靴型ギプスの適応症例には何があるか
さて、今日はシューズ型ギプスについてのお話です。
皆さんはシューズ型ギプスというのを聞いたことがありますか。
私は「くつ型」と呼んでいましたが、アメリカナイズドされた今時は「シューズ型」なようです。かっちょいい。
ただ、私自身、臨床で靴型ギプスを使う場面があまりありません💦
しかし、整形外科勤務時代に外勤(代診)の先生が謎にくつ型ギプスにハマっている時代があって、たくさん作った時期もあります。
まず、くつ型ギプスがどんなものかを紹介した上で、適応の怪我について考えてみます。
くつ型ギプスとは
アンケートの結果だと、全然ギプスなんか巻かないですって人も少なからずおりまして、一応ご紹介しておきます。
はい、ほねゆき画伯に靴型ギプスの絵をお願いしたところ、3分で仕上がりました。
要は、足関節をフリーとした踵〜指先までのギプスのことですね。
シャーレ状のギプスの絵を描きましたが、多くの場合でシャーレ状にして脱着可能とするのではないでしょうか。靴だから脱げないとだもんね。
作成のポイントとしては、①底屈時にアキレス腱部にギプスが干渉しないこと、②足部のアーチを崩さないこと、③何でギプスを固定するかで背側のギプスの加工が変わること、でしょうかね。
慣れれば簡単ですが、かなりギプスを作る人の技術が試されますね!
綺麗に巻いている人を見ると、おぉと思います。
人によってはギプスにパチンパチンと穴を開けてベルトを固定し、まさに靴のように脱ぎ履ぎできるように加工する人もいますね。
私がやったことあるのは、包帯でそのまま巻いて固定するタイプです。
ギプスを薄く巻いて、背側も残した状態で切れ込みを入れて、ギプスをぐいっと開いて履くようなタイプを作っている人も見たことがあります。
くつ型ギプス固定の適応は
この靴型ギプスの固定の条件はなかなか特殊です。
「足関節は動かすが足部だけ固定したい」という条件だからです。
足部の疾患は挙げ出すとキリがないので、骨折で説明しましょう。
足関節の損傷で靴型ギプスを使う人はさすがにいないでしょうから、足部の骨折を順に見ていきましょう。
踵骨骨折
踵骨骨折は踵骨にアキレス腱が付着しているので、適応外。
舟状骨骨折
舟状骨は後脛骨筋など足関節を跨ぐ腱がベタっとついているので、適応外。
立方骨骨折
長腓骨筋腱など、近傍を足関節の運動に深く関与する腱が通るので、適応外。
楔状骨骨折
色々、腱・靭帯がついているので….
これは、繰り返しになるな……
結局何が適応か
結論から言うと、遠位足根骨と中足骨より遠位の初期固定を含まない経過の段階的固定解除時のみで有効かと思います。
中足骨基部なんかでも足関節を止めなければ動揺が起きますので、初期に足関節フリーとすれば管理しきれません。
なので、足趾の骨折が一番適応となるのではないかと思います。
ただ、私は足趾の固定なら踵はフリーにしても変わらないと思いますので、結論としては初期固定の第一選択にくつ型ギプスは登場しないということになります。
皆さんのお考えや、実際にこんな患者に使いますというのがあれば是非教えてくださいね!