Oリングテストは信用できるのか?
「Oリングテスト」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
真実を知ろうと、様々な勉強会や講演会に参加していると、たまにこの「Oリングテスト」に出くわすことがある。
「Oリングテスト」とは以下のようなもの。
筋の緊張を利用して生体情報を感知する検査手技で、「生体そのものが極めて敏感なセンサーで、毒物を近づけたり、体に合わない薬剤を手に持たせたりすると、筋の緊張は低下し、逆に有効な薬剤では緊張が良好に保たれる」という原理もしくは信念に基づいている。患者が手の指で輪(O-リング)を作り、診断者も指で輪を作って患者の指の輪を引っ張り、輪が離れるかどうかで診断する。この時、患者の体の異常がある部分を触ったり、患者の空いたほうの手で有害な薬や食物を持つと、患者の指の力が弱まりO-リングが開く、とされる。(Wikipediaより)
このように、何らかのものが体に与える影響を調べるために使われる。
内容から想像されるように、スピリチュアル系のメンバーの多い会に登場する傾向があるようだ。
私は、Oリングテストのやり方を聞いた瞬間に、脳内に警報がなった。結果が定量化されないからである。
これが、機械で引っ張って、指が離れるときの力量を測定するのであれば問題はない。しかし、引っ張るのは人間だ。いくらでも手加減ができる。
最初にOリングテストを受けたときのことは鮮明に覚えている。
何を試すためにやったかは記憶がはっきりしない(鮮明に覚えてないやん!)が、私の力が弱くなるべきときと、強くなるべきときとで、相手の指を引っ張る力が明確に違う!
相手は、私の指の力が強くなるべきときはゆっくり引っ張り、力もほどほどだ。
しかし、弱くなるべきときには強い力で一気に引っ張り私の指の輪を切り、「どうだ!」とばかりに私の顔を見る。
実に分かりやすい詐欺だったので私は一瞬で見抜いた。
もう一つの経験は、体の後ろに両手を回してお尻の辺りで両手を組み、その上を相手が手で押すものだ。
被験者の力が弱くなるべきときは、押されると被験者はよろけ、強くなるべきときは被験者はしっかりと立っている。
3人ほどが被験者になったが全員同じ結果だ。しかし私は先日のOリングテストの経験があるので簡単には信じない。
ところが、私の信頼する、裏の世界に通じた男性が受けても同じような結果だった。男性は「確かに違う!」などと言っている。
この人がそう言うなら本当なのかもと思い、これは確かめてみないとと思って受けてみたところ、案の定だった。
私にしっかり立っていて欲しいときは下に、よろけて欲しいときは後ろに引っ張るのだ!
感想を聞かれ、「引っ張り方が違う!」と容赦なく指摘した。
しかし他の参加者はすっかり騙されたようで、「先生!」と盛んに話し掛けていました。大丈夫かなあ?変な物を買わされないようにね!
私は本や講演会などで、正しい情報処理の仕方について伝えてきた。それは主にネットなどで得た活字や写真、動画での情報なので、今回のケースは若干違う。
まずは、Oリングテストという手法自体の妥当性の検証、次に実際にどのように行われるかだ。これは自分が受けてみるしかない。
最後に、テストを行う目的だ。
何かを販売するために行なっているのであれば「詐欺」と思った方がいい。
そのような目的がないのであれば、単にOリングテストが有効だと信じているだけかもしれない。
私もOリングテストが全くのデタラメだとは断言しないが、信用に値するものだとも全く思わない。
従って、Oリングテストを言い出した人間がいたら、その人が他にどんないいことを言っていても、一瞬で私からの信頼を失うことになる。
現時点では、Oリングテストの結果を、私が何かを採用するかどうかの判断材料にすることはないことを宣言しておく。
2024.1.7追記
とある飲み会で、言葉を使ったヒーラーの方の指示で、曰く付きのOリングテストをやることになった。
ただし今回は参加者が2人1組でやるのでインチキはできない。
最初に、私の組んだ相手が右手の親指と薬指で輪を作った。
それを私が両手の親指と人差し指で左右に引っ張り、相手の指が離れるときの力の強さを覚えておく。
次に、相手が「疲れた」と10回言った後に同じようにやり、最後は「元気」と20回言った後にやる。
結果は、「疲れた」と言った後は極端に弱くなり、「元気」と言った後には恐ろしく強くなった。
これは事実だ。自分で引っ張ったので。
次に逆にしてやってみた。
私が輪を作る。
最初は何も言わずに引っ張ってもらった。指は離れない。
「疲れた」と言った後に引っ張ってもらったら、やはり離れない。
私の場合は言葉の影響を受けないようだ!
要するに私は、思っていた通り、暗示に掛かりにくい人間ということだ。催眠術にも掛からない自信がある。
今思い返したら、もしかしたら私は親指と人差し指で輪を作っていたかも!薬指なら耐えられる気がしない!🤣
しかし言葉の影響を受けないことに関しては、結果は恐らく同じだったと思う。
ではなぜ言葉の影響を受けるのか?
その解説に納得した。
「レモンと梅干しはどちらの方がより酸っぱいと思いますか?」と質問されると、唾液が出る。
これと同じで、「疲れた」という言葉を聞くと、脳が反射的に反応して、疲れた状態を作り出してしまう。
その原理により、言葉が体の状態に影響を与えると言うのだ。
確かに毎日プラスの言葉を掛け続ければ人は元気に明るくなり、マイナスの言葉を掛け続ければ暗く、元気がなくなる。これは実感として分かるだろう。
これは、Oリングテストのもう一つの問題を浮かび上がらせてくれた。
「体に良くないとされるものを持ってテストをすると力が入らなくなり、体に良いとされるものを持ってテストすると力が入る」というOリングテストをする場合、手に持つものが体にいいか悪いかに関係なく、「体にいいもの」「体に悪いもの」という「言葉」を聞くことでプラセボ効果が発生し、体の状態を変えてしまうことだ。
このようなテストをする場合は、臨床試験と同様に、二重盲検テストをしなければいけない。
引っ張る側と引っ張られる側の両方が、被験者の手に持つものが「体にいいもの」か「体に悪いもの」かを知っていてはいけないのだ。
知っていては、その意識が体の状態を変えてしまうからだ。これがプラセボ効果だ。言葉による効果だ。
しかし実際にはそのようなやり方はされない。
結論
以上を考えると、ある物が体に良いか悪いかを判定するためにOリングテストを使うのは全く信頼性がないとの結論になる。
言葉による影響を排除できないからだ。
Oリングテストが有効なのは、言葉が体に及ぼす影響を調べるときのみだ。