作品の鑑賞に必要だったり、有料プログラムの割引が受けられたり、オンラインプログラムを楽しめたりといった様々な特典があります。街を巡るMAPの他、コンセプトブックやプログラムブックが同封された、手作りで製本されたアートブックです。
コース近隣のパスポートブック販売所:KAIKA東京、Yato、喫茶ランドリー
JR両国駅
+1. 記憶のカケラ|イワタマサヨシ (展示は駅構内のため入場券¥140または乗車券が必要)
ホームの浅草橋方面寄りにあるパイプの構造物の近くに寄って、全体を覆う網の隙間から作品とステイトメントをご覧ください。記憶のカケラのたくさんつまった「駅のアルバム」。そこから写真を厳選し、総武線ホームにある閉鎖されている階段に展示することで、駅と私たちの関係を振り返り、幸せそして豊かさを再認識する展示です。光とパイプによる影の造作も美しい作品なので、ぐるっと一回りして反対側からも写真とインスタレーションを是非ご覧ください。
イワタさんのもう一つの作品、5. つながるライドバルーンは、JR両国駅のステーションギャラリーと木場公園で鑑賞できます。いつの夕暮れ時にみることができるか、パスポートブックに掲載されているQRコードやHPからチェックしてみてください。
旧安田庭園、横綱町公園
JR両国駅西口を出て左に進むと旧安田庭園、庭園を抜けると横綱町公園で、どちらも「川の街のトラベロ―グ」あしあとスポットです。トラベローグ(旅行記)とは、荒れ地(仮)のメンバー3名が、本所・深川をリサーチ(まちあるき)する中で書き記されたテキストです。旧安田庭園、横綱町公園は、荒れ地(仮)たかすかさんのトラベローグにかかれており、「旅のセット」の「茶色の封筒」に入っています。
オリジナルサコッシュやトラベローグ、あしあとスポットのマップが入った「旅のセット(1,200円)」は荒れ地(仮)オンラインショップや、以下のスポットで購入できます|BOOKSりんご屋・いいね森下・gift_lab。パスポートブックを持っている方は割引価格1,000円で購入できます。
東京都慰霊堂
横綱町公園には、空襲、震災でなくなられた方を慰霊する東京都慰霊堂があり、参拝・見学ができます。本と川と街の、平和と慰霊をテーマとした作品(10. 3.11から10年。日本の目覚め/12. カキノキ⇄ギフトなど)とのつながりを、たちどまって意識しました。
東京都復興記念館
1923年の関東大震災でこの街が様々な被害をうけ、また震災後の火災で大きな被害を受けた歴史があることが展示で学べます。本と川と街には、22. 水彩|水災という水害を考える提案型アートプロジェクトがあり、ここでもつながりを感じました。
復興記念館の2階には、なぜか‘街を巡るMAP’に掲載されている江東区の「川の十字路」の模型があり、不思議な感じがしました。
ここまでで結構な時間を過ごしてしまいました。蔵前橋通りを横綱町公園を背にして進み、パスポートブックを販売している書店Yatoを右手に見ながら進みます。どこで左折すればよいのか?悩むところですが、オレンジのパーキングNavi Park奥を左に曲がり、また結構進みます。春日通りまででると、「地域安全センター前」交差点の左側に古い交番があり、通りの右側にはKAIKA HOTELのサインボードがかすかにみえて勇気づけられます。
KAIKA東京 by THE SHARE HOTELS
(無料、パスポートブックの提示が必要)
コンテンポラリーアートを公開保管しておくアートストレージ(収蔵庫)を併設したホテルです。宿泊客のみが鑑賞できるストレージエリアを、パスポートブック提示で入場できます。ストレージエリアの床はよく見ると駐車場のラインが残っており、築54年の倉庫ビルをリノベ―ションした名残が見られます。館内にも、かつて美術館で展示をみたアーティストの作品が展示されています。
1. Social Distancing Tokyo 2020-2021|Aki Fujita Taguchi
ホテルフロントを過ぎて左にまがると、地下に続く階段室で写真展が行われています。人通りがない非日常の風景や、夜の街。お店の軒先に貼られた、営業自粛・短縮の貼り紙には、それぞれ店主の想いが込められており、「いま」だからこそ切り取れる一瞬の景色が展示されています。地下にはEdition1の写真集がおかれ、ストレージエリアの抑え気味の照明の中、時間を忘れて眺めました。Akiさんのコメントが書き込まれたアートブックであり、必見です。Akiさんの写真は、A4サイズから購入することもできます。
2. 怪段 -KWAIDAN-|スタヂヲ沙雅州(岡村昌範)
ホテル反対側の階段室は、今度は下から上に登ります。怪奇をキーワードにコロナ禍の今がいかに常ならざる状況かを改めて問い直すことを主眼としています。不定期に進化する作品を見逃さないよう、2階で止まらず、6階まで頑張って階段を上ってください。
KAIKA東京出て左に曲がり、二本目を左・右と曲がると、おいしいコロッケの駒形軒。注文してから揚げてくれます。5分ほどででてきたコロッケは熱々なので、口の中の火傷に注意。
浅草通りを渡って、墨田区役所沿いに進むと、枕橋にでます。橋を渡ったところの左側に、注意しないと見逃す本当に小さなお地蔵さんが鎮座しています。
すみだリバーウォークを浅草側に向かってわたると、水上バスのチケット売り場が左手に見えます。
浅草二天門-両国間は400円(子供200円)で、パスポートブック提示で10%オフになります。便数が季節によって異なるため、HPで時刻表をチェックしてください。体温チェックや説明があるので、余裕をもって出発時刻の10分前にはチケットを購入したほうがよいとのことでした。出発してしまえば、両国―浅草間の乗船時間はほんの10分、あっという間に両国リバーセンターに到着します。
15:00、16:00台に両国リバーセンター行水上バスがなかった場合は、慌てずすみだリバーウォークを戻って、駒形橋付近の「東駒形一丁目」バス停に向かいます。「門33」に乗ると、2駅で「石原一丁目」から横綱町公園に戻れます。そのまま森下・清澄白河・門前仲町にもいけますが、週末はぜひ水上バス乗り場がある両国リバーテラスまで戻って、作品を楽しんでください。
両国リバーテラス
3. 水辺の図書館|東京都公園協会、いいね森下 (11/6~28(日)の土日)
水上バスを降りると、両国リバーセンターの大階段が広がります。そこには隅田川近くに住むこどもたちや、アーティストの描いたレジャーシートが広げられ、水辺の図書館になっていました。水上バスチケット売り場前にはブースもでて、絵本を借りることができます。レジャーシートとゆっくり流れる読書の時間を楽しんでください。
21. CROSS LOCAL|YUKKIY & TreckTreck
川沿いの隅田川マルシェ内ブースでは、21, CROSS LOCALの絵ハガキ制作ワークショップを開催していました。東京、新潟、和歌山の制作ワークショップ後、11/28(日)11:00-12:00に3か所をつなぐオンラインライブがあります。パスポートブックに掲載するQRコードよりチケットを購入できます。
THE GATE HOTEL 両国
4. 川の街のトラベローグ|荒れ地(仮)(阿部健一+たかすかまさゆき+星茉里)
MAPにはTHE GATE HOTEL 両国とありますが、展示はホテル建物内ではありません。旅人だけが開けることができる秘密の赤いポストは、屋外にありますので探してみてください。「旅のセット」に、ポストを開ける番号が記されています。隅田川下流に位置する芭蕉稲荷神社には、赤いポストの着想を得たもう一つのポストがありますので、ぜひ訪れてみてください。
JR両国駅を過ぎ、両国二丁目の交差点で京葉道路を右に進みます。MAP記載の回向院と表忠碑の間に位置する「一の橋通り」をまっすぐ進みます。一の橋を渡り、参道が意外と長い江島杉山神社を左手に過ぎて、緑色のパーキングを左に曲がります。今日はなんだか、パーキングを左に曲がることが多い日です。
初音森神社を右手に過ぎてまっすぐ進むと、左手に喫茶ランドリーが見えてきます。
喫茶ランドリー
パスポートブック提示で喫茶ランドリー提供のフード・ドリング100円引き
「1階作りはまちづくり」と1階の店舗にこだわった‘グランドレベル’により運営されています。サクサクのFree Wifiとフードで、居心地良いソファでちょっと一息つきながら、今日一日の街巡りをふりかえります。
6. MADE IN HERE|鹿野貴司
墨田区・江東区のものづくりの現場を撮影した写真が展示されています。会場には撮影地リストがあるので、どこの工場か、どこの街並みか、を知ることができます。鹿野さんが高校時代をすごした30年前の小さな町工場の記憶と、今も稼働している工場や職人が重なります。記憶のカケラから始まった街巡りは、記憶の重なりで終わります。
11のスポットと8つの作品、合わせて19の見どころを巡るコースです。歩き疲れた後半に浅草から水上バスに乗るルートにしましたが、両国リバーセンターから水上バスで出発し、浅草から両国に戻る逆回りルートももちろんおおススメです。ぜひパスポートブックを片手に街を巡ってみてください。
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