助動詞に御用心!@デンマーク
デンマーク語は、英語やドイツ語と語彙や文法が少しずつ似ていると思っていました。なるほど、wikipediaによればデンマーク語、英語、ドイツ語は大きくくると「ゲルマン語派」だそうです。
似ている例)
・主語の性によって動詞の形が変化しないのが、少し英語と似ています。
・疑問文を作る時に、doやdoesを使わず、動詞と主語を入れ替えて作るところがドイツ語と似ています。
(他にも色々とあります!)
私の第1外国語は英語なので、まずは英語と比較してデンマーク語を理解しようとしました。
英語で説明がつかない場合は、趣味で学んだドイツ語を引っ張り出してきてあれこれ考えるというのがパターンでした。
デンマーク語の助動詞が出てきた時はすぐに「これは英語の助動詞と似ている!」と思いました。下記の様に見た目がそっくりなんですもの!
will(未来)に似た vil
can (可能、許可)に似た kan
shall (未来意思、疑問形では柔らかい提案)に似たskal
ところが使い方をみてみると、使い方が微妙に違います。
例えば、買い物に一緒に行って欲しくて誘う場合私ならこう言います。
(稚拙な語学力ですいません・・・)
英語:Can you go shopping with me today?
デンマーク語: Skal du shoppe med mig i dag?
can→kan ではなく、 can→skal になっていることご注目ください。
英語だと、「可能性」を聞くことで遠回しに相手の意思を聞いている感じです。デンマーク語だと、直接的に相手の「意思」を聞いています。
英語のCan をKan に置き換えても文法的には成り立ちますがそのようには言わないです。
デンマーク語で答えるとすると、Ja, jeg kan men jeg skal ikke となるかもしれません。「(スケジュール的には) 行けるけど、行く気分じゃない」
行けるかどうかの「可能性」と、「自分の意思」は別なんですよね。
日本人だと、「あんまり行きたくないけど、スケジュールは空いているから断ったら悪いし行こうかな」ということが結構あると思います。断ると相手に失礼だったり、相手を嫌っていると思われそうとかモヤモヤ考えますよね。
デンマークでは、忙しかったり単にその気にならなければ断っても大丈夫。みんながそうしているので失礼にも当たりません。意外と便利でよく使う「måske (多分ね)」で返事するのもいいかもしれません。聞くときはストレートだけど、返事に曖昧さを許すのも面白いですね。
måske について書いてます、もしよろしければ…
一番大切なのは「本人の意思」なんですよね。だから日常会話で一番よく使ったのはskal(未来意思)で、vil(未来)やkan(可能性)はあまり使いませんでした。少し先の予定を聞く時も vil(未来)ではなくskal(未来意思)を多用し、未来より「意思」を聞いていました。
では英語のshall とデンマーク語のskalを対応させたらいいか?と問われると私の中ではno です。確かにどちらも未来意思を問えると思います。しかし英語のshallと比べてデンマーク語のskalの使用頻度がとても高いです。またニュアンスも違っていて、英語のshallは Shall we dance? の様に少しかしこまった時に使う気がします。また相手の意思を聞くより、お誘いのイメージが強いです。(あくまで個人のイメージです)
ちなみにskal が私の耳には「スケ」という音に聞こえるのですが、やたら聞こえてくること単語は何?と思っていました。スケベ?助さん?(←単なる勘違い)
Skal du(スケドゥー:あなたは〜しますか?)
Skal vi(スケヴィー:私たちは〜しますか?)
Jeg skal (ヤイスケ:私は〜しようと思う)
デンマークと比較することにより「英語では知らずに婉曲表現っぽいものを使っているのだな」と気づきました。相手の意思を聞かず予定を聞くことで意思を推量しているように感じたからです。婉曲表現を使う点で、英語は少し日本語に近いのでしょうか??
「デンマーク人の質問って直接的だな」と思ったり、「個人の意思を大切にする文化があるのだな」と思ったりもしました。
蛇足ですが、同じ学校のオランダ人に聞くと、文化的にはオランダの方がもっとストレートらしく、言語表現も時々キツイと思うくらいだそうです。オランダ語に比べるとデンマーク語はマイルドな方だそうです。マイルドさを好むオランダ人は、自国では生き辛いのか、デンマークへ移住しちゃう場合もあるようです。
なんのためにデンマーク語を学ぶですか?とよく聞かれます。デンマーク以外で使用する機会がほとんどなく、英語が通じる国ですので実用的には全く不要かもしれません。
でもこの国に暮らす人が、何をどのように考えているかを知るには、言語学習がぴったり!だと私は思います。一般的に北欧は個人主義 というイメージがありますが、個人の意思を尊重する文化と言い換えるとデンマーク語の助動詞skalにそれが現れていると思いました。そして個人の意思を重視することにより、幸福度が高いとも言えます。
デンマークは実は個人主義であるとともに、協働を大切にする文化もありますが、それはまたの機会に書いてみたいと思います。
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1. そんな!いいんですか!? 嬉しいです!! フォルケホイスコーレ作りのための勉強に使わせていただきます♪