![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120761966/rectangle_large_type_2_a15257f2e5e2081b3baa8fb354767588.png?width=1200)
「宇宙レベルの兄弟喧嘩に巻き込まれた我々」という設定
かつてあなたは、巨大な巨大な、キョダイ過ぎる「ナニカ」でした。
それはあまりにも大きく輪郭もなく名前もない「ナニカ」です。
どこからどこまでかが自分かもわからない巨大な空間に、ただ心地よく漂っていました。
その空間には無数の銀河から、たくさんのストーリーが音波になって流れてきます。
あなたはそのストーリーを聞いて、銀河に思いを馳せるのがとても大好きでした。
中でもとっても気に入ったのはこんなストーリです。
舞台となるのは、未発達のまだ若い、可能性に満ち溢れたとある銀河です。
ある星の王様が、自分の星を守る金のシールドが弱くなっていることに気づきました。
宇宙のシールドが弱ると、他の星から攻撃されてしまうかもしれません。
王様は自分の星を守るために、二人の息子に銀河を探索して、金を探してくるように命じました。
王様と最初のお妃様の間に生まれた息子は、心やさしい優秀な遺伝子学者でした。
そして、王様と第二のお妃様の間に生まれた弟は、生まれつき背骨が歪んでいてうまく歩けませんでしたが、それを指摘されないようとても気を張って生きてきたせいか、プライドが高く人に弱みを見せない男に育ちました。
そして強大な軍事力を誇る軍の司令官で、猜疑心が強く狡猾な人物でした。
そんな弟のことを、いつも兄は気遣い、できるだけ弟の望みを叶えてやりたいといつも思っていました。
民から絶大な人気を誇っていた兄のことを、弟は妬んでいましたが、表面上は兄を立てて、兄弟仲良く振る舞っておりました。
しかし弟は、王様から金の探索を命じられたのを機に、兄の権力を自分のものにしたいと密かに企んでいました。
たくさんの部下を引き連れて、兄弟は銀河へ探索の旅に出かけました。
そして、ある小さな未開の惑星を見つけました。そこは数少ない生物と、豊かな自然が循環している、生命力に富んだ信じられないような美しい星でした。
兄弟共に、一目みてその星が気に入ってしまいました。
そして兄弟が探し求めていた金も、深海にたくさん潜んでいそうでした。
しかし、その星特有の「重力」は兄弟の身体をとても疲弊させ、濃厚な酸素を吸い込むことで、体内が蝕まれていきます。
とてもこの星が気に入ったのに、兄弟がそこで活動するのは、体力的に困難でした。
そこでまずその星に、自分たちが活動しやすい楽園のような拠点を作りました。
(それは後に「エデンの園」と呼ばれます)
その楽園で、兄が遺伝子の研究を行い、その星に元から住んでいた生き物と、自分たちの遺伝子を掛け合わせ、この星の重力と酸素密度に順応した生命体を作りだし、彼らに金の採掘をさせることにしました。
(それが人類の始まりです)
遺伝子を掛け合わせて新しい生命体を作り出す実験は、最初なかなかうまくいかず、試行錯誤を繰り返す過程で、多種多様な生命体が生まれ出ました。
その中でも、兄は自分の血を引く人類を大変可愛がり、金の採掘を手伝わせる代わりに、たくさんの智慧を与え、彼らが自立し、幸福に繁栄できるような遺伝子を与えました。
兄にとって人類は可愛い我が子のようでした。
しかし、弟はそれが気に入りません。
彼は実は爬虫類の子なので「愛する」という感情が持てないのです。
弟は、金を採取させるだけの道具として、人類を奴隷のように扱いました。
そのことで兄弟は対立し、弟は兄がうとましくてしかたありません。
弟は軍の司令官でしたので、兄たち遺伝子学者の一派を軍事力を持って、その星から追放しました。
そしてその星の資源もそこで暮らすすべての動植物も支配してしまったのです。
兄の残した人類たちは、最初のころ、弟の支配に反発しました。
支配から逃れようと団結するので、弟は自分を神だと名乗り、神に逆らえば大洪水が起きるぞと恐怖で支配し、人類が団結しないよう言語と信仰をバラバラにすることで永遠に存続する対立構造を生み出しました。
(これがバベルの塔の物語です)
優秀な兄の遺伝子が発動しないよう遺伝子を組み換え、「神を信じない者は地獄に堕ちる」という罪悪感に根付いた信仰を広めることで、人類を操り奴隷にしました。
「お金」というエネルギーを生み出し、恐怖心を煽って戦争を起こさせ、武器を売りつけたり、地球の資源を独り占めし、富を1箇所に集中させ、財力によって情報や政治、医療や食も操りました。
弟はこの星をやりたい放題に搾取しつづけ、彼の独占支配が何億年か続きました。
この星の歴史は、この弟一人のマッチポンプと言っても過言では無いほどですが、歴史すら洗脳の道具として、弟にとって都合の良いように書き換えらて、真実は何ひとつ伝えられていません。
この星が所属する銀河の人々は、この星がどんな風に発展するのかずっと見守っていましたが、弟の一人勝ちに人類が太刀打ちできそうにないことをやっと理解しました。
どうにかすることを諦め、個々の周波数に応じて棲み分けができるように、会議の結果、宇宙のタブーを破り、「悪の大元」の弟を捕えることになりました。
何層にも裾野を拡げていた弟の一派による支配構造がまだ色濃く残り、残党たちが最後の悪あがきをしていますが、「悪」の大元はこの星を去りました。
そして追放されていた兄たちがこの星に還ってくることになりました。
兄の復活により、長い悪夢から目覚めた人類は本来の力を取り戻し、自分が創造神の一部であったことを自然に思い出すでしょう。
悪役の弟、お疲れ様でした。
(↑やっと今ココ)
この「善v.s悪」のキョーダイ喧嘩ストーリーは、どの銀河でもとても人気があります。
この星ならではの、罪悪感や劣等感を思う存分味わいつくした後、「悟り」というちいさく煌めく奇跡を手にできるのかどうかはあなたの覚悟次第です。
「悟り」とは元居た場所を思い出すだけ。
「思い出すぞ」と意図の力を使います。
(その力を使うことをこの星では「錬金術」と呼んでいます。あなたも使ったことがあるはず)
このストーリーは二元のマトリックスから脱出する開放感など多種多様な感情が味わえる、最高に人気のツアーです。
二元の真っ只中も非常に人気がありましたが、これがついに「現地で人類というボディスーツを着用したままキョーダイ喧嘩に巻き込まれ、深く眠らされてたことに気づく」という最高にエキサイティングな覚醒オプションは、今だけ限定の非常にレアなキャンペーンで、前代未聞の倍率となっております。
当選されました暁には「仮想現実マトリックス」の中で、貧困やら虐待やらパンデミックやら・・・仮想とは信じ難いほどのアップダウンのリアルさに翻弄されまくることでしょうが、どうか絶叫しながら刹那をお楽しみください。
そしてこの類稀なストーリーを体験された希少な語り手として、あなただけのストーリーを元いた「ナニカ」にお持ち帰りいただき、美しい音波を響き渡らせてください。
みんながこぞって聞きたがるでしょう。
しばし休まれた後は、またぜひ新しいストーリーアトラクションに挑戦してください。
(この星ほどのアトラクションはなかなかないかもですがね。)