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変わりゆく暮らし、変わらぬ心地よさ

30代に入ってから、賃貸か持ち家かという話題が友人や同僚との会話でよく登場するようになった。特に地元は、結婚したら家を建てるのが当たり前のようで、都会のようにマンション暮らしを続ける選択肢はほとんどない。そんな環境にいる友人たちは、子供が生まれると次々と家を購入していく。賃貸に住む同僚も、子供の成長と共に「そろそろ家を買った方がトータルでは安くつくのかな」と真剣に悩み始めた。

私は現在、娘と二人で1LDKの賃貸マンションに住んでいる。元々は2LDKの広さを求めて物件をいくつか見に行ったが、狭いリビングがどうしても気に入らず、結局1LDKに決めた。こどもと過ごすには広いリビングと日当たりの良さが最優先で、それが今の生活にはぴったりだ。

結婚していた頃、一度家を買おうとしたことがある。100坪の土地に、5000万円の家。契約寸前まで話が進んだが、最終的にはキャンセルした。今振り返ってみると、あの決断は正しかったと思う。離婚した今、あの家が私の人生にどう影響したかを考えると、少しぞっとする。

私の生活はこれまで3年ごとに引っ越しを繰り返してきたが、それがちょうど良いリズムだと感じている。その時々で、住む場所や暮らし方に求めるものが変わっていく。20代前半は、会社に近く、都会の便利さを享受できる場所に住んでいた。梅田にも神戸の中心地にも15分で出られるその立地が好きで、営業の仕事で忙しい毎日を送るには最適だった。部屋の狭さや日当たりの悪さなんて気にならなかった。だって、ほとんど家にいなかったから。

その後、結婚し、子育てを考えて地方都市に移住した。自然が豊かで静かな環境での子育ては心地よかったが、離婚を機に再び引っ越しを決意した。そして今、地元に近い場所で、広々としたリビングと静かな住宅街に囲まれた暮らしを楽しんでいる。

この先、娘が「自分の部屋が欲しい」と言い出す時が来たら、また引っ越しを考えるだろう。そして、彼女が大学に進学して家を出たら、今度はもう少し小さな部屋に移るのも良いかもしれない。

何を求めるかは、時と共に変わる。引っ越しは手間だが、その度に新しい環境が新しい気持ちをもたらしてくれる。新しい街、新しい人々、新しい景色。そういう変化が、私には合っているのだと思う。環境が変わることで暮らしも変わり、それに合わせて心地よさもまた変わっていく。

だから、今の賃貸生活は、私にとってはちょうど良い。必要に応じて住む場所を変える自由があり、その時々で最適な空間で暮らせる。これからも、自分の心地よさを大切にしながら、変化を楽しんでいこうと思っている。

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