陰謀論/定説/常識の検証シリーズ 8「インフルエンザで脳症になる?」
定説では「インフルエンザで脳症になる」らしい。「インフルエンザ脳症」という言葉があるのだから。
本当だろうか?
なぜこれを取り上げたかと言うと、「インフルエンザ脳症という怖い病気があるから」と、ワクチン接種や解熱剤、抗ウイルス薬などを使う理由にされている節があるからだ。
インフルエンザが全く怖くなければ、誰もワクチンを打とうなどとは思わないだろう。
インフルエンザに罹ると高熱が出る。
高熱により脳症になるのだろうか?
しかし熱は体が敵をやっつけるために出すもので、決して病気の「症状」などではない。
「防衛手段」だ。
体を守るための熱により体を傷付けることが本当にあるのだろうか?
体は熱をどれくらい出したら危険か分かっているはずであり、「出し過ぎ」などあり得ないはずだ。そんな「過剰防衛」が起きることなどあるのだろうか?
体の仕組みはそんなに出来の悪いものなのだろうか?
あるいはウイルスが脳に入るのか?
インフルエンザ脳症は、実は解熱剤を使ったことによるものだとの噂を聞いたことがあった。
私は、原因不明と言われる病気は、ほとんどが広い意味での薬害(農薬や食品添加物を含む)だろうと考えている。
それがあるのでインフルエンザ脳症の原因についても「恐らくそうなのだろうなあ」と思っていた。
そうしたところ、以下の情報に辿り着いた。
【解熱剤がインフルエンザ脳症の原因になる】
2000年頃の厚生省の研究で、「ある種類の解熱剤によってインフルエンザ脳症になる」ことが分かったのだ。
それによれば、
「インフルエンザ脳症を発症した方が使用した解熱剤に、ジクロフェナクナトリウムまたはメフェナム酸という成分を含んだ薬剤が使用されていたという報告があり、この成分がインフルエンザ脳症の発症にかかわっているのではという見解があります。ジクロフェナクナトリウムはボルタレンという名前の薬剤に含まれている成分、メフェナム酸はポンタールという薬剤に含まれている成分であり、いずれもNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)と呼ばれる種類の鎮静薬になります。
このことから、NSAIDsをインフルエンザによる発熱時に使用するとインフルエンザ脳症を発症し、死亡につながる可能性があるという見解が出され、使用しないことが推奨されています。」
とのことだ。
基となる厚生省の報告書はこちらのようだ。
ここには以下のように書かれている。
「本症研究班では、 これまでにジクロフェナクナトリウムおよびメフェナム酸が、本症の予後悪化に関与する可能性を指摘、厚労省および小児科学会において、それぞれ対策がとられた。
2001(平成13)年5月30日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で15歳未満の小児において、インフルエンザ罹患中におけるメフェナム酸の使用を原則禁忌とし、ジクロフェナクナトリウムのウイルス感染症における投与を原則禁忌とすることが決定された。
インフルエンザ流行中の解熱剤については、比較的安全といわれているアセトアミノフェンなどを必要最小限の使用にとどめることが良い、といえる。」
これらの薬が現在は販売されていないのか調べたところ、ボルタレンは現在も販売されている。
市販の解熱剤のランキングを調べたところ、以下のようになっていた。
1位 イブA錠 60錠
2位 ロキソニンS 12錠
3位 ロキソニンS プレミアム24錠
4位 ロキソニンSプラス 12錠
5位 イブクイック頭痛薬 40錠
6位 バファリンプレミアム DX 20錠
それぞれの成分を調べると、
●イブ
成分: イブプロフェン
添加物: 無水ケイ酸、セルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール、ステアリン酸Mg、タルク、酸化チタン
●ロキソニン
成分: ロキソプロフェンナトリウム水和物
添加物: 低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロース、三二酸化鉄、 乳糖水和物、ステアリン酸 マグネシウム
●バファリン
成分:アスピリン(アセチルサリチル酸)、合成ヒドロタルサイト(ダイバッファーHT)
添加物:トウモロコシデンプン、ステアリン酸Mg、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール、青色1号
これらにはジクロフェナクナトリウムとメフェナム酸は使われていないようだが、バファリンの有効成分であるアスピリンは、ライ症候群(インフルエンザや水痘などの感染後、特にアスピリンを服用している小児に、急性脳症、肝臓の脂肪浸潤を引き起こし、生命にもかかわる原因不明で稀な病気である:Wikipedia)の原因となっていることがこの報告書の中で言及されており、つまりバファリンを飲むと脳症になる可能性があるのだ。
実際に、アスピリンの15歳未満への使用に関しては、以下の通り慎重に投与するように使用上の注意に追記するよう対策がなされている。
「1)アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有する医療用医薬品について
1.アスピリン,アスピリン・アスコルビン酸,アスピリンダイアルミネート,サリチル酸ナトリウム,サザピリンのいずれかを含有する医薬品について
使用上の注意の「重要な基本的注意」に記載されているライ症候群に関する記述内容について以下のとおり改訂する。
(現行)
サリチル酸系製剤とライ症候群との因果関係は明らかではないが,関連性を疑わせる疫学調査報告がある。15歳未満の水痘・インフルエンザの患者にやむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察する。 [ライ症候群:小児において極めてまれに水痘,インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後,激しい嘔吐,意識障害,けいれん(急性脳浮腫)と肝ほか諸臓器の脂肪沈着,ミトコンドリア変形,GOT,GPT,LDH,CPKの急激上昇,高アンモニア血症,低プロトロンビン血症,低血糖症等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である]
(改訂案)
サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの,米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので,本剤を15歳未満の水痘,インフルエンザの患者にやむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察する。」
【解熱剤の副作用】
副作用を見ると、重篤な副作用としては、
●イブ
ショック(アナフィラキシー) 、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、肝機能障害、腎障害、無菌性髄膜炎、ぜんそく、再生不良性貧血、腎障害、無菌性髄膜炎、ぜんそく、再生不良性貧血、無顆粒球症
●ロキソニン
ショック 、 アナフィラキシー 、 血圧低下 、 蕁麻疹 、 喉頭浮腫 、 呼吸困難 、 無顆粒球症 、 白血球減少 、 溶血性貧血 、 再生不良性貧血 、 血小板減少 、 中毒性表皮壊死融解症 、 Toxic Epidermal Necrolysis 、 TEN 、 皮膚粘膜眼症候群 、 Stevens−Johnson症候群 、 多形紅斑 、 急性汎発性発疹性膿疱症 、 急性腎障害 、 ネフローゼ症候群 、 間質性腎炎 、 高カリウム血症 、 うっ血性心不全 、 間質性肺炎 、 発熱 、 咳嗽 、 胸部X線異常 、 好酸球増多 、 消化管出血 、 重篤な消化性潰瘍 、 吐血 、 下血 、 血便 、 消化管穿孔 、 心窩部痛 、 腹痛 、 小腸潰瘍 、 大腸潰瘍 、 小腸狭窄 、 小腸閉塞 、 大腸狭窄 、 大腸閉塞 、 悪心 、 嘔吐 、 腹部膨満 、 劇症肝炎 、 肝機能障害 、 黄疸 、 AST上昇 、 ALT上昇 、 γ−GTP上昇 、 喘息発作 、 急性呼吸障害 、 無菌性髄膜炎 、 頭痛 、 項部硬直 、 意識混濁 、 横紋筋融解症 、 筋肉痛 、 脱力感 、 CK上昇 、 血中ミオグロビン上昇 、 尿中ミオグロビン上昇
●バファリン
アナフィラキシー、ショック、スティーブンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死融解症、肝機能障害、喘息(アスピリン喘息)、再生不良性貧血
とかなりのものだ。
例え脳症にならなくとも、解熱剤はどれもかなり危険なものなので、高熱でつらいことと比較して、これだけのリスクを背負ってまで解熱剤を飲むべきかよく考えるべきだ。
熱は必要があって出ているものなのだから。
【インフルエンザ脳症の原因は全て解熱剤なのか?】
先ほどの報告書によると、
「解熱剤未使用例やアセトアミノフェンのみ使用した症例からも本症が多く発症しており、その規制だけではインフルエンザ脳炎・脳症の発症を防ぐことができず、発症の要因は別にあると考えた方がよい。」
とあり、この報告書が正しければ解熱剤以外の要因もあることになる。
しかし、以下の本によればどうやら違うようだ。
厚労省の報告書は結論を捻じ曲げているようなのだ!
それによれば、
もう少し引用する。
これでインフルエンザ脳症と呼ばれるものの正体が分かってしまったが、念のためにインフルエンザワクチンとインフルエンザ脳症との関係も見ておく。
【インフルエンザワクチンでインフルエンザ脳症を防げるのか】
「脳症患者のワクチン歴の有無(不明を除く)に関しては、「ワクチン接種無し」83%、「2回接種」14%、「1回接種」3%であった。これは2001/02シーズンにおける脳症患者のワクチン接種率7%を上回るものである。また、これもまだ最終結果ではないが、2003/04シーズンの接種率は24%であった。これらの調査結果からは、インフルエンザワクチン接種は必ず脳症の発症を防げるというものではないといえる。」
インフルエンザワクチンがインフルエンザ脳症を防げていないことが分かる。
そもそも、
「平成6年の予防接種法の改正時には、このようにインフルエンザワクチンの発病防止・重症化防止の効果を評価し、各個人がかかりつけ医と相談しながら接種を受けることが望ましいとする一方、それまでの同法に基づく学童等を対象としたインフルエンザの予防接種については、インフルエンザの社会全体の流行を阻止する効果は証明されていないことから、同法の対象から除外されたものである。」
と報告書にあるように、インフルエンザワクチンには流行を阻止する効果、つまり感染予防効果はないのだ。
これは有名な前橋レポートのことを言っている。
【筆者の判定】
厚労省の報告書の中で、
「病理学的に脳浮腫は著明であるが炎症細胞の浸潤は目立たず、ウイルス抗原は脳内では検出されないところより、本症はインフルエンザ脳炎というよりも脳症であるとする考え方の方が強い。」
とある。
近藤誠さんが仰るように、インフルエンザ脳症はインフルエンザが原因とは考えにくく、アスピリン、ジクロフェナク、メフェナム酸などの解熱剤が原因と考えるべきだろう。
そもそも熱は体が必要があって出しているものであるから、薬を使って下げるのは自己治癒能力を妨害することでしかなく、愚かな行為だ。
致死率の高い脳症に「インフルエンザ脳症」と名前を付けているのは、解熱剤の罪を他になすり付け、解熱剤を売り続けるためであると同時に、「インフルエンザは怖い感染症なので予防のためにワクチンを打ちましょう」と言いたいがためだろう。多くの医療機関がそのような注意勧告をし、ワクチン接種を勧めているのがその証拠だ。
例えばこの病院のように。
ワクチン接種は、治療薬と違って健康な人全員に打つことのできる、製薬会社にとっても病院にとっても実に美味しいドル箱なのだから。