シェア
坂本蜜名
2018年7月7日 18:27
レモンイエローの羽毛が、ふわふわと舞っている。鮮やかなそれを見つめながら、僕はポカンと口を開けてしまった。「良い色でしょ?今、流行ってるんだー」ニシシと笑ってみせる彼女は、ライムグリーンの髪をかきあげて、僕にその翼を見せびらかす。有翼人種。そういう存在がいると判明したのは、人類が地球から飛び出した数百年後のことだった。彼らは、とある惑星の原住民であり、不思議なことに羽が生えている以外は、僕
2018年7月6日 18:20
どんよりとした空模様を見上げ、ほくそ笑む。浴衣に身を包んで向かう先は、とある古い日本家屋だった。「ようこそ、おいでくださいました」迎えてくれたのは、今回の会に私を誘ってくれた友人の、祖母だという老女だった。品があり、旧家の大奥様とはこういう人なのだろうな、という厳しさを滲ませる、キリリとした顔立ち。しかし、微笑むと皺が綺麗に刻まれて、ああ、よく笑う人なんだ、と思った。「ごめんなさいね。家族
2018年6月28日 08:07
胸の中に抑え込んでいた悲しみや苦しさや痛み。それが最大規模で爆発して広がった後、徐々に集束している。まだ歪なそれは、それでも煌めく原石となるだろう。私はそれを、磨いていくのだ。ゆっくりと時間をかけて。美しい思い出という宝石に、変えていく。決して忘れ得ぬ悲しみの色をした、それはなんと美しい宝石だろうか。それを胸に抱いて、生きていこう。痛みも苦しさも悲しみも、そのままでは辛いから。きっと煌めく