ツイン・ピークス The Return 第2章「星々が巡り 時が正体を現す」のおはなし

こんばんは。

突然ですが、大好きなツイン・ピークスの新作(と言っても、もう数年前の作品ですが)について、1話づつネタバレ込みの感想を書いていこうと思います。

シークエンスまたはシーンのまとまりごとに、太字で見出しをつけています。印象に残ったシーンや内容について触れていくので、もう観たという方向けの文章になります。何しろ映像の情報量が膨大なので、自分自身が忘れないように書いているようなものですけどね。

*昨日別アカウントで投稿した第1章の内容も転送しています。

第1章は最高のイントロダクションでした。リンチ風味満載で、とても好きでした。現実と非現実がまだらになって、色々なところで事件が持ち上がり、なんともいけてない「悪いクーパー」も登場しました。オリジナルシリーズにはない、若干のエロ・グロ描写もありました。さて第2章はどうなるのか。

ツインピークスの町の人たちは、出てくる人出てくる人浮気している

のが定番ですが、身に覚えのない容疑で拘留中のビル・ヘイスティングスも、妻のフィリスもダブル不倫状態だったことが明らかになります。ここはツインピークスの町じゃないんだけどな。

そしてここで重要なキーワードと登場人物(?)がそれぞれ出てきます。キーワードは”夢”。そして異形の人物(人なのか?)。オリジナルシリーズでは、”夢”はブラックロッジとつながっていました。何か関連がありそうです。

ビル・ヘイスティングスの自宅にいるフィリス。

ここで衝撃的な出来事が起こります。「悪いクーパー」が現れるのですが、現れ方からして、やはり尋常の人間ではないようにも思います。そして殺人(本シリーズ2回目)。おおクーパーよ、やってしまうのか。殺し方をみるに、第1章のルース・ダヴェンポート事件との関連を疑わざるをえません。

トッドさん、ロジャー、そして「あの男」。

ネヴァダ州ラスヴェガス。いやあ今回のツインピークスはアメリカを渡り歩きますねえ。ここで「トッドさん」を演じているのは、映画『マルホランド・ドライブ』序盤に出てきた神経質そうな顔の俳優さんです。リンチ監督作品でしか観たことないけど、強烈な印象がありました。「あの男」とは誰なんでしょうか。悪いクーパーのことなのでしょうか。

どっかの田舎町。暗闇に線路と遮断機。横切る貨物列車。

信号のイメージはオリジナルシリーズに何度も繰り返し出てきたけど、遮断機は初めてな気がします。なにせ、ツインピークスの街中を移動するかぎり、鉄道は使いませんからね。

”何も必要としていない男”

どっかのレストランで会話している悪いクーパー、レイ、ダーリヤ、もうひとりの男。レイとダーリヤは終始アイコンタクトしていて、クーパーがこれに気がつくのだけど、これは伏線になっていますね。

”星々は巡る。そしてその時がやってくる”

ブラックロッジへの入り口は、星の動きと関係しているという話もありましたが、そのことを表しているのでしょうか。そして今シリーズでは、旧作では黒子に徹していたホークが、その謎に迫る重要な役割を果たすようです。ホークは丸太おばさんの家に無事にたどりつけるのか。どうにも心配な会話ではあります。そしてここで”入り口”が開きます。

ブラックロッジ(赤い部屋)。25年ぶりですねシリーズ!マイク(ジェラード)、そしてローラ・パーマー!

ブラックロッジでの長いシーン。僕はこういう感じが本当に好きで。ローラのまばたき逆再生とか。

ここでわかったこと(語られたこと)は3つ。 ①ローラ・パーマーは死んだけれど生きている。 ②クーパーはもう「行っていい」らしい。 ③ローラはなんらかの理由で、赤い部屋から”飛ばされた”または”放出された”

ここで生まれた疑問はおもに2つ。⑴ローラ・パーマーの中にある”光”はなにか? ⑵ローラはなぜ放出されたのか? ⑶ロッジ内での時間の流れはどうなっているのか?

ところでこのシーンで、ローラがクーパーに囁きかけるシーンは素敵ですね。とても好きです。ローラが笑って、クーパーも笑うんだけど、何か本当に心の底から嬉しくて笑っているように見えるんだよねえ。25年ぶりの、「本当の再会」。まさか、当事者たちもこんなことになるって、思っていなかったんじゃないだろうか?浮沈の激しい芸能の世界。25年ぶりに、劇中設定そのままに、新しい世界観を創り出せるなんて、僕が役者なら、こんなに愉しいことはないよ。

進化した”腕”は、さしずめリンチ版「ウルトラセブンの宇宙人」である。

ここで誰しも衝撃を受けたであろう、”腕”の進化系が登場します。僕は”彼”を見ていてしみじみ思いました。何か既視感があるのだ。そして気がつきました。吹替え版で見ていたからなのかもしれませんが、ウルトラセブンに出てくる不思議な形をした宇宙人を思い出したのです。異世界からやってきて、僕らに何かを語りかける存在。そして異形なのに、なぜかかわいらしい。どういうことなのだろう。枯れ木(シカモアの木なのかな)に、変なウメボシみたいな、お肉みたいのが乗っかって、放電しているという摩訶不思議なモノなのに、なんとも愛らしいではないですか。僕だけですか。

ここでわかったことは2つ。 ④腕は生きて進化し、ウルトラセブンの宇宙人になっている。 ⑤クーパーがブラックロッジから出るためには、ドッペルゲンガー(悪いクーパーのことなんだろうね)が戻らなくてはならない。

悪いクーパー、ガチの悪人だった

モーテルのシーン。ここで悪いクーパーの目的や正体めいたことが少し明らかになるのですが、やっぱりこの人、悪を煮凝りにした感じです。盗聴やハッキングも駆使する様はまさに現代の犯罪者。知性や能力はクーパー捜査官そのままに、考え方だけが悪に反転しちゃった感じなのでしょうか。厄介ですねぇ。25年間の間にどれだけのことをしてきたのやら。でもこの悪いクーパー、汗をじっとりとかいていて動きがのっそりとしていて、このあたり、やっぱり本物とは違いますよね。

ここでわかったことはだいたい4つ。 ⑥悪いクーパーは誰かに狙われている。悪いクーパーを殺せば、50万ドル払う人間がいる。 ⑦悪いクーパーはガーランド少佐と会ったことがあるらしい。 ⑧明日、悪いクーパーはブラックロッジに戻される予定だったらしい。 ⑨フィリップ・ジェフリーズは”悪いクーパーがブラックロッジに戻るなら、ボブと共にいる”らしい。 10.悪いクーパーには子分がいて、一人はシャンタル。もう一人はハッチ。

ここで生まれた疑問はおもに3つ。 ⑷座標とはなにか? ⑸トランプのカードは何を表している?(劇場版に出てくる、悪魔のような子どもを連想させます。コンビニエンスストアの2階に住んでいる者たちのことなんでしょうか) ⑹フィリップ・ジェフリーズは何をしているのか?

ブラックロッジに異変が起きているのか?”腕”ちゃんは無事なのか?

さあいよいよ第2章も佳境。情報量が多すぎて混乱しますが、何やらブラックロッジがおかしい様子。これまで(旧作も通じて)、何があっても、お見通しみたいな様子だった”腕”も取り乱すし、マイクも「何かがおかしい」とか言うし、ブラックロッジの空間に乱れが生じているようです。

ここで生まれた疑問は  ⑺253 何度も何度も繰り返すとは? ⑻”腕”の我がドッペルゲンガーとは?「存在しない!」とは?

クーパー、空間から空間を「箱」を経由して移動する。

ブラックロッジから放出されたクーパー、空間移動してなんとニューヨーク・シティーへ。くだんの「四角いガラスの箱」に入って来てしまいます。なるほど。ビルの外側にも同じようなガラスの箱があって、そこからパイプをくぐって中に入るようになっているんだ。って、これはなんなんだ。中は無重力空間なのか。そしてクーパー、その後ガチャガチャガチャっとなって、結局また別の空間に飛ばされます。ということは、この四角いガラスの箱は、異世界から異世界への、移動装置、または中継地点みたいな役割を果たしているということなのでしょうか??

ここで時系列が明らかになります。ちょうど警備員が不在で、サムが階下でトレーシーと話している場面。ということは、この直後にあの不気味な生き物が箱の中に現れて、二人をぐっちゃぐちゃにしてしまうということなのでしょうか。そういえば、あの生き物、どことなく顔が”腕”のウメボシ顔に似ていたような気がします。あいつが”腕”のドッペルゲンガーなのでしょうか?

哀愁を誘うロードハウス。時の流れは残酷だけど、時が経ったからこそ感じる暖かさもある。

第2話にはリーランドとセーラ・パーマーも登場します。この世でのつとめを終えたリーランドは、小綺麗なあの頃のままの衣装で登場するのに対して、浮世の波を生き続けているセーラが見事に魔女化しているのが対照的です。生きるとは何か、考えさせられます。セーラ役の女優さんは『インランド・エンパイア』にも出てきて、強烈な印象を残していますが、このシーンも強烈です。まさにデヴィッド・リンチ女優です。

第2章のラストシーンはあのロードハウスが舞台です。ジェームズ、シェリーも出てきて、いよいよ役者が揃ってきました。ここで演奏しているアーティスト、クロマティックスという人たちで曲名は『SHADOW』というそうですが、いいですね。どことなく哀愁を誘うメロディーが、このシーンにぴったりです。変わらず憂いをたたえたジェームズの表情。変わらず明るくたくましいシェリーの表情。この二人、オリジナルシリーズではある意味、ぶれない二人でしたね。ここにドナがいないのが残念ですが、仕方ないですね。そしてエンドクレジットの入り方、最高です。

第2章は恐ろしい情報量でした。一気に物語世界に引きずり込まれました。おそらく、クーパーは自分のドッペルゲンガーと、そしてリーランドに告げられた「ローラを探す」ことを目的に行動していくのでしょう。第3章も楽しみに観たいと思います。それではおやすみなさい。


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