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〈症例提示〉小児の第4趾基節骨頸部骨折

メンバーシップの皆さん、先日は満足度アンケートの回答ありがとうございました。

全体としては比較的良い評価をいただきましたが、中には図星のご意見もあり、高評価数を増やすよりも、そういった少数のご意見を真摯に受け止めて改善していきたいと思います。

しっかりとメンバーシップ運営に活かしていきます。

さて、リクエストも数個いただきましたが私が解答欄を小さくしたせいで抽象的なものもあり、どういったものなのか模索している次第です。

リクエストのみの回答もできますので、アンケートフォームからでもLINEからでも、いつでもご連絡ください。

なかなか我々が扱う体の症状は個別性が高く、例えば「橈骨遠位端骨折の固定」といっても千差万別あるために、痒い所に手が届く発信は悩みます。

それゆえにこのメンバーシップの仕組みの中枢に〈個別相談〉を取り入れているので、まだ質問をしたことがない方は私をうまく活用してください。

不思議なもので、自発的に行動したことは良いも悪いも自分に刻まれます。

というわけで「個別性が高いなら無理に総論に走らず個別に解説していこう」と思いまして、今日の記事に至ります。

記事や動画は私の中で、皆さんの質問のタネだと思って作成しています。

もちろん、出し惜しんでいることはないのですが、人によって経験や理解度、知識は違うと思いますから、ぜひ質問(アウトプット)しましょうね!

嘘じゃなく、職場で話題にする、記事にコメントする、LINEで質問する、ツイートする、全てアウトプットで成長ですから、成長の次元が違います。

症例提示

13歳女児、ブランコから転落、サンダル履きだった。

左:下手な正面像 右:下手な側面像

そして、対診して撮ってもらったレントゲンです。

レントゲンはエコーと同じで正しくとらなければいけませんが、今回はいつもの放射線技師さんではなく、正面は少し外旋しており、側面は基節骨が全然写っていないレントゲンが上がってきました。

皆さんにはどう見えるでしょうか。

正面像を見て折れているのはわかると思います。

足趾の骨折はどこが多いか

小児の足趾の骨折の中で5本の指を骨折が多い順に言うと、「第5趾、第4趾、第1趾、第2趾、第3趾」です。

私は手指は「指」、足趾は「趾」を使います。人によってはどちらも「指」を使うとか、手指には「母指、示指、中指、環指、小指」といった和名を使い、足趾には「第1・2・3・4・5指」を使うとか、様々ですが伝わればなんでもいいです。

やはり、第3趾は真ん中で守られており、外側の第5・4趾はぶつける危険に晒されています。第1趾は踏み込んだり着地したり荷重がかかっての受傷が多いですね。

小児に関して言えばやはり骨端線がありますから、骨端線での骨折が多いです。

なので15歳以下で「足の指を怪我した」というと、真っ先に思い浮かぶのが『第5趾基節骨基部骨端線離開(離解)』ですね。

そういうところから鑑別が始まっています。

なんで基節骨なんでしょうね。

成人でも小児でも、足趾の骨折は基節骨が多いんですよ。

なぜでしょうか。

正解はリーチが長いからです。

「どっちの物体が壊れやすいか」と考える時にはその物体の形状を注意してみなければいけません。

球体または立方体と、円柱または四角柱のどちらが壊れやすいか。

感覚的にわかると思いますが、長い方が壊れやすいです。

「野球ボールを半分に割ってください」というのと、「野球バットを半分に折ってください」というのでは、後者の方が簡単でしょう。

そんなわけで足趾の骨折は、第4・5趾で基節骨が多いということです。

では、基節骨のどこが折れることが多いのでしょうか。

骨頭、頚部、骨幹部、基部でいうとどこでしょうね。

小児の場合はさっき言ったように「基部」です。骨端線があるから。材質が違うところは構造的に弱いんです。

対して、成人の場合は基部よりも骨幹部が多い印象です。もちろん、骨幹部から基部にかけての骨折も骨幹部に含めると完全に骨幹部骨折が多いでしょう。

今回の症例

そういった基礎的な知識を入れた上で、さっきの症例に戻りましょう。

側面像が本当にどうしようもないですが、だいたいこんな感じでしょう。

外観上は第3・4趾の趾間が開いていますから、一発で折れているのがわかります。

そんな時はすかさず患部を見ただけで「いやぁ折れてますね」と、医師法違反を犯します。

対診後に親が「なんでわかったんですか?!」と言ってくれば、もう通院は約束さています。

※半分冗談ですが、全部本当です。必ず安全を確保して、特殊な訓練を受けた上で法律を犯してください。

さて、今回は頚部骨折ですね。小児ではまぁまぁ珍しい。

珍しいので、私はつい「受傷外力が普通と違った特別なものなのかな?」と思ってしまいます。

多い受傷の第1位は「部屋のどっかにぶつけた」ですが、頚部なので「部屋でめっちゃ走っていたのか?」とか、「踏まれて足を引っ込めたか?」とか「ジャンプして着地でミスった?」とか考えます。

それで聞いてみたら、「立ち漕ぎのブランコから落ちて着地に失敗した」というものでした。

それを聞いて、「でも家の中ならまだしも、外で靴を履いていたら第4趾が開排しないよな?」と思ったので、「サンダルだったの?」と聞くわけです。

ここでサンダルか裸足かの確率は9:1くらいですので、簡単な推理です。

そうすると、「えっなんでわかるんですか?!」と言われるので、あとはニヤニヤすれば良いだけです。(半分冗談)

そして、私が整復しなければいけない理由を話します。

  • 手術室のある整形外科を受診したら手術と言われる可能性がある

  • ピンニングされれば皮膚の損傷が増える

  • 初手で手術と言われなくとも徒手整復が困難であれば手術の可能性を説明される

  • 手術も言われず徒手整復もされなければ最悪

  • 徒手整復後に「ずれてきたら手術です」と保険をかけられる

  • 手術や徒手整復を行なっても開排の変形がわずかでも残れば再受傷のリスクが上がる

  • 伸展方向にわずかに転位しているため踏み込み・踏み締めの感覚がわずかに狂う

  • 初期に適切な外固定を一定期間しなければ、レントゲン上の骨癒合までだいぶ日数がかかることがある

  • 初期に適切な外固定を一定期間しなければ発赤が残ったり、疼痛が残ったりする

挙げればキリがないですが、まず大きなポイントとして「私がみれば問題なく手術せずに治せるが、整形外科の先生がみたら手術と言われる可能性もある」という説明です。

「お子さんはスポーツは何かやられていますか?」とここで聞きます。

母親が「チアダンスをやっています」と。

「だったらちゃんと治さないといけないですよね」

正直なんのスポーツでもいいし、運動してそうかしてなさそうかは外観や仕草でわかります。

私は自分を売り込むとか、セールストークするとか、そういうのはめっちゃ嫌いなんですが、患者を治すとかそういった時には正直にいうことは必要だと思っています。

そして、整復後です。

わかりづらいと思いましたので、マークしました。

固定しても側面は取れるんです!笑

てことで、症例紹介?でした!

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外傷柔整師ほねゆきのnote
サポートいただければ、ほねゆきが妻にお花を買って渡します!