ツイン・ピークス The Return 第7章「遺体はある」のおはなしと考察。
こんばんは。大好きなツイン・ピークスThe Returnの感想や考察をネタバレありで書いていきたいと思います。公開から数年経っているけど、もし今のタイミングで見ている人がいたら、見た後に読んで楽しんでもらえたらと思います。
では早速いってみましょう。
前半のあらすじと若干の考察。
ジェリー・ホーンが森で迷子になり、ベンジャミンに電話するちょっとしたギャグシーンから始まります。
ツインピークス保安官事務所で、前回見つけたローラの日記を調べるホークとフランク・トルーマン。3ページがみつかり、あと1ページがまだ行方不明だそうです。日記を事務所のトイレに隠したのはリーランドだろう、と推理するホーク。日記の内容は、映画版『ローラ・パーマー最後の7日間』に描かれている内容です。つまり、
「良いクーパーはロッジに居て出られない」。
この言葉から、ホークは推理を進めます。25年前、クーパーはロッジからアニーと共に確かに出てきた。しかしそのクーパーは、”良いクーパーではない”かもしれない。つまり”良いクーパー”は、まだロッジに閉じ込められている可能性がある。
僕たち視聴者はもう知っていることですが、そのことに思い至るホークとフランク。丸太おばさんのメッセージによって真相に一歩近付きます。
「キミのトラックだろう〜?」
アンディが長髪にキャップの男と話しています。停められているのはリチャードが乗り捨てたらしいピックアップトラック。キャップの男は焦り、「確かに俺のだが、ここではまずいので話せない」と拒絶します。そこでアンディが場所を変える提案をし、
2時間後にスパークウッド通りの先の林道で会う約束をして分かれます。
ヘイワード先生とスカイプで会話するフランク・トルーマン。
25年前のクーパーの足跡を追っています。黒電話とスカイプが同居する世界。それがツインピークス。フランクのキータイプは一本指です。
ヘイワード先生いわく、彼は25年前、病院でICUからコッソリと出てくるクーパーを見かけていました。その時ICUには昏睡中のオードリーがいたとのこと。オードリー、命は助かっていたんですね。
それにしてもこのPC、デスクからディスプレイが出てくるなんて洒落てますね。
サウスダコタ州バックホーン警察署。
国防総省のノックス大尉が、デイブ刑事を訪ねてきます。検死官のコンスタンスがつきとめた指紋が、なぜか機密情報としてブロックされたことで、バックホーン警察の動きが国防総省に通じた模様。
指紋の出どころを聞くノックス大尉に、指紋は「遺体から」と伝えるデイブ刑事。ノックス大尉は驚きの表情を見せます。つまりノックス大尉(国防総省)が探し続けていたブリッグス大佐の「身体」がここにあるということ。これは驚きでしょう。
安置所でブリッグス大佐の遺体(首から下)と対面するノックス。遺体の年齢は40代後半、死亡推定時刻は5〜6日以内と説明を受けると、明らかに狼狽えます。確かにおかしな話です。ブリッグス大佐は、25年前の時点ですでにそれぐらいの年齢だったでしょう。
廊下に出てデイヴィス大佐に電話するノックス。報告を受け驚くデイヴィスですが、「では一本電話をかけなければ」と言います。誰にでしょうか?
ブリッグス大佐の「遺体」は、どうやら時空を超えてしまっているようです。そして彼の「頭部」はどこにあるのでしょうか?
ここで不気味な音とともに何かがゆっくりと近づいてきます。
真っ黒な男。明らかに警察署にいるのは不自然な風体です。すんでのところで真っ黒な男との接触は避けられます。
とうもろこしがツバメのように頭から落下しているような奇妙な絵が掛けられている部屋
で、ゴードン・コールが口笛を吹いています。乱暴にドアを叩くアルバート。ダイアンとの接触は不首尾に終わったようで、今度はゴードンに行けと迫ります。
ダイアンのマンションを訪ねるゴードンとアルバート。ここもなんとなく微笑ましいシーンですが、何しろダイアン(ローラ・ダーン)がハードです。ダイアン、25年前からこうなったの?それとも25年のうちになにかあったの?FBIは辞めているのでしょうが、良い辞め方じゃなかったのは確かでしょうね。
クーパーが25年ぶりに見つかったものの、実際会ってみると様子がおかしい。そこでクーパーのことをよく知っているダイアンに会ってもらうことになります。ここでゴードンが、「君の知っていることに関係している」と意味ありげなセリフを吐きます。
サウスダコタへ飛ぶFBIの飛行機内。指紋の謎。”悪いクーパー”はリオ住み。
機内で、クーパーの指紋についての疑問を語るタミー捜査官。25年前のクーパーと、連邦刑務所にいる”悪いクーパー”の指紋では、コードマークの位置が左右逆だというのです。どういうことでしょうか?
この疑問に対し、いつものことですがまともには応えないゴードンは、「タミー、君は次々試験をパスしている」と言うとタミーの手をとって、「これはスピリチュアルな手だ。これはスピリチュアルな指。よく考えろ」と謎かけをします。意味わからんよ。
ここで一枚の写真が出てきます。なんと”悪いクーパー”が写真に写っていました。どうやら彼の自宅はリオの郊外にあり、所有者はイパネマ出身の女性だとのこと。これが一体どれほど重要な情報なのか、さっぱりわかりませんが。
スー・シティー ヤンクトン連邦刑務所。ダイアンと”悪いクーパー”の邂逅。
雰囲気たっぷりの会見室で、悪いクーパーと対面するダイアン。かなりの緊張が伺えます。クーパーの姿を見ると思わず立ち上がります。
「あれはいつだった?私たちが最後に会ったのは」
「君は俺に怒ってると思う。」
「君の家だったな。」
「ええそう。」
「あの夜のこと覚えてる?」
「あの夜のことは忘れない。」
「私もそうよ。絶対に忘れない。」
「あなた、誰なの」
「言ってる意味がわからない。」
「私を見て。私を見てよ。」
問い詰めても、返ってくるのは要領を得ない返事と、
どこまでも空虚な目。ダイアンは確信します。目の前にいるのは、「私が知っているクーパーじゃない。年を取ったせいとか、人が変わってしまったとか、見た目の問題とかじゃない」。「ここ=心」に原因がある。「ここ=心」にあるべきものが失くなってる。
ダイアンの反応により、やはり”悪いクーパー”からは「魂」なのか「心」なのか「中身」なのか、わかりませんが大切なものが失われてしまっていることがわかります。そしてダイアンとクーパーには、何か重大な秘密があったようです。二人の関係はどんなものだったのか。そしてダイアンが言う「あの夜」というのは、25年前の事件より後のことなのでしょうか?
それにしても、カイル・マクラクランの、ダイアンを見つめ返す空虚な目の演技が見事です。
男は来ない。アンディは待つ。
岩肌と山肌。林道で律儀に待つアンディですが、約束の時間を過ぎてもキャップの男は現れず。不気味な雷鳴が轟きます。キャップの男の住んでいた家のドアは不気味に開け放たれ、何か嫌な予感がします。始末されたのでしょうか?
後半のあらすじと若干の考察。
弱みを握られているマーフィー所長。”悪いクーパー”段取り済みのようです。
ヤンクトン刑務所のマーフィー所長と面会する”悪いクーパー”。どうやら所長の弱みを握っているようで、様々な言葉で所長を脅します。いわく、
「まずは犬の足。1本は俺の車から見つかり、残りの3本はあんたが今考えている情報と一緒に消えた」
「俺に何かあると、あんたがここに来てほしくない2人がくるぞ」
「ジョー・マクラスキー。死んだストロベリー。」
マクラスキーですか。奇遇ですね僕も枕は好きです。
すっかり怖気付いたマーフィー所長、どうやら言う通りにしてしまいそうです。レイと一緒に所を脱出する手はずを整えた”悪いクーパー”。車のグローブボックスに「友達を入れておけ」と指示をしていますが、友達とはなんぞや?
ダギー暗殺未遂事件。ダギー・チョップが身を救う。
会社にダギーを迎えに来たナオミ・ワッツ。ダギーのオフィスに刑事が3人入ってきます。ダギーの車が爆破された件について調査に来ているようですが、ここでもナオミ・ワッツ無双。今のところチンピラ2人と刑事3人に対して連勝中です。ここは見てもらわないとね。
オフィスを出ようとするダギーに突然、スキンヘッドの殺し屋が襲いかかります。銃を突きつける殺し屋を慣れた手つきで組み伏せ、チョップを見舞うダギー。ナオミワッツも首締めで応戦します。もみ合っていると、コンクリートの地面からなんと「進化した腕」が顔を出し、
「手を引きちぎれ!」「手を引きちぎれ!」と叫びます。
引きちぎることはせず、首にチョップを見舞われて殺し屋は退散します。
やはり咄嗟のときにはクーパーだったころの反射神経が顔を出すらしいダギー。
警察が来て、殺し屋が持っていた銃から謎の肉片を採取。そしてここで、ダギーの本名が「ダグラス・ジョーンズ」であることが判明。
霧の中のグレート・ノーザン・ホテル。ビバリー、ベン、謎の音。
ベンジャミンの部屋のどこかから、謎の音が聞こえてきます。音のありかを探すベンジャミンとビバリー。音は先週から始まり、大きくなっている様子。
うーん。たしかベンジャミンの部屋にはオードリーの隠し窓があったような。隠し窓の向こうから聞こえているのでしょうか?
ここで、ジェイド様が届けてくれた315号室の鍵がベンジャミンの手に渡ります。25年前の記憶が呼び覚まされるベンジャミン。ローラの事件も、クーパーの名前も、今のツインピークスを生きる人たちにとっては縁遠いものになってしまっていることがわかります。
ビバリーとベンジャミンの関係、いいですね。ビバリー役の女優さんがとても魅力的だし、ベンジャミンも良い感じに枯れて、往年のギトギトした感じがなくなって、大人の余裕を感じます。部屋の照明や調度品、全て木材の壁なんかも雰囲気を盛り上げている気がしますね。こんな部屋で仕事できたら、幸せだろうなあ。
ビバリーが帰宅すると、ヘルパーさんが出るところです。ビバリーの夫は病身のようで、ずいぶん辛そうです。夫(トム)との関係はお世辞にも上手くいっているとはいえない様子。病身の夫と、生活のために無理して働く妻というのは、前作のレオとシェリーを彷彿とさせますね。
ここで巷で話題の、バンバン・バーの床を延々従業員が掃除するだけのシーン
になるのですが、不思議とこんなシーンでも見せちゃうのがいいところなんだよねえ。
ここで未だに、ルノーファミリーが未成年の売春斡旋に手を貸していることがわかります。世の中狂ってるぜ。
ヤンクトン連邦刑務所からの脱出。
深夜1時。悪いクーパーとレオは約束通り、刑務所を堂々と脱出することに成功します。マーフィー所長がどんな悪事を働いているのか知りませんが、所長だけでなく所員数名も協力していることからも、マーフィー単独の行為というわけでもないようです。世の中狂ってるぜ。
夜のRRダイナーで今回はお別れです。途中男がドアを開け、誰かを探してる風で立ち去っていきますが、あれも何か物語に関係しているのでしょうか??
まとめと新たな疑問。
第6章で出てきた重要と思われる情報は、
①オードリー・ホーンは銀行の爆発事故で死んではいなかった。昏睡状態であった。
②悪いクーパーの自宅はリオ郊外にあり、所有者はイパネマ出身の女性。
③タミー捜査官は、ゴードンの試験を次々パスしている。次の宿題は「スピリチュアルな手」。
④ダイアンとクーパーは、ダイアンの家で最後に会った。
新たに出てきた疑問は
(1)まだ見つかっていないローラの日記の残り1ページはどこにあるのか?
(2)ブリッグス大佐の指紋を機密扱いにしたのは誰なのか?
(3)なぜブリッグス大佐の「遺体」の年齢は40代なのか?
(4)デイヴィス大佐が電話をする相手は誰?
(5)警察署を徘徊していた「真っ黒な男」は誰?
(6)キャップの男はどこへ消えた?
(7)ダイアンとクーパーの間に何があったのか?「あの夜のこと」とは?
(8)殺し屋の銃から採取された肉片のようなものは何か?
(9)悪いクーパーが言う「友達」とは何か?
(10)ベンジャミンの部屋から聞こえてくる音は一体何?
といったあたりでしょうか。
徐々に物語が進んできましたね。今回は悪いクーパーの脱出と、ブリッグスの遺体の発見が新たな展開といえるでしょうか。ダイアンの役目がまだあるのか、ベンジャミンとビバリーの関係は進展するのか、楽しみです。
ではこの辺で。次回も楽しみに見ましょうね。