ツイン・ピークス The Return 第6章「死ぬな」のおはなしと考察。

こんばんは。大好きなツイン・ピークスThe Returnの感想や考察をネタバレありで書いていきたいと思います。公開から数年経っているけど、もし今のタイミングで見ている人がいたら、見た後に読んで楽しんでもらえたらと思います。

第6章では大切な命が失われます。

タイトル「死ぬな」は、劇中で片腕の男が繰り返す言葉。

直接の関わりはありませんが、もしかすると、失われる命に対して語りかけていたのかも・・・などと考えてしまいました。

では早速いってみましょう。

前半のあらすじと若干の考察。

ダギー家に帰る。

前話から引き続き佇むダギーは、親切な警備員さんのおかげで家に帰ることができました。分厚い事件資料を読み込むという難題を抱えて・・・。

息子のサニージムとの関係は悪くない様子。面白いのは、このサニージム君、喋らないんですね。ボディランゲージと表情が豊かな子で、子どもみたいになっちゃってほとんど喋らないダギーとは相性がいいですね。微笑ましいシーンです。

玄関に落ちていた謎の封筒を開けると、借金の主からジェイド様との密会の様子をフライデーされているダギー。ナオミ・ワッツ様が怒り狂っていると取り立ての電話がかかってきます。

ここからがナオミ・ワッツ・ショー。取り立て屋のチンピラ風情には負ける気がせず、完全にペースを握ってしまいます。

「明日は大変な日」。

夜更け。青信号が赤に。電気の音がして異世界がつながります。

ダギーの部屋に赤い部屋から交信を試みる片腕のマイク。「目を覚ませ。目覚めろ。目覚めろ。死ぬな。死ぬな。死ぬな。」と必死で語りかけます。クーパーの魂に呼びかけているのでしょうか?

”事件資料”を眺めていると、ここでダギーにまた、”啓示”が訪れます。紙上に見える光の点を頼りに、鉛筆で謎の記号や図形、矢印を書き連ねていくダギー。一見意味がわかりませんが、この”啓示”がダギーを助けることが後でわかります。

どうやら赤い部屋は、様々な方法でダギー(もとい、クーパー)に”啓示”を送り、彼が生きていくのを助けているようです。何しろ金がなければどうしようもない。ジャックポッドも、今回の”事件資料”へのヘルプも、彼の生きる糧を稼ぐためには必要なものなのでしょう。

ダイアン=ローラ・ダーン登場。

土砂降りの夜の街を運転するアルバート。向かった先は、「マックス・フォン・バー」。第4章で言っていた女性を探しているのでしょうが・・・声をかけられた銀髪の女性はなんと、、、、ダイアンでした。

ツイン・ピークスの街。街の暗黒面は生きている。

街のどこか。第5章の最後で出てきたヤバそうな若い男(リチャード)がドラッグでハイになっています。

リチャードが話しているのは前にバンバン・バーで出てきた革ジャンの男。この男、端的に言って変です。

「火について学んだことはあるか?」とか言いながら空手の型みたいなことをしたり、いきなり地団駄踏んだり、いきなり「王様と私って映画観たか?」と言ったり、とにかく挙動がおかしく、

次に何をしでかすかわからない男。です。

ポケットからコインを取り出して放り投げると、コインが宙に浮いたりとマジックめいたことを繰り出します。この男にも超自然的な力があるのでしょうか?

イキがっていたリチャード、完全に革ジャン男に飲まれて立ちすくみます。

涙目でピックアップトラックを運転するリチャード。ドラッグでハイになったままの運転です。革ジャン男のパシリみたいなことをさせられているのでしょう。

後半のあらすじと若干の考察。

トレーラーハウスから。

ここで映画版に出ていた「ビッグトラウト・トレーラーハウス」が登場します!そして支配人のカールも!このカール役のハリー・ディーン・スタントンという俳優さん、撮影時すでに90歳近い高齢で、同年に『ラッキー』という映画に主演して名演を見せ、それが遺作になった方です。ここでも、非常に味のある演技を見せてくれています。ちなみに車中でタバコをふかすシーンがありますが、『ラッキー』の中でもヘビースモーカーという設定でしたね。

トレーラーハウスに住む小太りの男が、ここで「リンダ」という名前を出します。リチャードとリンダ。どうやらリンダは車椅子のようで、戦争で何かあったのでしょうか。

これは「定め」か。それとも「偶然」か。

ここから”あるシーン”に向けて続くシークエンスは、第6話の中で最も美しく、残酷で、胸を打たれるシーンです。

RRダイナーでおしゃべりする保育士のミリアム。

ハイになって疾走するリチャード。どー考えても正気を失っており、危険です。

公園で木立を見つめるカール。残りわずかな人生に何を思うのでしょう。

6歳ぐらいの男の子とお母さんが遊んでいます。

迫り来る悪い予感。邪悪なものはそこらじゅうにあるのです。

疾走するリチャードのトラックは高速のまま交差点に突っ込み、横断歩道を渡ってきた男の子に衝突。地面に叩きつけられる男の子。トラックはそのまま走り去ります。狼狽える表情を道行くミリアムが見咎めます。ミリアムと目があうリチャード。

交差点で男の子を抱き泣き叫ぶ母親。男の子の体から”魂のようなもの”が天に吸い込まれ、カールは呆然と、倒れ伏す母子に近付きます。

これがこの世界の有様だとしても、あまりにも残酷です。事故の一部始終を観て、何も言えず悲嘆にくれる人たちも含めて、このシーンでリンチが描いたのは、圧倒的な”リアル”ではないでしょうか。その観察者としてリンチが選んだのが、90際近い齢のカールであるということ。カール役のハリー・ディーン・スタントンの配役も含めて、何かを伝えんとするリンチの演出が、私たちの”集合的無意識”に語りかけているように思えてなりません。

ラス・ヴェガスのオフィスビル。

前に出てきたトッド氏が使うThinkPadの画面に謎の赤い四角形が。それを見て顔をひきつらせ、金庫から謎の封筒を取り出す。何かよくないことが起こりそうです。

119!119!

どこかのモーテル。

ダイスを転がしているスキンヘッドの人物。すると部屋にトッドさんのところにあった封筒が差し込まれます。出てきたのは2枚の写真。

1枚はダギー。もう1枚はそのダギーを殺そうとしていたあの女性です。前話でブラックベリーを使ってブエノスアイレスに連絡を取ろうとしていた。アイスピックで凶暴に写真を突き刺すスキンヘッドの男。まずは女性。次にダギーですか。

ラッキー7保険会社に無事出社できたダギー。コーヒーウマイです。

それにしてもアメリカのオフィスは広いなあ。

ダギー、啓示の力で何かを知らしめたらしく、社長のブッシュネルはダギーに感謝しています。

公園でナオミ・ワッツ無双。

第6話最大の見所と呼ぶべき公園でのナオミ・ワッツ対チンピラの舌戦です。これは見てもらうに限りますね。僕も借金取りに終われたらこの手を使おう。

あわれ名前もわからない女性、滅多刺しで殺される。

スキンヘッドの男が女性のオフィスに押し入り、合計3名をアイスピックで殺します。3人目の時にやりすぎて、仕事道具のアイスピックが折れ曲がってしまいます。

ネイティヴ・アメリカンの啓示。

ツインピークス保安官事務所のトイレ。コインの啓示を受けたホークがトイレのドアを調べると、中からローラの日記が出てきます。25年ぶりの発見か。

フランク・トルーマン保安官が奥さんにどやされてますが、ここでもチャドが一悶着起こします。

今のところ、このチャド、キング・オブ・嫌な奴ですね。

バンバン・バーでは今宵も名曲の演奏。

まとめと新たな疑問。

第6章で出てきた重要と思われる情報は、

①革ジャンの男は、カナダからドラッグを輸入している。リチャードは、革ジャンの男のパシリみたいなことをさせられている。

②トレーラーハウスに住む男から、「リンダ」という名前が聞かれる。リンダは車椅子で、車椅子生活になったことと戦争が関係あるらしい。

③リチャードは男の子をひき逃げし、その様子をミリアムが見咎めている。

④トッドさんは誰かの指示をPC上で受けており、トッドさんがスキンヘッドの男に暗殺指示を出している。

⑤スキンヘッドの男は「ダギー」と、「ダギーを狙っていた女性」を殺すよう指示された。

⑥フランク・トルーマンの息子は自殺。おそらく従軍後のPTSDによるもの。そのせいで奥さんは性格が変わってしまった。

新たに出てきた疑問は

(1)革ジャンの男は何者か?なぜ超自然的な力を持っているのか?

(2)電柱に書かれた「6」の数字の意味とは?

(3)ジャンキーの母親が叫ぶ「119!」とは何か?

(4)ホークが見つけたローラの日記には何が?


ではこの辺で。次回も楽しみに見ましょうね。

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