ウイルスは存在しないのか?~ウイルスの定義の違いによる不毛な議論
この動画、京都大学を追い出されることになり、今年退職される宮沢孝之さんの考えが分かって非常に興味深い。
ただし、字幕大王さんの分析は、(いつも通り)思い込みによる断定的な言い方で宮沢さんを非難しており、これには全く同意できないので、そこはスルーして、純粋に宮沢さんの言葉だけ聞いて欲しい。
宮沢さんのコメント(要旨)
・ウイルスは存在しない」との主張があるが、いや、毎日ウイルスを扱っているんだけど。
仰る通りで、「ウイルス(と思っているもの)を使った実験を毎日されている」のは事実のようで、ここに嘘はない。
・ウイルスを分離した論文はないかもしれないが、単離を私の実験室では行なっていて、純粋なウイルス(と思っているもの)で実験している。
ここにも恐らく嘘はないのだろう。
ウイルスの定義
問題はとにかく「ウイルスの定義」だ。
ウイルスは、生物と無生物との中間の存在だと言われている。
私の理解では、「ウイルスは存在しない」と言ったときに、それは「定説における、"独立した存在である、半生物としてのウイルス"は存在しない」との意味だ。
細胞から放出されるエクソソームなのか、他のものなのかは分からないが、現在の生物学でウイルスの姿とされているものと同じ姿をしたものを宮沢さんは毎日扱っていて、それを当然のように「ウイルス」と呼んでいる。
宮沢さんが、一般的に「ウイルス」と呼ばれているものを「ウイルス」と呼んでいること以外、ここまでは何の問題もなく、事実を述べているだけだろう。
問題はその物質を何と呼び、どう定義するかだ。
結論
「ウイルスは存在しない」と言いたい場合、「独立した存在である、半生物としてのウイルスは存在しない」と言えば、認識の食い違いによる混乱や争いは避けられるのではないだろうか?
みんながウイルスだと思っているものは、細胞から放出された「細胞の一部」であり、元々独立した存在としてあったものではない、ということだ。
体の状態、細胞の状態によって、そこから放出される「ウイルスのようなもの」は構造を変えるのだろう。
ちなみに、以下の記事にあるように「ウイルスが人類の進化に貢献してきた」との主張があるが、これは恐らく間違いで、物事を逆さまに捉えているのだと思う。
これが事実だとしたら独立した存在である、半生物としてのウイルスが存在することになってしまうので。
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