ツイン・ピークス The Return 第9章「このイスよ」のおはなしと考察。いよいよ折り返し。物語がドンドンすすむ。
こんばんは。大好きなツイン・ピークスThe Returnの感想や考察をネタバレありで書いていきたいと思います。公開から数年経っているけど、もし今のタイミングで見ている人がいたら、見た後に読んで楽しんでもらえたらと思います。
全世界20億人のリンチファンを驚愕させた第8章が終わり、第9章では何が待っているのか。
では早速いってみましょう。
前半のあらすじと考察。ハッチとシャンタル、フスコトリオ。
ハッチとシャンタル。忠実なるクーパーのしもべたち。
冒頭、悪いクーパーが道を歩いて来ます。おっさんたちのおかげで血まみれですが、どうやらやはり無事だった様子。赤いバンダナ(何かの目印か)のある場所にたどり着きます。
悪いクーパー、仲間のハッチとシャンタルと再会します。ハッチ役、ティム・ロスです。シャンタル役の女優さんも、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』に出てましたね。
悪いクーパー、ここでいくつか今後のための布石を打ち、指示を出します。
まずガラケーを取り出し、”UNKHOWN(不明)”相手に ”ディナーの席での会話は弾む”と謎のメッセージを打ちます。
次にガラケーでラスヴェガスのトッドさんに電話し、「次かけるまでに終わらせろ」と指示。おそらくダギー殺しの件か。トッドさんはロジャーを呼び出し。
次に、2日以内にマーフィー署長を殺すようハッチとシャンタルに指示します。終わったらベガスでもう一人殺害を指示するそうですが、誰でしょうか。ベガスということはダギーなのか、それともトッドさんでしょうか。
ちょっとの出番ですが、ハッチとシャンタルがもー、いい感じに最低夫婦です。ハッチは寝取られ好きってやつでしょうか。ヘラヘラしています。
クーパーがパーっと逃げ、ゴードンたちはバックホーンへ。
FBIゴードンたちのジェット機内。国防総省デイビス大佐からゴードンへの電話。「電話をかけなければ」と言っていたのはゴードンへだったのでしょうか?それにしても、若干タイムラグがあるような。
デイビス大佐から、バックホーン警察の遺体のことを知らされるゴードン。ここからサウスダコタ州バックホーン警察署へ向かうことになり、機上で悪いクーパーの脱走を知らされます。「クーパーがパーっと逃げた」。ここ、英語で何て言ってるんでしょうね。
ここでダイアンが誰かに連絡を取ろうとしてますが、携帯は使えず。
フスコトリオのおかしなおかしな調査。
ここはラスヴェガス市警。フスコ刑事たちが襲撃されたダギーの聴取中。ブッシュネルが聴取に答えていますが、社長からのダギーの評価は意外なことに高い様子。ただここで、ダギーは以前交通事故を経験しており、時々後遺症が出るということがわかります。”後遺症”というのが、今ダギーが陥ってるような茫然自失の状態をさすのか、何なのかはわかりません。
フスコ弟の調査で、ダギーには1997年以前の過去が「ない」ことが明らかになります。おそらく、ダギーはなんらかの方法を用いて、悪いクーパーに「作られた」存在なのだろうと思われますが、作られた年が1997年ということでしょうか。その年に意味があるのか。それ以前の記録がないのは、さもありなんという感じ。少しでも情報を得るため、フスコ兄の機転でダギーの指紋とDNAが採取されることに。
それと、意味ありそうで無さそうなフスコトリオのテールランプの話なんかもあるんですが、このトリオ、どれぐらいの重要人物なんでしょね。
巡査部長の情報で、拳銃の銃把から採取した指紋は”パイク・ザ・スパイク”のものと判明。殺し屋スパイクの居場所が割れたようです。この後スパイクはモーテルで追い詰められ、(おそらく)お縄になります。スパイク、「JTに伝言だ」と電話をかけてるんですが、うーん、JTなんてイニシャルの人、いたかなあ?
スパイク、手の平をべっとり剥がされていたみたいですが、あれ、やったの、「進化した腕」だよねえ?「手を引き千切れ!」て叫んでたし。
コーヒーを飲み干し、じいっと一点を見つめるダギー。視線の先にはアメリカ国旗。連邦捜査官だったころの記憶が蘇るのか。タイトスカートの女性の赤いヒールに惹かれて視線を移すと、そこにはコンセントが。
中盤のあらすじと考察。ツインピークスのあちらこちらで。
ツインピークス保安官事務所ではルーシーとアンディがいちゃいちゃ。思うに、君たちは仕事をするべきだ。けど、小さなことで絆を確かめ合えることはいいことだよね。特に、職場が夫婦で同じような場合には。
壁に激突するジョニー。たぶんジョニー・ホーン。
少佐に見えていた未来。過去からの贈りもの。
ブリッグス少佐宅。ボビーがフランク、ホークを伴って母のベティを訪ねてきます。ロッジから出て、行方不明になる前のクーパーの足跡を辿って。
部屋に入ってきた一行を見て、悟ったようにベティが語り出します。
クーパーは少佐が亡くなる前日に少佐宅を訪れていました。
そしてクーパーが去ると、少佐はベティを呼び、「いつか、ボビーとホーク、トルーマン保安官が、クーパー捜査官のことを訪ねにここに来るだろう」と予言したというのです。3人が来ると渡して欲しいものがあると言付けて。
「このイスなのよ」
そう言って立派な赤いイスを指すベティ。イスには細工がしてあって、不思議な銀色のペンのような形の金属が中に隠されていました。不思議な金属を手渡し微笑むベティ。緊張が高まった瞬間の、「コーヒーにしましょうか」。この一連のシーンは感動的です。
前作のどこかで、ブリッグス少佐がボビーに、懇々と夢の話を聞かせるシーンがありました。いつもは悪ぶって、ずる賢いことばかり考えているボビーですが、その時ばかりは真剣に父親の話に耳を傾けていたことを思い出します。
贈り物の中身とは。
その後保安官事務所に行き、地面に2度打ち付けるという原始的な方法で金属を開けるのに成功するボビー。中から紙が出てくるのですが、そこには
「ジャックラビットパレスから253ヤード東へ進め」
「ジャックラビットパレスを去る前にその地の土をポケットに入れろ」
2:53
10/1 10/2
ツインピークスらしい二つの山のような絵。
赤い丸とあの2本のツノのある悪魔のような絵が横に並び、悪魔の上に下向きの三日月のような絵。
が書かれています。
ここで10/1が2日後と言われていますので、今は9月29日だということがわかります。
ボビー曰く、ジャックラビットパレスは昔ボビーたちが住んでいた空軍基地の近くだとのこと。
その後、フランクはもう1枚の紙に気がつくのですが、その紙に書かれてたのは、前作で少佐がクーパーに語った、基地で受信した信号らしきものがタイプされていました。一部を切り取ったものなので周囲が切れており、そこにCOOPER/COOPER/COOPER とたしか3回書かれているのですが、途中で切れているのでフランクたちは「クーパーが2人?」と勘違いしてしまいます。
中盤のあらすじと考察2。バックホーン警察での衝撃展開。
やさぐれダイアンになぞのメッセージ。
やさぐれてタバコを吸うダイアンのスマホにメッセージが届きます。なんとさっきの悪いクーパーからのメッセージ。「ディナーの席での会話は弾む」。
うーんこれは・・・・・?
デイブからことの成り行きを聴くゴードン一行。つまり
1 図書館司書ルース・ダベンポートの頭部とブリッグス少佐の胴体が見つかる。
2 ルースと、容疑者ウイリアム・ヘイスティングスは不倫関係。ヘイスティングスは拘留される。
3 ヘイスティングスの妻フィリスが自宅で射殺される(犯人は悪いクーパー)。
4 ヘイスティングスの弁護士ジョージ(でありフィリスと不倫関係にあった)が容疑者として拘留される。
5 翌日、ヘイスティングスの秘書が車の事故で死亡(爆弾を仕掛けたのはおそらく顎をもみもみされていた男ジョン)
ここでようやく、バックホーンでのウイリアム・ヘイスティングス事件と、ゴードンたちが結びつきます。
少佐の遺体と対面するゴードンたち。ここで結構衝撃的な内容がわかります。
ルースとヘイスティングスは、ただの不倫関係ではなく、「異次元空間について」というタイトルのブログを共に運営していたというのです。ブログの最終記事では、「我々はゾーンに入り、そこで少佐に会った」と書かれていたそう。ううむ?!
少佐の胃から発見されたダギーの指輪を見せるコンスタンス。徐々に糸と糸がつながっていきます。
この後、外で喫煙中のダイアンとタミー、ゴードンのとても気まずい3人のシーンがあるのですが秀逸です。ひっきりなしに体をゆらすタミー。ゴードンに一服させてご満悦のダイアン。
後半のあらすじと考察。刮目せよ。バハマは行け。ゾーンへ飛べ。行けよウイリアム。
ウィリアム・ヘイスティングスの独白ショー。
バックホーン警察の取調室で、ウィリアム・ヘイスティングスの聴取が行われるのですが、これが見事。ヘイスティングス役の俳優さんの一世一代の泣き笑い演技をぜひご覧ください。しかも言ってることがもう新事実がわんさかで、驚きながら笑いながら哀れみの気持ちが湧いてくるという、唯一無二の感動を抱かせてくれる(笑)ツインピークス、やっぱり最高です。
以下はヘイスティングスの供述。
1 ルースとヘイスティングスは、「ゾーン」と呼ばれる異次元空間を長いこと探し、たくさんの資料を読み漁った。
2 ルース・ダヴェンポートは、「しかるべき時刻に、しかるべき場所に行けば、しかるべき人物に会うことができる」と主張していた。、
3 今から2週間ほど前、ゾーンを探し当てたルースとヘイスティングスは、その中に入ることに成功。
4 ゾーンの中で、彼らは「少佐に会った」。
5 少佐は隠れており、「冬眠中だ。他の連中に見つかってしまうかもしれないので、他の場所に行きたい」と言い、「数字=座標」を入手するのを手伝うよう、ヘイスティングスたちに依頼した。
6 ヘイスティングスたちは軍のデータベースに侵入し、その「数字=座標」を入手した。ルースはその数字を忘れないよう手に書いていた。
7 先週の木曜、少佐に数字を届けにいくと、おそろしいことが起こった。
8 「他の連中=やつら」がやってきてヘイスティングスの首を床に押し付け、「女房の名前は!」と聞き、「フィリス」だと答えた。
9 数字を渡すと、少佐は宙に浮かび上がり「クーパー」「クーパー」と言うと宙に浮かび上がった。
10 その先はどんな資料にも載っていないことが起こった。とても美しかった。その時ルースが死んだ。
11 次の瞬間目が覚めたら自分の家にいた。
12 ルースを殺したのは少佐ではない。そこには「大勢いた」
13 ヘイスティングスはルースとバハマに行って、ビーチでトロピカルカクテルを飲み、ダイビングをして夕陽を浴びるつもりだった。
14 ヘイスティングスはダイビングがしたかった。
ヘイスティングスは少佐の顔を正確に認識しており、署名と日付を記載しました。日付は9月29日。
それにしてもなかなか衝撃的な供述ですよねこれは。いいよ。行けよバハマ。飛べよカリブ。一人で行けよ傷心旅行。ウィリアム・ヘイスティングス。
グレート・ノーザン・ホテルの夜。
今宵も部屋で謎の音のありかを探すベンとビバリー。今回は結構いい線いってそうです。2人の間もいい感じですが、ベンの方が紳士的に拒絶します。「ベンがどんな人物か」っていうのも、物語となんとなく関わってきそうですよねえ。
バンバン・バーで脇のかゆい金髪の女の子と黒髪の女の子が喋ってます。
とにかく脇のかゆそうな女の子が出てきて、とにかく不健康そうです。面白い顔の子だなあって思ってたんですが、この子は歌手のスカイ・フェレイラ。僕はスカイ・フェレイラの”Everything Is Embarrassing”という曲は結構好きです。
ところでかゆいのは左脇。なんだよ。このかゆいのにも意味あるの?
バンバン・バーでは今期2回目の登場、オウ・ルヴォワール・シモーヌ。僕は向かって右の黒い衣装の女性が好みです。
クールだよね。
ツインピークスThe Returnも折り返し地点。
今回出てきた主な謎ですが
(1)悪いクーパーはなぜダイアンの連絡先がわかっているのか?
(2)ふたりは繋がっているのか?仲間なのか?それとも悪いクーパーが一方的にコンタクトを取っているのか?
(3)少佐の残した謎の意味は?
(4)ヘイスティングスが突き止めた「ゾーン」とは?
(5)少佐はなぜ死んだのか?そのときゾーンで何が起こった?
といったところでしょうか。今回はブリッグス少佐スペシャル回でしたね。生前から、今日この日のことを予言していたブリッグス少佐。その時のためにメッセージを残していたブリッグス少佐。40代のままの胴体で、25年後に見つかったブリッグス少佐。「ゾーン」に隠れていたブリッグス少佐。ヘイスティングスたちに座標を探させたブリッグス少佐。
そして意外なほど謎に肉薄していたヘイスティングスとルースでした。それではルースの胴体はどこにあるのか、というのもいささか気になるところです。
余談ですが、僕は今回の登場人物の中でも、トップクラスに好きなのは検死官のコンスタンスです。今回も、登場シーンは少なかったけど小気味いい存在感を放っていると思いませんか?アルバートに対しても一歩も引かず、遺体を前にマイペースでジョークを放つところなんかも好感が持てます。
さてついに半分が終わってしまいました。あと半分で謎が解き明かされるとも思いませんが(期待してはいけない)、楽しみに見ましょう。