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ツイン・ピークス The Return 第1章のおはなし(転載)

別のアカウントで投稿した記事ですが、アカウントを分けたのでこちらに転載します。(以下転載)

こんばんは。

突然ですが、私の大好きな、ツイン・ピークス の新作について、レビューしていきたいと思います。

何しろ公開からしばし経っていますが、気にしない気にしない。

お話の内容をつらつらと、多少の感想を交えて書いていく形にしようと思います。何しろ情報量が莫大な映像です。文章化するだけでも楽しい。ですのでネタバレです。ほとんど自分が忘れないために書くようなものだぜ。写真は使いません。

ではいきましょう。スタート。

旧作ツインピークスの「赤い部屋(ブラックロッジ)」から始まるオープニング。

霧の中に浮かび上がる懐かしい風景。廃墟のように見えるパッカード製材所。ハイスクール。顔を抑えて走り去る女の子(ドナ?)

お馴染みのアンジェロ・バダラメンティによるあのナンバーが郷愁と興奮を誘いますが、滝壺の映像はさすが高精細、時の流れを感じさせる美しさです。

25年後の巨人とクーパー。25年ずっとここにいたのね。

巨人いわく『この音を聴け』 蓄音機『カチ、カチ、カチ・・・』

巨人いわく『今それは、我々の家に』『今は全てを声に出してはならない』『忘れるな 430』『リチャードとリンダ』『2羽の鳥と1石』『お前は遠く離れている』

これがヒントでしょうか?のっけから意味不明で素晴らしい。ゆっくりとした会話のテンポがリンチ風味全開で大好きである。

妙に消えるクーパー。

どっかの森。キャンピングハウス。車がやってくる。ダンボールを積んでいる。

ジャコビー先生。赤と青のサングラスは識別に便利ね。なにやら、ジョンと呼ばれる男がやってきて、ダンボールからスコップを取り出し、ジャコビー先生に渡している。ゆらゆらと曖昧に動くカメラ。ジャコビー先生「大丈夫だ、一人でやりたいんだ」なにをだ。

驚くことに、ニューヨーク・シティー。恐ろしく美しい夜の摩天楼。こんな映像がツインピークスで見られるとは。

と、カメラが摩天楼に不釣り合いな古ぼけたビルに近づくと、ビルの窓に空いた丸い穴。古いレンガの内装は剥げかけ、坊主頭の男がなにかを凝視している。丸い窓は分厚いガラス製の立方体と繋がっており、立方体を取り囲むようにおそらく録画用のカメラと照明が設置されている。

見ると若い男はソファーに座ってガラス製の立方体を凝視している。「カメラ3」と放送が入る。男、脚立を持って「カメラ3」へ近づくと、SDカードを交換し、時刻をマーカーで記録してメディア保管用と思われる黒いキャビネットに収納する。全てが慣れた手つき。

再び凝視する男。カメラは6台。部屋は広く、ダンボール箱があたりにたくさん無造作に置いてある。

デリバリーが来たとの放送が入り、格闘家風の警備員がおり、トレーシーと呼ばれる女性が紙コップ入りのコーヒーをふたつ持ってくる。男の名前はサムというらしい。ツインピークスといえばコーヒーなんだけど、この登場の仕方、今っぽいよね。トレーシーはサムの彼女なのか、親しい様子で中に入りたいみたいだが、サムは断る。どうやら「入ってはいけない」ことになっているらしい。それはそうである。こんなあからさまに怪しい仕事なのだから。

おお、なつかしいグレート・ノーザン・ホテル!

そしてベンジャミン・ホーン登場。オフィスはそのまま。それにしても、この内装と調度品は古びないねえ。ビバリーという秘書らしい女性が入ってくる。ベンはさすがにおじいちゃんになっているもののさっぱりとした髪型で、手には変わらず葉巻を持っている。ヘビースモーカーだけど元気そうで何よりだ。あの独特なボディランゲージも健在である。棚の上の剥製は絶滅危惧とかのあの動物ではないね。

突然ジェリー・ホーンが入ってくる。アムステルダムの大麻を混ぜ込んだクリエイティブな食べ物の話を始める。ジェリーは変わってない。

ツインピークス保安官事務所

おお、ルーシー・ブレナン!恐ろしく変わらないけど、デスクにはパソコンがあり、Canonのレーザープリンタが見える。

おじさんがやってきて「トルーマン保安官を」と尋ねるが、「どっちの?」というルーシーは要領を得ない。トルーマン保安官は出ないんだよね。これは本当に残念なこと。

突然!真っ暗な森の中を走る車。不穏なビート、怪しいヴォーカル。さあなにが起こる。

ベンツが停まり、中から出てきたのはなんと、クーパー!クーパー?

怪しい山小屋にぬっそりと近づき、ライフルで脅して来た見張りらしい男を一発でのしてしまう。中に入ったクーパー。オーチスと呼ばれるにやけ顏の男と椅子に座っている二人の男がいる。

すると中からいかにも怪しい風体の女性「ビエラ」が現れる。「レイとダーリヤは」と尋ねるクーパー。ビエラがレイとダーリヤを呼ぶ。ビエラ、「トラック運転手しかいないからねえ」とか言う。二人、出てくる。いかにも田舎町のチンピラという感じ。クーパー、レイとダーリヤを連れてぬっそりと出て行く。

オーチス、懇願するような口調で「ミスターC、ミスターC」と呼ぶ。 どうやらクーパーはここでは「ミスターC」と呼ばれている・・のか?

なるほど、これはおそらく旧作の最後で、ボブが憑依したように見えたクーパーの、25年後の姿なのだろう。それにしても、このクーパー、なんとも言えずいけてない格好である。格好が「悪いやつ風の服装を着せてみました」という感じなのである。革ジャン、爬虫類の皮のシャツ、中途半端なオールバック風の中途半端な長さの髪型、少し浅黒い顔、そしてぬっそりとした動き。こう、なんとも現実感のないキャラクターである。

再び摩天楼の空撮。あの部屋。メディアを交換している坊主の男(サム)。

トレーシーがまたコーヒーをふたつ持ってくる。なぜか警備員がいないので、トレーシーが中に入ることになる。本当はいけないのだが。

部屋に入る二人。ダンボール箱には「投げるな」と書いてる。これにはなにが入っているのだろう?室内の異様な光景に戸惑うトレーシー。サムは「学費を稼ぐためにやってるだけ」「匿名の大金持ちがオーナー」「俺の仕事は、箱の中に何か現れないかただ見張っているだけ」「前にやってたやつは、一度見たって言ってた」「この場所のことは喋っちゃいけないんだ。あの箱のことも」と話す。結局のところ、この部屋が何のためにあるのかは、わからない。

たくさんの機械と意味不明な配線。ソファーに座る二人。このソファー、機械を見張りやすいようになのか、舞台みたいなものの上に置いてある。

ソファーの横に小さな盆栽が置いてある。盆栽と言えば盗聴器だよね。

やがて見つめ合う二人。二人とも我慢が出来ないようだが、サムの仕事は何時で終わるのだろうか。学費を稼ぐためにずっとこの部屋でバイトをしているのだろうか。なにもここで始めなくても良いじゃないか、と思ったのは僕だけではないだろう。こんな、得体の知れない場所で裸になれてしまうトレーシー、相当な肝っ玉の持ち主である。

やがて四角い箱に異変が訪れる。ここら辺は何だろう、お約束感がすごいのだが、それでも、「おそらくひどいことが起こるのだろうが、なにが起こるかまったく予想がつかない」というあたり、リンチ風味満載である。

四角い箱はゆっくりと黒くなり、中に白い人間のような生き物がうっすらと動いている。ホログラムのようにも思え、実在していないようにも見える。生き物はこちらを向く。顔には目や鼻が見当たらず、乳房のようなものが見える。生き物、激しく揺れながらガラスを破り、「現実の世界」に侵入する。そのままサムとトレーシーに襲いかかり、(おそらく)顔の部分を激しく何回も攻撃する。飛び散る血飛沫。いやー恐ろしい。言わんこっちゃない。

暗転。

ところ変わって、サウスダコタ州 バックホーン。

どこかのアパートの廊下。女性が犬を連れて歩いてくる。犬(名前はアームストロング)が隣人の部屋から漂ってくる匂いに反応しているようだ。(たぶん)警察に電話する女性。ここから、この女性がとてもいい味を出し続ける。

警察がやってくる。ここら辺はこの女性による独壇場で、隣人の部屋のドアが開かないのだが、鍵がないので管理人はどこだ、管理人はいない、入院している、普通じゃない病院に、部屋の住人はルース・ダベンポート。管理人は不在時には弟に鍵を預ける。弟の名前はわからないが、友人のハンクならわかるはず。ハンクはメンテの仕事をしていて裏にいる。ハンク、あからさまに怪しい人物で、柄が悪い。どことなくトム・ヨークに似ている(トムに失礼)。ハンク、「おれがチップに会うこと誰に聞いた」とかいう。チップは電話持ってない。とか言ってたら、最初の女性が「鍵を預かってるの」。ハンク「おれもう行っていいんだよな?」コメディーだよねえ。

部屋に入る警官2人。おお恐ろしい。この演出はマルホランド・ドライブを思い出す。部屋のベッドに横たわる異形の屍体。しかも布団にくるまれている。屍体の顔は左目がえぐられている。

ハンク、怪しい黒い鞄を持ってハーヴィーという人物に電話している。この人、あとで出てくるのだろうか。

刑事がやってきて、布団をはぐと、遺体は首から下が別の人間のものだった。全体的に毛深く、男性のものである。遺体の描写は直接的なものを避けたのかもしれないが、非常に絵画的で、そこだけモノクロ映像のような、一種独特の奇怪な雰囲気を醸し出している。リンチ風味満載である。

薄暗い森の映像。小屋。

おお、丸太おばさんである。体調が悪そうだ。(この時、本当に闘病中であったらしい。演じたキャサリン・E・コウルソンさんは2015年9月28日に逝去。ご冥福をお祈りします。)丸太おばさんはホークに電話している。ホークは副署長になっているようだ。年は取っているが、相変わらず精悍である。電話が昔のままである。

「丸太からあなたにメッセージよ」「なにかが行方不明。あなたがそれを見つけなければ」「その何かは、クーパー捜査官と関係している」「見つけ出す方法は、あなたのルーツと関係がある」「これが、丸太からのメッセージよ」

調査を開始するホーク。アンディも登場する。アンディの腹は膨らんでいる。旧作ではお腹が大きくなるのはルーシーだったけどね。

バックホーン警察署ではルース・ダヴェンポート殺人事件を調査中。

指紋照合の結果、室内から見つかった指紋の持ち主は、ビル・ヘイスティングスという人物。地元の高校の校長だという。どうやらビル氏は刑事のデイブとも旧知の中で(釣り仲間で高校時代からの付き合い)あるらしく、事件についてなんの心当たりもないらしいが、連行されてしまい頭を抱えている。この、「なんの心当たりもない事件で連行される」というくだりは『ロスト・ハイウエイ』を彷彿とさせる。

尋問の中で、ルース・ダヴェンポートは図書館司書だったということがわかる。ビルの様子や供述にもやや怪しいところがある。

ビルの車を調べると、釣り道具の箱の下から肉片が見つかる。

黒い部屋。巨人。蓄音機「ジリ、ジリジリ・・・」

第1章、おわり。最高のイントロダクションだった。ツインピークスらしく、色々なところで、色々なことが持ち上がっている。現実と非現実がまだらになっている。


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