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時をためる

昔から実年齢より上に見られることが多かった。20代はそれが恥ずかしくて嫌だったが、30歳を迎えた時はやっとしっくりくる年齢になったと思って嬉しかった(年齢を言ってもあまり驚かれなくなった)。だからか30代からは歳を重ねることにあまり抵抗がなくなった。この調子だと40代はもっとしっくりくる気がすると思っている。

数年前に書いたメモに “時をためるくらし” というのがあった。たまたまつけていたテレビから聞こえてきた言葉だったと思う。言葉の響きと聞こえてきた話の内容が気に入って、忘れたくなくてメモしておいたものだったと記憶している。

そもそも一体何のことだったのか気になってググってみた。どうやら本のタイトルらしい。言葉が気に入ったのだから元ネタもちゃんと知っておきたくなって、早速図書館に貸し出しの予約を入れた。

気に入った話の内容というのは、 “時間をかけることによって作り上げていく” というようなことだったと思う。もはや記憶が曖昧なのでズレているかもしれないが、 “時をためる” という言い回しがなんて粋でロマンある言葉なんだろう!と心が震えた。

時間をかけて作るということで思い出したことがある。2015年、当時まだ小学校低学年だった娘と一緒に梅干し作りをしたことだ。
作った梅干しはすぐに食べる用と3〜4年寝かす用のものとに分けた。3〜4年ものの梅干しは塩のカドが取れてまろやかになるとのこと。これも時をためて作ると言えるのではないだろうか。

当時のブログも読み返してみた。

(一部抜粋)
3〜4年後か〜…
その頃だと娘は高学年になってるんやなぁなんて思うと、なんとも気持ちが追っつかない複雑な心境です。

私は40手前か!
3〜4年ものの梅干し解禁になる頃にはどんな生活が待っているのだろうか!
面白かったらいいなー。


3〜4年どころか、あれから6年!
想像もしていなかった世の中になってしまっているし、自分に関しても6年の間にいろんな経験や出会いを通してずいぶん変わったなぁと思う。なにかと大変なことはあるし、その度に怯んだりうろたえたりして未だにスマートな自分にはなれないのが少々もどかしくも思うけれど、いろんなことを積み重ねてきた今の自分はなかなか悪くないと思えるようになった。

小学生だった娘は中学生になって、勉強に部活に友達にと毎日忙しくも楽しそうに過ごしている。
娘を叱ることはうんと減った。ガミガミ怒ってしまっては反省しての繰り返しがたまらなく苦しかったけれど、娘自身自分でよく考えて行動できることが増えてきた。
小学生の時に比べて中学校生活は毎日刺激的で面白いみたいでその日の出来事を興奮気味に話してくれる。心震わせながら一生懸命過ごしている様子がわかるし、そんなことまで考えられるようになったのか!と感心させられることも多い。

6年ものの梅干しは相変わらず結構酸っぱいけれど、しょっぱさが減って心なしか食べやすくなったように思う(これが塩のカドが取れたというやつなのか?)。
また漬けてみようかな?
次も同じだけ寝かせたら…娘は大人だ!

歳を重ねることは面白い。
変化は時に怖くて不安を運んでくることもあるけれど、次のシーンがどうなるか見てみたくなるような楽しみをはらんでいたりもする。
次のシーンは思い通りにいくとは限らないけれど、喜びも怒りも哀しみも楽しさも時代も環境も色々ミックスしながらためてきた時間を眺めたり味わったりしていけたらと思う。

面白かったらいいなーと書いていた2015年の私に伝えたい。
それなりに面白く過ごしているよ!
それと…その梅干しと共に私も少しはまろやかになれたよ!と。

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