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家族のものは勝手に捨ててはいけない、が…

■「子供のモノを勝手に捨てたせいで絶縁された悲しい親の話」をまずは読んでほしい

むかし拝読した記憶のあるお話を見かけて、改めて再読し、再び考えさせられました。

冒頭では、「息子の大切な品(たぶんオタクグッズ?)を勝手に捨てた父親」が登場し、必死に中古玩具店を巡っています。何を探しているのかと言うと、かつて自分が勝手に捨てた息子のコレクション。
父親は、その品がそんなに高価で入手不可能な商品とは知らなかったのですね。そして、勝手に捨てたせいで、その息子から絶縁を言い渡されているのです。
父親は後悔し、何とか関係の修復を願い出たのですが、息子からは冷たく一言、「捨てた商品を再度買い求めて来れたら考えてやる」と言われて、父親は秋葉原の店を何軒も何軒もめぐっていた…と。
この父親がどうして勝手に捨てたのか、などの詳細は分かりませんが、とにかく息子と関係修復したいがために頑張っていることが見受けられます。
しかしどう考えても入手不可能なもので、きっと父と子の関係修復も叶わないのだろうと思わせる、2ページの漫画でした。

このツイートのリプ欄には「同様のことをされて今も根に持っている」、もしくは「それをきっかけに両親と絶縁した」という子供目線のコメントが多数寄せられていました。

例え親であっても子供のモノは勝手に捨ててはいけない。
それは子供の自己肯定感を根こそぎ奪う行為なのです…。
本人が大切だと思っているモノなら、他人にはとやかく言う権利はありません。まして勝手に奪ったり捨てたり売ったりしてはいけない…。

※よく「汚部屋の片付け番組」などでは、本人不在の中、本人に断りもなく部屋のモノを勝手に捨てていくシーンが映っていますが、あれはフィクションですので! あんなことを業者がしたら完全にクレーム案件ですから、みなさんは真に受けないで下さいね!

と、ここまでなら整理収納の大切さを教えてくれる良い漫画なのですが、
実際に片付けを生業にしている私には、この漫画のとある一点だけ、超絶気になる点があるのです。

■しかし、ラストの1文だけは考え直してほしい…!

この漫画の最後のコマを読んでいただきたい。

店を後にするこの父親の寂しい背中を眺めつつ、ツイート主様は
「万が一、俺も実家に置いてある玩具を無断で捨てられたら同じ手を使わせてもらおうと思っている」と締めくくっています。

これだけはやめてあげてほしい…!

この事例に少しでも思うところがあるのなら、
「もし親が勝手に俺の玩具を捨てたなら、同じように親を脅迫しよう」と思うのではなく、
「俺の大事な玩具がそんな目に遭わないように、来週にでも実家に戻って自分の部屋の玩具を片付けてあげよう」と考えては貰えないだろうか…!

この漫画に描かれているのは、結果論でしかありません。
きっと買い戻せないコレクショングッズ。
埋まることのない親子の溝。
両者にとって、何もいいことはないのです。

(しかも、親御さんが過去を反省し、自分の方から歩み寄ろうとしてくれている、優しい親であることが前提となっています)

しかし、まだこの目に遭っていないのなら、今からだって遅くない、今すぐにでも実家に戻って、自分の部屋に置き去りにしている荷物を片付けましょうよ…!
すごくいい話で考えさせられただけに、ラストの1文だけは本当に残念なのです。

というのも、子供が実家に置いている荷物のせいで、年老いた親達がどれほど大変な思いをしているか、私はそんな現場を日々目の当たりにしているからです。

■「便利な物置代わり」に使っているあなたの実家で、一体何が起きているのか考えてほしい

実家を便利な物置代わりにしている人、多いのではないでしょうか?

働き盛りのあなた。
あなたはきっと実家から遠くはなれた場所で働いていて、なかなか実家に顔も見せられない人でしょう。だから実家の部屋の片づけはできない。けど、実家は自分の家でもあるんだから、別に問題ないデショ。実家においておけば安心なんだし。
もしくは「荷物が増えすぎて部屋が狭くなって困ったなー、かといって処分するのももったいないし。そうだ、実家に送りつけよう!」と、安易に実家に荷物を送っていたりしないでしょうか。
なんなら「荷物を送りつけることが、親への『元気にやってるよ』という手紙代わり。だからこれは親孝行なんだ!」くらいに正当化していませんか?

さて、そこで質問です。
働き盛りのあなたの親は、いまどれくらいの年齢でしょうか。
若くて60代くらい、もしかしたら70代、80代の可能性もありますね。

そんな年老いた親の家に、どかどかとあなたの大荷物が届いたりするわけです。
親にしてみれば、安住の家の敷地を、自分には必要のない荷物で侵食されて行くわけです。
「もう送ってこないで」
「要らないのなら捨ててもいいんでしょ?」
「今度部屋を片付けてほしいんだけど」
親からの悲痛な訴えに、あなたは
「絶対に捨てたらダメ!」
「大事なものなんだからちゃんと管理しておいて」
「勝手に捨てたりしたら縁を切るからね!」
と、ほとんど脅迫のようなことを言い返します。

これを言われる親御さんの身にもなってあげてほしいのです…。

実家とはいえ、家の持ち主は親御さんのはずです。
子であるあなたが「子供の持ち物を勝手に捨てるなんて許せない!」と言うのが正しいのなら、
親が「親の家に勝手に荷物を送り付けるなんて許せない!」というのもまた正しい訴えだと、お分かりいただけますよね?

それに、親御さんの年齢から考えて、身体能力にも支障が出てくる時期ですね。
そこにダンボールがたびたび届けば、どうなるでしょうか。
高齢の親御さんは、痛む腰や膝を引き摺りながらあなたの部屋にダンボールを持っていくのでしょう。その際に転倒、骨折、最悪の場合そのまま入院、孤独死…可能性はゼロではありません。

「私の実家は田舎の一軒家で広いから大丈夫!」というなかれ。私がお伺いしている一軒家のお宅では、「2階が娘や息子の荷物で侵食されていて、もし地震が来たら家が倒壊するのではないかと心配」と仰る方が多数いらっしゃいます。
あなたの実家もあなたの親も、どんどん年を取っていっています。

■親であれ子であれ、他人のモノを勝手に捨てるのはNG。しかし、相手に敬意を忘れず

大事なものなら自分の身の回りで保管する。
不要なものなら自分で処分を決断する。
実家を物置代わりにしない。
ましてや、「勝手に送り付けた挙句、管理方法が悪かったらキレる、勝手に捨てたら縁を切ると脅す」などの行為は、何が何でも慎んでいただきたい…。

やむなく「大事なものだけど、いま自分の手元で管理ができず実家に送り届ける」のなら、まず親に許可を取ること。そして、必要なら管理費の支払いを申し出ることも、最低限の礼儀かと思います。

それにね。
あなたが安易に送り付けたその荷物。親御さんが必死に保管してくれていたとして。
数十年先、親が亡くなり、あなたが高齢になった際に、結局自分で処分する羽目になるんですよ?
その時、老体に鞭打ちながら片付けつつ、きっとあなたは思うでしょう。「どうしてあの時実家に送りつけたりしたんだろうか」、と…。


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