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(4)泊まれる本屋

Vol 78

初日のウォーキング・ツアーを終え、私たちは予定されていた宿泊先、古本屋を兼ねた古民家「庭文庫」に到着ました。

山奥の河沿いにある書店

庭文庫のホームページはこう紹介しています:

庭文庫は、なだらかな丘陵と川に囲まれた築100年以上の古民家を利用した、泊まれる本屋です。 川、木々、本、そして築100年の古民家に囲まれて、ゆっくりと穏やかな時間を過ごしていただければ幸いです。 リラックスしたい方、本を読みたい方、執筆に集中したい方、自然に触れたい方、古民家に泊まりたい方、ぜひお越しください。

お部屋や設備 | 庭文庫 (niwabunko.com)

現代の住宅と違って、古い家は機密性が低く、暖かい建物ではない。夏は暑く、冬は寒い。 大規模な改修が施されていないからこそ、時の流れを感じることができます。

お部屋や設備 | 庭文庫 (niwabunko.com)
書店の中の本棚

民宿を紹介するページには手書きの建物構成図と設備の説明があり、文化人の優雅さとスローライフのゆるさと親密さが漂っています。

手書きの民宿配置図

宿泊先に着いてから夕食が終わるまで、私たち6名の外国人参加者のほかに、このイベントの主催者である高野教授と数名のボランティア、そして夕食を作ってくれた地元の女性たち、さらに書店兼民宿の経営者である百瀬夫妻がいました。

部屋の中から見える山と川

外は雨が降っていたのに、中ではにぎやかで、会話が弾んでいました。 私たちは1泊しかしなかったので、「ゆっくりとした静かな時間」を感じることができませんでしたが、もし本屋の客として普段の時間に滞在していたら、上記のような感想を抱いただろうと想像できます。

店主夫妻

店主百瀬さんは30代の夫婦。2018年、百瀬さんは東京から故郷の恵那に戻り、沖縄出身の女性と結婚して、二人でお気に入りの古本屋を開きました。 ここでは、海外文学、哲学、人類学......。 大型書店ではあまり見かけない本は、店主のセンスと選書の腕が反映されています。

店長が選んだ書籍コーナー

庭文庫ではコーヒーも提供していて、書店スペースの隣には約30平方メートルの畳和室があります。ここでコーヒーを飲みながら本を読んだり、景色を眺めたり、店主と本や地元の歴史や文化について話したり、好きなだけ過ごすことができます。

よく売れそうな本でなくとも、店主がいいと思った本が本棚に並びます。そんな本との意外な出会いをした読者たちは、本を探すだけでなく、気心の知れた人たちと語り合ったり、考え事をしたり、時の経つのを忘れてくつろいだりするために、この店の常連になります。

畳の部屋

民宿

この古民家を最大限に活用するため、2020年、店主はクラウドファンディングを利用して民宿と出版社を併設しました。文化の香りが漂う山の家、ベッドの部屋と畳の和室があり、2組の宿泊が可能です。

古民家の玄関

その夜、私たち男女6人は2組に分かれ、女性はベッドのある部屋に、男性は畳の部屋に寝ました。
本屋が閉まった後も、宿泊客は一晩中ここで好きな本を読めるのが、宿泊できる本屋の最大の特徴というお薦めポイントです! 読書好きな人には何とも居心地のいい場所です。

洋室の寝室
和室の寝室

ホテルや旅館とは異なり、朝食は宿泊客自身が作ります。キッチンには、米、卵、ソーセージ、豆腐、味噌など、主に恵那山脈のふもとで採れた食材が揃っています。 欧米諸国からの旅行者たちと一緒に料理をし、彼らの朝食の習慣を会話から知ることは、興味深い旅の経験となりました。
(朝食セットは別料金・要予約になります)

台所

朝食は典型的な日本食で、米も野菜もスーパーマーケットの商品とは異なる新鮮さと豊かな風味を持っています。 我々都市生活者にとって、これは贅沢なことです。

書店のほかに

庭文庫のユニークさは、その立地だけでなく、あらゆる人や存在の形を受け入れることができる点にあります。
詩を持ってくる人がいて、店主がそれを本にして出版するのを手伝ったり、写真や絵を持ってくる人がいて、書店の一角がギャラリーや写真展になったり、ギターなどの楽器を運ぶ人がいて、入り口のスペースがギター・コンサートやジャズ会場になったりします。
また、定期的なセミナーや読書会......さまざまなニーズを持つ人たちの交流の場を店主が作っています。

ネットの発達は人々の読書習慣を変え、町の大小書店は次々と姿を消しましたが、人影まばらな丘の中腹にひっそりと佇む古本屋は、独自の営業方法で、より自分らしく生きたいと願う人々に静かに寄り添っています。

私たちは書店を出る時間になると、店主夫婦はみんなのために歌で見送ってくれㇽと言いました。
店主はギターを弾きながら、奥さんと一緒に歌いはじめました。 曲名はわかりませんが、聞こえてくる歌詞とデュエットの音色の違いから、別れを惜しむ淡い哀愁を感じました。

玄関で夫婦のデュエット歌

手を振って別れを惜しみながら坂を下りると、その歌は再び私たちの頭上高く響いた。歌声の処を探すと、店主夫妻は外に座り、私たちが去るのを見送りながら歌を続けていました。

高台で歌い続ける店主夫妻

その感動的な光景と、書店、そしてこの築100年の家で過ごした短い時間が思い出に刻まれました!

別れを惜しむ客たち

写真の一部は 庭文庫 | 岐阜県恵那市の泊まれる古本屋 (niwabunko.com)から引用したものです。

中国「百家号」は、中国語の本文から抜粋したナレーションと映像

https://mbd.baidu.com/newspage/data/videolanding?nid=sv_7015294006722978509

本文の中国語バージョン


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