国の将来がかかっているときに、正しい選択ができるのだろうか?
Vol 23 地域住民 国際交流
ある日、日本人の友人と戦争の原因について話していました。
彼が言うには、国家間の戦争の原因には、領土問題や資源の奪い合いのほか、政治的、イデオロギー的な相違も原因になり、それは主に次の2つの分野にあると言います:
人類社会の歴史において、政治的、イデオロギー的な考え方、とらえ方の相違は避けられないものでしたが、戦争が避けられないものではなかったのです。戦争は、野心的でエゴイスティックな指導者たちによる争いでした。戦争や紛争を最小限に抑えるためには、国際社会における平和、相互理解、相互尊重を促進する必要があります。
彼は、また次の話をしました。
前号まで、憲法9条を守り、戦争に反対する「ひしの九条の会」の草の根運動を紹介しました。同じようにも、「ひしの九条の会」の幹部の皆さんもその考えを持ち、在日中国人である私と日本人の方との交流会を企画しました。
司会者との対談で、私は30年以上日本で経験してきた日中の文化の違いを紹介し、参加者の中国に対する認識についての質問に、私の個人の考え方で答えるという形の交流でした。
交流会当日は、ひしの九条の会の会員だけでなく、参加者には、ほかの地域からの人たちもいました。近年の日中関係の悪化やコロナの影響もあり、これほど多くの人が集まる国際交流イベントは久しぶりでした。
日本人の時事問題や外の世界に関する情報は、テレビ番組や新聞、雑誌などの主流メディアから得ることがほとんどです。一方的な情報の受け手だけでは物足りない人は、深く掘り下げるために本を読んだり、サークル活動や講演会・フォーラムに参加したり、様々な識者の講演を聞いたり、イベントなどで他の人とコミュニケーションをとったりして、主流メディアとは異なる視点や情報を得ることで、自分なりの情勢認識を形成し、政治に対する判断力を養っています。
13年前、私はエッセイ集『感受日本――分かり合えるか中国人と日本人』を書きました。その中で私は、外国人として日本で生活する中で遭遇した、自分の常識や習慣、さらには価値観と相反する様々な事柄について述べました。
日本人の読者は、この本の中で、自分たちが当たり前だと思っていた現象に対する外国人のまったく異なる感覚や視点を見ることができたようです。
この日の交流会に参加した人たちは、ほとんどが『感受日本』の読者であり、著者である私と直接コミュニケーションを取りたかった人たちでした。
交流の内容は、基本的に中国と日本の異なる文化的背景の中で現れた日常生活の現象や認識の違いについてのことでした。例えば、社交の場での挨拶の習慣、客人をもてなす方法、伝統的な子供の教育、女性が男性と変わらない男女平等の価値観について...。
一般的なメディアで取り上げられないこうした違いが、知らず知らずのうちに誤解を招き、お互いに対する悪い印象を与えてしまうのです。これらは特定の状況での対立につながることもあれば、逆に、国民間の理解によって両国の関係が凍りついた状態から脱出させることもあります。
ある日本の大企業を定年退職した男性は、仕事で中国に数年間滞在し、その間に中国の観光名所を巡り、その後中国語を学びはじめました。これらの経験から、彼は中国についての理解を深めました。退職後、彼は地域の老人会に入りました。
老人会の人々の多くは、メディアの世論に導かれて「中国脅威論」を受け入れ、「台湾に何かあっては黙って見ているわけにはいかない」という見方をしていました。 その人が憲法改正に反対を表明すると、他の高齢者たちは「政府と喧嘩する気か」「和を大事にしましょう」と言われました。
この男性は、「この人たちは外の世界を理解せず、自分の考えも持たず、無知と盲従を美徳とみなしている」と残念そうに言いました。
ひしの九条の会の幹部たちも心配そうに話しました:
九条の会が設立宣言に次のような文面がありました。
あれから、19年が過ぎましたが、今のロシアとウクライナの戦争は改めて「軍事介入は紛争の有効な解決にはつながらない」ことを証明したのではないでしょうか。
憲法九条を守り、改憲に反対する運動は、メンバーの高齢化とともに規模が小さくなってしまいましたが、このムーヴメントの存在は、彼らの声を上げ続けることで、同じ思いを抱く人たちが集まってきますし、迷っている人たちや違う考えを持っている人の一部に対しても今の状況を再認識させられるかもしれません。
ひしの九条の代表太田智恵子さんは言います。
「私の子どもたちは誰も九条の会には入っていませんし、みんなそれぞれの生活で忙しい。けれども、親の背中を見て育った彼らは、世の中を見る力と自分なりの思考力や判断力、そして本物の平和が何かという価値観はきちんと持っていると感じます。この国の将来や運命を考えるとき、彼らが正しい選択をしてくれると確信していますし、安心しています」。
日本語添削:太田智恵子
本文の中国語バージョン